請求書で二重請求等のミスが発覚した際の対処法は?対策も解説

経理業務の中で重要なのが「請求書の発行」です。請求書は商品やサービスを販売し、購入した相手に代金を支払ってもらうための大切な文書です。

請求書を作成する時、どんなに気を付けていても「入力ミスに気が付かず、送ってしまった」「取引先に二度請求書を送ってしまった」というミスが起こってしまいますので、

もし、請求書で二重請求等のミスが発覚したときはどうしたら良いのかと悩まれている人に向けて、対処法そして対策についても解説いたします。

目次

請求書ではどんなミスが起こりやすい?

請求書ではどんなミスが起こりやすいのでしょう。

主に

・間違った内容や金額を入力してしまう

・送付先を間違えたり、送付するのを忘れてしまう

二重請求をしてしまう

ということが挙げられます。

請求書のミス①間違った内容・金額を入力してしまう

ミスの中でも多いのが「品名や品番、数量」「単価や一式の金額」等の入力間違いです。

「1個1,000円を10個で10,000円」請求しなければならないものを「1個10,000円を10個で100,000円」と誤って入力し取引先に請求してしまうと、大変な事態になってしまいます。

数量や単価を入力するだけで自動計算されるソフトを使用するのは便利ですが、このようなミスが起こりやすくなってしまうことも事実です。気を付けましょう。

請求書のミス②送付先を間違えてしまう/送付するのを忘れる

では「請求書を別の取引先に送ってしまう」というミスはどうでしょうか。

同じ品物(サービス)であるのに、取引先によって販売金額を変えている場合は、請求書を受け取った相手に「あの会社へは、この金額で販売しているのか」と重要な情報が知られてしまいます。クレームに繋がり、最悪の場合は信頼を失う事態を招いてしまいます。

ほかにも「請求書を送るのを忘れる」というミスは、いつまでも取引先から入金されないということになります。

どちらの場合にも、会社にとっては損失になってしまいますので注意しましょう。

請求書のミス③二重請求してしまう

「二重請求してしまう」というミスは、あってはならない大きなミスです。

二重請求は、対処を間違えてしまうと「取引停止」という最悪な事態も起こりますので、注意が必要です。

このあと詳しく解説いたします。

請求書ミスの中でも特に二重請求には注意が必要

今までは「内容や金額等の入力間違い」や「送付先間違いや送付忘れ」のミスについて解説いたしましたが、請求書のミスの中でも特に注意が必要なのが「二重請求」です。

しっかり抑えていきましょう。

二重請求とは同じ内容の請求書を二度送付してしまうこと 

そもそも「二重請求」とは何でしょう。

字の通り「二重に請求する」。

つまり、請求書を送付したのにもかかわらず、後日同じ内容の請求書を送付してしまうことをいいます。

これは100%発行者側の過失です。

既に入金が完了しているのに、再度同じ内容の請求書が送られたとき、取引先はどのように思うでしょうか。

「こちらはきちんと送金しているのに、管理がずさんな会社だ」と思います。

「管理がずさんで取引停止」という事態にならないように、請求書の発行には細心の注意を払うことが重要なのです。

二重請求は違法?関係する法律についても解説  

「取引停止」にもなりかねない「二重請求」ですが、これは違法になるのでしょうか。

二重請求と分かったうえで請求すると「詐欺罪」で告発されます

とはいえ、請求書の発行側が気が付かず同じ内容を請求した場合は、きちんと対応することで取引先に不快な印象を与えず、告発されることはあまりないでしょう。

しかしもし取引先に対し「間違えて送ってしまっただけ」と対応をおろそかにしてしまうと、さらに取引先を怒らせてしまい、ミスではなく故意だと認識されてしまうことも。

二重請求をしたときは「重大なこと」ととらえ、丁寧に対応しましょう。以下で対応方法を説明いたします。

二重請求をしてしまったらまずはお詫びが最優先

まず、すぐに謝罪しましょう。

二重請求をしてしまった取引先は、受け取った時点で不快な思いをしています。

まだ手元に請求書が届いていなくても、ミスをしてしまったときはすぐお詫びをし、きちんと対応することで最悪な事態を防ぐことができますので、信頼を損なわないためにも最初の対応が重要です。

請求書に二重請求等のミスがあった際のお詫び方法

お詫びの方法も事前に頭に入れておくことで、即座に適切な謝罪ができます。

「申し訳ございません。今後このようなことがないよう気を付けます」だけでは、誠意が伝わりませんし「重要な事態を起こしてしまった」という印象が全くありません。

取引先に対し、さらに悪い印象を与えてしまいます。

それでは以下で詳しく説明していきます。

請求書にミスがあった際のお詫びでは何を伝える?

