人件費が売上の何パーセントかを表す指標・人件費率の解説と改善方法

企業のコストの中でも大きな割合を占める人件費は、経営判断の上でも非常に重要なコストで、その比率を見ることで自社の状況を判断していくことができます。

今回の記事では人件費について詳しく説明した上で、割合の考え方や計算方法も説明し、人件費を下げるための方法も複数に分けて解説しています。

人件費率の計算式とは「人件費が売上の何パーセントか」を求めるもの

企業の経営を行っていく上では、給料・賞与・法定福利費といった従業員に対して支払う人件費がかかり、企業の経営コストの中でも大きな割合を占めます。

人件費率とは、人件費が売上の何パーセントを占めているか割合を求める計算式で、この比率を使うことで自社の経営状況を把握したり他社と比べたりできます。人件費はコストの中でも大きな割合を占めるため、人件費率を積極的に分析して必要があれば改善していくと良いでしょう。

業界や職種によって様々な人件費率の指標がありますが、細かな割合は企業によって異なります。企業の実情に応じて比率の目標を定め、売上を増やすべきなのか人件費を下げていくべきなのか判断をしていきます。

人件費率を活用するために・人件費の内訳を確認しよう

1.現物給与にあたるもの

現物給与とは金銭以外の形で支払われるもので、具体的には次のようなものが挙げられます。

  • 食事や社員食堂

    …社員に対して食事を提供する仕組みで、会社によっては社員食堂で食事が低額や無料で提供されています。

  • 商品券やカタログギフト、会社の商品

    …企業によっては自社の商品を無料や割引価格で社員に配布しています。

  • 通勤定期券
  • 冠婚葬祭のご祝儀や香典、記念品等
  • 社宅・社員寮・保養所

2.現物給与以外で人件費に含まれるもの

次の 4つが挙げられます。

  • 退職金

    …退職一時金と退職年金が含まれ、退職に至るまでの労働に対して労いを込めて支払います。一般的には年数に応じて金額が決まっており、労働年数が長い場合には支払い金額が大きくなります。

  • 法定福利費

    …年金保険・健康保険・介護保険・雇用保険が含まれ、法律で定められた金額を企業が労働者に代わって納める費用です。

  • 福利厚生費

    …法定外福利費とも呼ばれ、法律で定められている範囲を超えて企業が独自に設定します。 社宅費用・ 慰安旅行費・自己啓発補助が挙げられます。

  • その他

    …人材の採用にかかる費用や研修費用が含まれ、”その他”とはいえ積み上げると大きな費用となるため、予測の際には折り込んでおく必要があります。

人件費率を評価する方法3つを解説

1.同業種の人件費率と比較する

人件費は、業種によって大きく異なります。例えば、手作業が必要な製造企業と製造工程がない卸売業では水準が違うため、両者の間で比率を比較しても経営判断には役立ちにくいです。

分析の際には自社の業種で比較をして、コストをかけすぎているのかもっと人材に投資しても良いのか判断しましょう。同じ製造業の中でも何を作っているかで数値は異なるので、業種の中でのさらに細かい分類にも注意が必要です。

各業種の人件費率(平均値)のデータ一例

平均値はおおよそ次のとおりです。

  • サービス業

    …40~60%。配達飲食35%、経営コンサルタント50%、介護60%

  • 飲食業

    …30~50%。そばうどん40%、中華料理35%

  • 宿泊

    …ホテルや旅館で30%。

  • 卸売

    …5~20%。化粧品卸売15%、木材卸売10%、野菜卸売5%。

  • 小売

    …10~30%。医薬品小売30%、コンビニエンスストア10%

  • 製造業

    …10%~50%。金属製品塗装50%、生菓子製造30%、麺類製造10%

人件費率が高くなる傾向がある業種

一般的にサービス業は、人件費が高くなる傾向にあります。コンサルティングのサービスや配達・介護では、人がお客さんに対して行うサービスそのものが価値となるため、売上の中で人件費の占める割合が大きいです。人が主な商品の源となる業種では、適切に人件費を支払い人に投資することが重要とされます。

また、手作業の多い製造業でも比率が高くなる傾向にあります。金属の塗装や、機械の加工、生菓子の製造といった”職人技”が求められる業種では割合が高いです。

人件費率が低くなる傾向がある業種

一般的に卸売や小売で、一人当たりの取扱金額が大きい企業では人件費率が低くなる傾向です。既にある商品を仕入れて販売していくモデルで、一人が大量の商品を仕入れて販売していくことが多く、人によっても効率の差が出やすい業種にあるため、個人の業績の管理も重要となってきます。

また、自動化の進んでいる製造業でも比率が低くなる傾向です。食品加工・製茶・化粧品等で機械が取り入れられている業種は低くなります。

2.人件費率と原価率の和の大小で評価する

企業のコストは人件費だけでなく、原料費・減価償却費・ 光熱費・ 家賃・通信費等も含まれ、どこにコストをかけたいかは業種や企業によって異なってきます。例えば同じ飲食店でも、蕎麦屋では原価よりも手打ち職人への人件費が大きくなる傾向にあり、逆に高級食材を扱うレストランでは原価率が高くなる傾向にあります。 

このように人件費はただ下げれば良いというものではなく、 ほかのコストとのバランスをみてどれぐらいの割合を支払うべきか判断していくことが求められます。ただ人件費を削ると、従業員が離職したり能力が上がらないといった問題が発生しやすいため注意が必要です。

