人件費の高騰の現状と理由・企業が今後とるべき取り組みとは?

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試算表を見るたびに、人件費が気になる経営者は多いのではないでしょうか。経費に占める人件費は少なくありません。減らせるなら減らしたい経費のひとつでしょう。

この記事では、人件費が高騰している理由や背景について解説します。それだけでなく、将来の展望や、企業が取るべき人件費高騰への対策についてもお話ししています。

是非、最後までお読みください。

人件費の高騰の現状

現在、人件費が高騰しています。人件費の高騰を招く根本的な理由は、人手不足です。

総務省統計局の国勢調査によると、15~64歳の生産年齢人口は、平成7年(8726万人)をピークに年々減少し、平成30年には7545万人。また、総人口に占める割合も平成4年(69.8%)をピークに、平成30年には59.7%まで減り続けています。

引用:https://www.stat.go.jp/data/topics/topi1191.html

労働者の総数も割合も減少していることが理解できるでしょう。このような状況下では、労働力の奪い合いが発生します。

労働市場では労働力を確保するために企業の待遇競争が発生し、人件費の高騰が進んでいます。今後は団塊世代の退職によりどの業種もさらに人材が不足し、人件費が高騰することが予想されます。

建設業界の人件費の高騰状況

厚生労働省の毎月勤労統計調査によると、基本的に建設業の現金給与総額は右肩上がりです。

建設業界では賃金水準の高騰により、必要な人材を集めることが難しくなっています。人材不足により経営継続が困難となり、人手不足倒産が起きています。その原因は、以下のようなものです。

  • 東日本大震災等の復興需要や五輪特需で需要増
  • 技術を持った職人の数は横ばい

建設業界は、専門的知識・専門的技術が必要です。専門的知識を学び技術を身に着けた職人しか働くことができません。当然のことながら、職人の育成には時間がかかります。

もともと生産年齢人口の減少で人手不足のところに、急に増えた需要。人材不足により、各社は職人の奪い合いをするしかありません。人材を抱え込むためには、一人ひとりの人件費を上げざるを得ないのでしょう。

それ以外にも倒産の原因には、需要増による建築資材の価格上昇等もあります。

IT業界の人件費の高騰状況

IT業界は、売上高の約6割を人件費が占めています。良くも悪くも人材に左右される業界ですので、優秀な人材の確保と離職率の低下が企業の重要課題です。

また、ITスキルは汎用性の高い技術なので、人材の市場流動が高くなります。人材の重要性が高い業界にもかかわらず転職が起こりやすいため、優秀な人材を集めるためには好待遇でなければなりません。

ペーパーレス化・DX化により、今後ITの需要はますます高まるでしょう。業務の効率化や業界課題の解決等に、ITの活用は不可欠です。今以上にIT需要に対してIT技術者の供給が不足し、人件費がより高騰することが予想されます。

人件費の高騰は様々な業界に起こっている

人件費の高騰は、建設業界やIT業界だけの問題ではありません。

前述したとおり、日本では生産年齢人口(15~64歳)が減っていて、働き手となる人材が不足しています。今までと同程度の需要に対して、供給される労働力が少なくなれば、必然的に人件費はあがります。

今、人件費が高騰している理由は「人手不足」と「最低賃金」

「労働力人口」が減少している

前述したとおり日本では総人口が減少しているだけでなく、生産年齢人口も減少しています。労働市場では、慢性的な人手不足です。

中小企業庁の中小企業白書にある「従業員数過不足DI」の表からも、それが読み取れます。

「従業員数過不足DI」とは、従業員の状況について「過剰」と答えた企業の割合から「不足」と答えた企業の割合を差し引いた数値です。

プラスだと人手過剰で、マイナスだと人手不足だと言えます。

引用:https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2022/PDF/chusho/03Hakusyo_part1_chap1_web.pdf

コロナ禍の影響か2020年にはDIがプラスに転じることもありましたが、2013年頃からいずれの業種も従業員不足の傾向です。

内閣府の2019年の「企業意識調査」では、約7割の企業で人手が「不足」または「やや不足」と回答しており、多くの企業で人手不足を感じていることが伺えます。

同調査では企業規模が小さいほど正社員の未充足求人比率が高く、小規模の企業において人手不足がより一層深刻となっていると分析されています。つまりは、大企業に比べて中小企業における人手不足が深刻な状況です。

技能を身につけた人材が不足している

人手不足は、専門的な職種において特に顕著です。職種・職業によって、人手不足のものとそうでないものがあります。

厚生労働省の2022年5月の「一般職業紹介状況」によると、事務的職業の有効求人倍率が0.39倍であるのに対し、専門的・技術的職業の有効求人倍率は1.64倍です。その中でも、建築・土木・測量技術者は4.88倍もあります。

技術がないと働き手になれない・労働環境が厳しい等の理由から、特にブルーワーカーの技術職が不足していると考えられます。

有効求人倍率の変化

有効求人倍率とは、求職者1人に対して何件の求人があるかを示す数値です。「就職のしやすさ」の目安になり、数字が大きいほど売り手市場で就職がしやすい状況になります。1倍超であれば、求職者数を上回る求人があるという意味です。