請求書にミスがあった際、送った取引先に迷惑をかけてしまったことを謝らなければなりません。

その時に必ず「なぜミスをしてしまったのか」(原因)と「同じミスを起こさないためにもどのように是正するのか」(再発を防止する対策)を伝えましょう。

そして一番重要なのは、メールだけでお詫びを済ませることはしないでください。

訪問して正式にお詫びをすることが良いのですが、取引先が遠方の場合は訪問までは難しいでしょう。

訪問が難しい場合は電話で構いませんので、丁寧にお詫びをすることで誠意が伝わり「取引停止」等、最悪の事態を回避することができます。

請求書にミスがあった際のお詫びメール文例

それでは、請求書にミスがあった際のお詫びメールの文例をひとつ紹介いたします。

送る前に何度も読み返して、誤字脱字がないようにしましょう。

【件名】××月度 二重請求のお詫び

株式会社〇〇(会社名)
△△様(担当者名)

平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。
株式会社〇〇〇〇 経理部の△△△△でございます。

このたび、××月度の請求につきまして、〇月△日付と〇月□日付で請求書を重複して発送していること が判明いたしました。

御社に多大なご迷惑をおかけしましたこと、心よりお詫び申し上げます。

原因を調査したところ、弊社の確認体制に問題があることが判明いたしました。
今回の問題を厳粛に受け止め、二度とこのような問題が起こらないよう、社内ルールの見直しをしてまいります。

なお、発送しております〇月□日付の請求書は、お手数ではございますが破棄していただきますようお願い申し上げます。

今後とも変わらぬご愛顧を賜りますとともに、重ねてお詫び申し上げます。

請求書にミスがあった際のお詫び以外の対処法

請求書にミスがあった際、ミスの内容によって

  • 返金手続きを行う
  • 正しい請求書を発行する
  • 再発防止策を考える

等のお詫びだけでなく対応が必要となります。

返金手続きを行う(二重請求で振り込み済みの場合)

二重請求で「既に振り込み済み」の場合は、速やかに返金手続きを行わなければなりません。

ですが、返金手続きをする前に、必ず取引先に「返金を行って良いか」確認をしましょう

なぜなら会社によっては「返金せずに今月購入分と相殺をしてほしい」という場合があるからです。

また振込で返金の対応をするときは手数料は自社持ちにし、相手に負担させないように振り込みましょう。

正しい請求書を発行する(内容の間違い・送付漏れの場合) 

内容の間違いや送付漏れの場合は、速やかに正しい請求書を発行しましょう。

内容の間違いであれば「二重線を引いて、訂正印を押したもの」を送付する会社もありますが、印象は良くありません。

必ず、正しい請求書を作成して送付するようにしましょう。

その際は必ず詫び状等お詫びの言葉を添えるようにしてください。

内容の間違いでも送付漏れでも、正しい請求書を送付する場合には気を付けなければならないポイントがありますので、このあと詳しく解説いたします。

再発防止策を考える

どんなに気を付けていても、ミスが発生します。そのためにも

  • なぜ内容を間違えたのか
  • なぜ送付が漏れてしまったのか
  • なぜ二重請求をしてしまったのか

とミスを起こしてしまった原因についてしっかり考え、再発しないための方法・体制を社内全体で見直ししましょう。

ミスの内容によっては、会社に損失を与えてしまいますので、ミスを起こした人や部署の問題とせず、会社全体の問題として対処することが大切です。

請求書を再発行する場合に気を付けるべきポイント

それでは実際に再発行する場合のポイントについてです。

  • 「再発行」と明記
  • 枝番を振る
  • ダブルチェックの徹底

順番に詳しく説明しますので、しっかり確認しておきましょう。

「再発行」と明記する

請求書を発行する場合に気を付けるポイントのひとつは「再発行」と明記することです。

「再度請求書をお送りしますので、発送しております〇月□日付の請求書は、お手数ではございますが破棄していただきますようお願いいたします。」と伝えていても、破棄しない会社はあります。

