助成金とは? 活用するメリットや注意点、補助金との違いを解説

助成金という名前は知っているものの、例えば「国や自治体から受給できるお金」のようなイメージしか思い浮かばない方も多いのではないでしょうか。

そこで今回の記事では、以下のポイントについてお伝えしていきます。

  • 助成金とは何なのか?補助金との違いは?
  • 助成金を活用するメリット
  • 助成金申請を行ってから受給するまでの流れ
  • 助成金申請時の注意点
  • 活用しやすい助成金例
目次

国や自治体から支給される「助成金」とは何か?

助成金とは法人や事業主を支援するためのお金

助成金とは、国や地方公共団体等の自治体が交付するお金のことです。資金力が不足している法人または個人事業主に交付することで、「人材の雇用」や「職場環境の改善」等の課題解決の支援を行っています。

ほかにお金を支給してもらう方法として金融機関からの融資が考えられますが、最も異なるのが助成金は返済不要な点です。また融資のように審査がなく、決められた要件を満たすことで受給が可能になります。

助成金は大きく2つに分類できる

助成金の種類は、下記の通り大きく2つに分けることができます。

  • 雇用関係の助成金(主に厚生労働省が管轄)
  • 研究開発型の助成金(主に経済産業省が管轄)

雇用関係の例としては、主に「人材の採用(新規または中途)」「既存社員への教育研修」「定年の延長」等が挙げられます。また研究開発型の例としては、「新規事業への開発費」「新市場の調査費用」等が挙げられるでしょう。

その他の違いは、下図にまとめました。

【雇用関係】【研究開発型】
助成金の数 20〜40種類ほど 3,000種類以上
応募するタイミング 年中 年に1〜2回の場合が多い
支給金額 1〜500万円ほど 500〜5,000万円が多く、中には1億円を超えるものも存在する

補助金との違いは支給を受ける難易度にある

国や地方公共団体等の自治体から交付されるお金として、助成金のほかに補助金も存在します。2つの違いは、「審査通過の難易度」です。補助金はコンペ形式なので、申請する企業や個人が多いと、その分倍率が上がります。よって、申請しても交付されない場合も出てくるでしょう。一方、助成金は要件を満たしていれば交付してもらうことが可能です。

助成金を活用する4つのメリット

1.基本的には返済の必要がない

金融機関や消費者金融から借入を行った場合は、返済する必要があります。しかし助成金は返済の必要がありません。

経営環境や資金力の厳しい中小零細企業や個人事業主を主な対象としている助成金もあるので、要件を満たせるのであれば積極的に活用してみましょう。

2.補助金よりも受給できる可能性が高い

助成金は申請要件を満たしてさえいれば、交付してもらえる可能性が高いです。また一年を通して申請を行うことができるので、申請をしてから入金までが比較的スムーズに進むでしょう。

一方、補助金は要件を満たしているだけでは交付してもらえません。経営計画書の提出や、中にはプレゼンテーションを求められる場合もあります。実際に入金されるまでに、かなりの手間と時間を要するでしょう。

3.増額される助成金も中にはある

助成金の中には「3年前と比較して生産性が6%以上アップしている」という生産性要件が達成できていると判断された場合は、交付額が増額されるものもあります。最もイメージしやすいのは、助成金の活用によって利益が増えた場合ではないでしょうか。

ただしすべての助成金で認められているわけではなく、「地域雇用開発助成金」「業務改善助成金」等、生産性要件が定められている助成金が対象になります。

4.労務環境の整備に繋がる

助成金は申請要件を満たしていれば交付を受けることが可能ですが、申請時に必要な書類には「就業規則」「出勤簿」等が多くあります。これらの資料を準備することが、すなわち人事労務管理の体制強化にも繋がるでしょう。

労務環境を整備することは法令遵守の観点からも必要なことですし、社員の定着等にも良い影響を及ぼすことになるはずです。

1年かかることもある・助成金の申請から受給まで

1.「実施計画」を作成して申請する

まず行うべきことは、実施計画の策定です。助成金によって要件が決まっているので、その要件に従って作成を行いましょう。

全般的に記載が求められる項目例は、下記の通りです。

  • 計画を予定している期間
  • 対象者
  • 「目標」と「それを達成するためのアクションプラン」

2.「実施計画」を実施する

次の段階は計画の実施です。

計画の実施は、実施計画を認定されてから行わなくてはいけません。もし認定前に実施してしまうと、助成金の交付が受けられなくなってしまうので注意しましょう。

3.実施完了したら支給を申請する

計画の実施が完了したら、次は支給申請を行います。

「支給申請書」と「その他、申請に必要な書類」の準備が完了したら、提出しましょう。

申請はいつ行ってもいい訳ではなく、期限が決まっています。提出し忘れないように、早めに行動することがおすすめです。

また申請時に提出する書類は、コピーを取っておきましょう。なぜなら、支給が決定してから5年間は保存しておかなければいけないからです。

4.助成金を受給する

支給申請後に審査が行われ、審査を通過したら受給決定です。

なお、審査時に実地調査が行われる場合もあります。書類の確認や、従業員へのヒアリング等が考えられるでしょう。実地調査を拒否すると受給ができなくなるので、必ず応じるようにしてください。