景気に左右されやすい指標ではありますが、労働人口の減少を背景に2013年頃から1倍以上をキープしています。2022年4月現在は、全国平均で1.23倍です。

求人数に対して求職者数の方が少ない売り手市場ですから、自社を選んでもらうためには良い待遇を提示する必要がでてくるでしょう。

最低賃金引き上げの影響も

最低賃金は、中央最低賃金審議会から示される引上げ額を目安として、「労働者の生計費」・「類似の労働者の賃金」・「通常の事業の賃金支払能力」を考慮して決定されます。

東京都では、2011年は837円でしたが2021年には1,041円まで上昇しました。約24%の上昇です。

有効求人倍率が1倍以上と高い中、ほかの企業に競り勝ち人材を確保するには、最低賃金に上乗せした額を提示することが求められるでしょう。

そういった意味で、最低賃金の引き上げは人件費高騰に大きく関係していると言えます。

人件費高騰の中今後控える労働力不足「2025年問題」と「2030年問題」

団塊の世代が75歳以上になる「2025年に予想される問題」

2025年には、第一次ベビーブームだった1947年〜1949年に生まれた団塊世代が75歳以上の後期高齢者になります。

後期高齢者の増加に伴う医療費の増加によって財源が圧迫されると、社会保険料率が引き上げられる可能性があります。それを折半せねばならない企業の負担が増すでしょう。

日本の総人口の1/3が高齢者になる「2030年に予想される問題」

2030年には、日本の人口の約三分の一が65歳以上の高齢者になります。今のところ出生率の改善もなく未婚化も進んでおり、若年世代の急激な増加は期待できません。

生産年齢人口の割合・総数が減少すると、働き手が不足します。今以上の人手不足のため、人材の採用はより困難になるでしょう。

企業が今後を見据えてできる人件費削減の取り組みは?

業務効率化を図る

人件費という固定費を削減するには、バックオフィス業務をアウトソーシングするのが効果的です。これにより、人件費が変動費化できます。

【アウトソーシングが可能なバックオフィス業務の一例】

  • 営業資料の作成
  • 採用活動
  • 見積書・請求書・領収書の作成業務
  • 給与計算業務
  • 福利厚生関連の業務

業務効率化については、下記も参考にしてみてください。

>>業務効率化とは? 進め方やアイデア、おすすめツールについて解説

コストの見直しと削減でまかなう

人件費を削減するなら、残業をなくすのがもっとも効果的です。そのために、ワークフローシステムを活用して、社員の生産性を高めましょう。

【ワークフローシステムの一例】

  • 勤怠管理システム
  • 申請書・稟議書システム
  • 経費精算

ワークフローシステムを活用すれば、社員は煩雑な業務に割かれる時間・労力から開放されます。その分、社員はコア業務に集中ができます。

生活残業をしている従業員はともかくとして、残業代の節減に繋がるでしょう。

コスト削減の方法については、下記も参考にしてみてください。

>>会社のコスト削減に取り組む方法とアイデア12選

人件費を削減する方法の4つのポイント

人件費を削減して何をしたいのかを意識して行う

人件費を削減したいのなら、業務の全体像を掴んだ上でどこに無駄があるのかを把握しましょう。コスト削減のために、どう舵を切りたいのかはっきりしてくるはずです。

人件費の削減は方法によってはリスクを伴う

人件費を下げて利益率を上げたいと思うのは、経営者であれば一度は考えることでしょう。しかしながら、闇雲なリストラや給料の減額は経営に悪影響を及ぼします。

リストラにより社員を減らせば業務が回らなくなり、ノウハウを失うことになるでしょう。同僚が正当な理由もなくリストラされたとなれば、経営層に対する猜疑心が生まれかねません。

また、安易に給料を下げれば離職をされかねません。人手不足の中、同程度の力量を持つ人材を確保するのは容易ではないでしょう。

段階を踏んで少しずつ実行する

アウトソーシングやワークフローシステムを活用するにしても、段階を踏みながら計画的に実行していきましょう。

思いつきや急激な変革は、現場や取引先を混乱させます。

売上に関わらない経理等の部門から取りかかる

アウトソーシングやワークフローシステムを活用しやすいのは、バックオフィス業務です。バックオフィス業務はノンコア業務とも呼ばれ、売上に関わるコア業務とは対義語になります。

バックオフィス業務はある程度定型化されているものが多いため、アウトソーシング等を取り入れやすいです。

業務効率化を「oneplat」から始めよう

「oneplat」は、「納品書・請求書クラウドサービス」です。

取引先を登録することで、取引先から納品書・請求書をデータで受け取ることができます。また、取引先から受領した電子請求書は、会計システムと連携して自動取込みが可能で、仕訳が不要です。

電子帳簿保存法やインボイス制度にも対応しているので、このサービスを利用すれば自ずと法律に対応できます。

納品書・請求書業務や仕訳の入力、法律への対応はいずれも煩雑な上に「企業活動には必要なものの売上に繋がらない業務」です。

是非、oneplatを活用することで業務を効率化し、社内資源をコア業務に集中させ、企業の生産性を向上させませんか。

まとめ

人件費の高騰は、人手不足が問題の根幹にあります。そして、人手不足は今後ますます深刻化していく社会問題です。

企業は、人件費の高騰・人材確保に対応していかねばなりません。その対策に、アウトソーシングやワークフローシステムの活用があります。

アウトソーシングやワークフローシステムを活用することで、業務を効率化することが可能です。

それだけではなく、バックオフィス業務のような売上に関わらないノンコア業務にあてる時間や労力を売上に関わるコア業務に振り分けることができれば、企業の生産性向上も期待できるでしょう。

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oneplus編集部

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