3.人件費率と共に「労働分配率」を見て評価する

人件費率と共に労働分配率も見ると、より企業の経営状況を客観的に判断しやすくなります。

どちらかの指標だけに偏ることなく、複数の指標を用いて総合的に判断することで今後取るべき経営戦略が見えてくるでしょう。 

労働分配率の意味と計算式

労働分配率とは、新たに生み出された価値に対する人件費の割合を指します。2021年に経済産業省が発表した「2021年経済産業省企業活動基本調査」では次のとおりになっています。

労働分配率 = 給与総額 ÷ 付加価値額 × 100

(付加価値額 = 営業利益+給与総額+減価償却費+福利厚生費+動産・不動産賃借料+租税公課)

引用元https://www.meti.go.jp/press/2021/01/20220128001/20220128001.html#:~:text=%E2%91%A1%E5%8A%B4%E5%83%8D%E5%88%86%E9%85%8D%E7%8E%87%E3%81%AF,%E3%81%AE%E4%B8%8A%E6%98%87%E3%81%A8%E3%81%AA%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%97%E3%81%9F%E3%80%82

この割合を求めることで一人当たりの労働がどれぐらいの付加価値を生み出しているか判断できるため、 コストをどこまで抑えるか考える指標となるほか、新しく人を採用する際にもどれくらいの人数を採用するかの目安とできるでしょう。

労働分配率の平均値は40~60%

労働分配率の平均値は40〜60%となっており、上記「2021年経済産業省企業活動基本調査」では50.7%となっています。製造業では51%・卸売業では49.7%・小売業では49.4%となっており、人件費比率と比べると業種による差が出にくいのも特徴です。

もし平均値と比べて大きく高い場合には非効率な部分がないか見直し、大きく低い場合には過剰な労働環境となっていないか改善を図ると良いでしょう。 

人件費の事業に対する負担度合いと効果の兼ね合いが重要

人件費が平均値や例年と比べて高すぎる場合は、非効率になっている部分がないかや単価を過剰に高く設定していないか確認が必要ですが、人件費をただ押さえれば良いというわけではありません。

人件費が安すぎると、人材不足が加速したりコンプライアンス上問題が生じる等の事業の継続に関わるケースもあります。ビジネスの種類やフェーズに合わせて自社にとって最適な人件費の割合を検討し、時間をかけて改善していくと良いでしょう。

人件費率を改善する方法「売上高を増やす」「人件費を減らす」

1.売上高を増やす方法~商品価値の見直し・増額をする

利益率を改善するためにはコストを減らす方法に注目するだけでなく、売上高を増やす方法を考えることが大切です。売上を上げるとコストカットをしなくても、利益を大きくできます。

利益率を改善する為にコストカットのみを進めていく企業が多いですが、コストカットのみに頼ってしまうと原材料や人件費が高騰した時に対応が難しくなってしまうため、売上を上げる方向も常に検討しておくのが重要です。

売上高を増やす上では、販売数を増やすだけでなく単価を上げるのも有効です。

値上げをする際には競合の物やサービスとしっかり差別化し価格のみで競合と勝負することを避けると、適切な価格を設定できます。単価を上げた際に客離れが起きないよう、値上げをする前に物やサービス自体の価値を上げるように見直すのも重要です。

2.人件費を減らす方法

人件費を減らす方法にはいくつかやり方があり、それぞれメリットや注意点があります。どの方法が良いかは企業によって異なるため、他社の事例も参考にしながら自社にとって一番良い方法を探すと良いでしょう。

作業工程を見直して効率化する

最も簡単な方法として、作業工程の見直しがあります。

製造業の場合は、物を作る上でいらない工程や順番がないかをフロー図に起こして現場の社員とも話しながら常に改善していくのが一般的です。

小売業の場合は、販売員の動きに無駄がないかやお店のレイアウトを変えることで効率的にならないか検討できます。

簡単に取り組める一方で効果がすぐ出にくいですが、小さな改善を積み重ねていくことが重要です。

設備やシステム等の導入で効率化を図る

設備やシステムを導入することで効率化を図れます。

製造業の場合は、人手がかかる欠かせない作業には設備を導入すると効率化できるケースが多いです。

製造業以外でも手入力が必要な書類やデータ等でシステムを導入していくと、 各個人の残業時間の減少に繋がるでしょう。

設備やシステムの導入には初期費用がかかり、導入後の破棄は難しいため、費用が回収できるかを事前に精査しておくことが重要です。

人員数や配置を見直す

人数や配置を見直すこともできます。

作業効率の見直しや設備の導入を進め人員が余ってしまった際には、人員配置の見直しが必要です。

まずは他部署や売上をあげる方面に人材活用できないかも検討します。ひとつの部署だけで見ることなく、人事や経営層を中心に広く社内を見て適切な判断が求められます。

配置を見直しても人員が多い際には、徐々に採用数を減らしたり、他社への移動を紹介したりと、少しず削減を進めていくのが大事です。 

まとめ

今回の記事ではそもそも人件費とは何が含まれるかや、売上に対する人件費の割合を分析する方法をご紹介しました。比率は一律に判断するのではなく、業界・自社の経営状況・ほかにかかるコストを踏まえて判断することが大事です。

比率を改善するためにコストのみに着目するのではなく、売上を上げる方法も同時に考えていきます。また、人件費の削減方法にも様々なやり方がありますので、是非当記事を参考に最適な方法を見つけていただけたら嬉しいです。

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