そのため「再発行」と明記しないと、二重支払いをさせてしまい、さらに迷惑をかけてしまうという事態になってしまいますので、必ず「再発行」を明記しましょう。

枝番を振って再発行の事実を明確にする

請求書に「請求書番号」を振る会社は多いですが、再発行の場合は「新たな請求書番号」を振るのではなく「間違っている請求書の請求書番号に枝番を振る」ようにしましょう。

このようにすることで、間違っている請求書と正しい請求書の違いが分かります。

さらに、先ほど述べました「再発行を明記すること」と「枝番を振ること」で、取引先も自社も管理がしやすくなりますので、再発行の事実を明確にしましょう。

同じミスをしないよう社内でダブルチェックを行う

今までは取引先に対しての対応をお伝えしましたが、何よりも「同じミスをしないようダブルチェックを行う」ことが重要です。

会社の規模にかかわらず、請求書の発行に携わる経理は業務量が多く、きちんとチェックをしていても、ミスをしてしまうことは誰にでもあります。

「再発行した請求書も間違っていた」ということがないよう、複数人でチェックを行うようにしましょう。

なぜ請求書ではミスが起こりやすい?

では、なぜ請求書ではミスが起こりやすいのでしょうか。

原因は様々ですが、その中でも

  • 管理の問題
  • 共有ができていない
  • 人的ミス

が挙げられます。

取引先が多く管理ができていない

「管理の問題」で挙げられるのは、取引先が多いために管理ができていないことです。

取引先によって「毎月取引している会社」や「数か月に1度取引している会社」等様々で、中には「1年以上取引していない会社」と久しぶりに取引をすることもあります。

そのような会社の場合は、請求書の発行を忘れてしまうこともありますので、特に注意が必要です。

部署間での共有ができていない

「共有ができていない」というのは部署間での問題です。

取引先が大きい会社の場合は、支店ごとに取引をしていることがあります。

ひとつの支店でも処理が遅れてしまうことで、請求書の記載漏れが起こってしまいますので、請求書を発行する前に、担当部署へ確認をするようにしましょう。

チェック漏れのような人的ミス

「人的ミス」のほとんどがチェック漏れです。

間違った内容や金額・送付ミスは、きちんと確認をしていればミスを防ぐことができますので、1人で確認をするのではなく複数人に確認をしてもらい、さらに時間をおいて再度確認をするようにしましょう。

請求書のミスを再発させないための対策3選

請求書のミスを再発させないためには、どのような対策をとれば良いのでしょうか。

ここでは3つの対策をご紹介します。

①社内のチェック体制を強化する

再発を防止する対策として、まずは「社内のチェック体制を強化」することが重要です。

エクセルで請求書を発行する会社をリストにすると良いでしょう。

その際、請求金額欄や請求書を発行したときのチェック欄、確認者・確認日・送付日を記入する欄を作成するとミスを防ぐことができます。

②請求書に関する業務を外注する

請求書の発行に携わる経理の負担を軽減するもののひとつに「外注する」方法があります。

今では、請求書発行業務を請け負う個人事業主に、業務委託をする会社もありますので、十分な検討をしたうえで依頼をしてください。

③請求書のクラウドサービスを導入する

もうひとつは「請求書発行のクラウドサービスを導入する」方法です。

会計システムと連動させたり、WEB上で請求書の発行から送付までできますので、経理業務作業が格段に減り人件費の削減にも繋がります。

多くの請求書を発行しなければならない場合は、クラウドサービスを活用した方が効率化できますので、導入を検討してみるのも良いでしょう。

まとめ

取引をする上で、請求書は重要な文書です。

請求書の担当者が日頃きちんとしている人であれば、確認をする人は信頼して、きちんと確認をしないこともあるでしょう。

内容や送付間違い・二重請求等の原因は人によるものが多いので、同じミスを起こさないためにもしっかり対策を考えることが大切です。

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oneplus編集部

この記事の執筆者

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