助成金の申請前にチェックしておきたいこと

助成金に指定された要件を満たしているかは要チェック

助成金の申請において、どの申請にも共通している要件があります。下記に示した要件をクリアできなければ、どの助成金も受給することはできないので注意しましょう。

  • 雇用保険適用事業者であり、労働保険を滞納せずに支払っている
  • 申請に必要な資料の準備・保管
  • 実地調査が必要になった場合は、受け入れ可能である
  • 申請期限を守る
  • 過去に不正受給をしたことがない
  • 性風俗関連や接待を伴う飲食店ではない
  • 法律に則って労務管理を行っている

支給対象となる事業主には「範囲」があることも要チェック

助成金の中には、社員数や資本金額等で対象を絞ったものがあります。自社が申請可能な条件に該当するか、事前に必ずチェックするようにしましょう。

また申請はどの事業主でも行える場合でも、申請する企業の事業規模によって受給額が変わる助成金もあるので確認が必要です。

支給がいつになるのかも要チェック

助成金は申請を行ったからといって、すぐに受給できるわけではありません。短くても2〜3か月、長ければ1年ほど要することを覚えておく必要があります。

希望する助成金の受給までの期間を、申請前にチェックしておきましょう。

助成金を活用するにあたっての注意点

受給まで時間がかかるので当面の資金は必要になる

助成金は申請してから受給するまでに、長いものだと1年〜1年半ほどの期間を要するものもあります。また助成金は、実施計画が完了した後に支払われる「後払い」であることも注意が必要です。

申請時に提出した計画書を実行するため、まずは先に資金を投入しなくてはいけません。当面の資金は自社で準備しなければいけないので、助成金を当面の資金繰り改善の当てにするのは避けたほうがいいでしょう。

書類の作成に時間やスキルが必要になる

助成金の中には計画書の提出を求められるものがありますが、実務で作成したことがある方は少ないのではないでしょうか。また期限が決められている中、慣れない法律用語を解読しながら書類作成や準備を行うのに時間を要してしまうかもしれません。

最も避けたいのは、時間をかけて準備した書類等が申請要件を満たせずに受給できなくなってしまうことです。申請前に、相談できる専門家を探しておくのも良いでしょう。

人気の助成金は早めに受付終了になる

助成金は予算事業であるため、申請者が多いものは予算がなくなり次第、予定より早めに受付が終了してしまいます。

受給したい助成金を確実に狙うためには、日々の情報収集が欠かせません。助成金についての情報を集めるためには、下記の方法が考えられます。

  • 市役所、商工会等でパンフレットをもらう
  • 顧問税理士、社労士等の専門家に相談する
  • 助成金を専門とするコンサルタントに依頼する
  • インターネットを活用して情報収集を行う

事業者にとって活用しやすい助成金の種類3つ

1.雇用調整助成金(厚生労働省)

コロナ禍の影響によって利用する事業者が増加したのが、雇用調整助成金です。

雇用の維持をするために従業員を解雇しないで、一時的に休業をしてもらう場合があるでしょう。こうした場合に事業主は従業員に休業手当を支給しますが、その一部または全額を国から受給することができます。

このように何らかの理由によって経済的に厳しい状況で、経営を現状のまま進めていくことが難しくなっている事業主が利用できる助成金となります。

2.業務改善助成金(厚生労働省)

企業によって定められているであろう最低賃金について、引き上げを考えている中小零細企業を支援することが目的の助成金です。

「業務改善」と名が付いているのには、意味があります。最低賃金のアップには事業で利益を増加を増やすことが求められ、そのためには業務改善を行って生産性を向上させる必要があるからです。

例としては、設備投資資金、人材育成や社員教育を目的とした研修・セミナー費用等が該当するでしょう。こうした費用の一部を、業務改善助成金として受給します。

3.働き方改革推進支援助成金(厚生労働省)

従業員の労働環境をより良いものにするため、様々なことに取り組んでいる事業者を支援する助成金です。2022年6月時点では、下記3つのコースがあります。

  • 労働時間短縮・年休促進支援コース:
    「時間外労働の削減」や「有給休暇・特別休暇の取得促進」等の環境整備を進めている事業者向け。
  • 勤務間インターバル導入コース:
    勤務が終了した後、次の勤務の間に一定の休息時間を儲けることを「勤務間インターバル」と言います。こうした従業員の睡眠時間やプライベートな時間の確保を推進している事業者向け。
  • 団体推進コース:
    労働組合等、従業員の職場環境改善のために活動している団体向けの助成金です。

【まとめ】メリットや注意点を押さえて助成金を活用しよう

今回の記事では、助成金全般についてお伝えしてきました。

  • 助成金とは中小企業や個人事業の支援を目的とし、国等から交付される返済の必要がないお金のこと。
  • 定められた要件を満たせば受給できる可能性が高いので、「労働環境の改善」「生産性の向上」等を目指す際には積極的に活用するべき。
  • 申請してから受給するまでに、長いと1年半ほど要する場合もある。資金は先出しする必要があるので、資金繰り目当てに行うものではない。

企業活動を継続して行っていくためには、「従業員の働きやすい環境」や「利益を生み出しやすい企業体質」を目指していく必要があります。助成金をうまく活用して、より良い企業作りを行っていきましょう。

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oneplus編集部

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