領収書の名前なしは違法?宛名が必要ないケースと取り扱い方法を解説

「宛名がない領収書ってどう取り扱えばいいの?」「宛名がなかったら不正扱いされる?」「経費として落とせないとかある?」

こういった疑問をお持ちではないでしょうか。結論から述べると、領収書に宛名がなくても違法ではありません。ただし、基本的に宛名は書いてもらうようにしましょう。

今回の記事では、宛名が必要になるケースと取り扱いの注意点を解説しています。宛名がない領収書の扱いに困っている人は、是非参考にしてみてください!

領収書が名前なしだと困るケースとは?5つのパターンに分けて解説

上記で述べたとおり、領収書は宛名がなくても違法ではありません。宛名がなくても経費として計上できます。宛名がない領収書があるからといって、自分で書き加えたりしないでくださいね。

しかし、違法ではないからといって宛名を書いてもらわなくていいわけではありません。宛名がないことで、思わぬトラブルが発生する可能性があるからです。

まずは、宛名がないことで発生する可能性のあるトラブルについて5つ紹介します。

  1. 消費税の仕入税額控除が受けられない
  2. 税務調査の否認によって経費計上できない
  3. 二重請求のリスクがある
  4. 領収書を不正利用される可能性がある
  5. 社内の経理に領収書を受け取ってもらえない

詳細は以下をご覧ください。

1.消費税の仕入税額控除が受けられない

領収書の宛名がないと「消費税の仕入税額控除」が受けられません。この制度を利用しないと、事業主は余計な税金を支払うことになります。

「消費税の仕入れ税額控除」とは、事業者が仕入れの時に支払った消費税を差し引いて計算する制度のこと。

国税庁の記載を確認すると、税額控除を受けるには領収書に以下の項目が記載されている必要があると述べられています。

  1. 発行者
  2. 取引日時
  3. 取引内容
  4. 金額
  5. 書類受取人の宛名

項目事項に「書類受取人の宛名が必要である」と明記されているため、宛名がない領収書では控除が受けられないというわけです。

例外として、宛名がない領収書でも控除が受けられる場合があります。具体的には以下2つの条件いずれかを満たしている領収書です。

  1. 3万円未満の領収書
  2. 宛名が不要とされている業種の領収書

3万円未満であれば、帳簿に取引内容が記載されていれば宛名なしでも問題ありません。また、宛名の記載が省略可能な業種からの領収書も問題なく控除の対象になります。スーパーのレシート等には宛名が記載されてないですよね。

一部例外はあるものの、控除を受けるためには領収書に宛名の記載が必要になる点は覚えておきましょう。

参考文献:国税庁
参考文献:国税庁

2.税務調査の否認によって経費計上できない

領収書に宛名がなくても経費として計上できます。しかし、税務調査の際に怪しまれないよう宛名は記載しておきましょう。

宛名がないことで該当する領収書が経費として認められなかったら、余計な税金を払うことになります。

特に注意が必要なのは、高額取引の領収書。高額な取引の領収書なのに、宛名がないとなると、本当に取引実態があるのかと怪しまれてしまう可能性があります。場合によっては、反面調査が行われるかもしれません。

反面調査とは、本当に取引の実態があるのかを取引先に伺って確認をとることです。取引先の会社に手間を取らせてしまいます。

宛名がないことで、領収書が否認されることはごく稀です。しかし、調査員の心証に関わるので宛名の記載されている領収書を用意するようにしましょう。

3.二重請求のリスクがある

領収書に宛名がないということは、誰が支払ったのかを証明できないということです。つまり、取引先から二重請求されてしまっても、すでに払った証拠を提示できません。

宛名を領収書に書いてもらうことは、自分の身を守るためにも必要なことなんです。

悪意がなく、取引先の勘違いで「まだ支払ってもらってない」と言われる可能性だってあります。トラブルを避けるためにも領収書には必ず宛名を書いてもらうようにしましょう。

4.領収書を不正利用される可能性がある

領収書の宛名が空欄になっていると、第三者から不正利用される可能性があります。第三者があなたの領収書を利用して架空経費として計上するかもしれません。

そこでトラブルに巻き込まれるのはあなたです。不正利用に加担していなくても、税務署等の各所から調査が入ることは想像に容易いです。

領収書の不正利用などはレアケースですが、絶対にないとは言い切れないので宛名は書いてもらうようにしましょう。

5.社内の経理に領収書を受け取ってもらえない

会社の従業員であっても領収書の取り扱いには注意が必要です。宛名が記載されていないことで、経理に受理されない可能性があります。つまり、会社の経費で落とすことができず自腹を切る可能性があるということです。

無駄な出費を増やさないためにも、領収書の取り扱いについて事前に確認をとっておきましょう。

領収書を名前なしで発行する業種もある

今回の記事では、領収書には必ず宛名を書いてもらうことを推奨しています。

しかし、一部例外もあります。宛名なしでの領収書発行が認められている業種もあるからです。

以下に当てはまる業種は、領収書発行の際に宛名を記載しなくてもよいとされています。

  1. 小売業
  2. バス、鉄道、航空会社などの旅客運送業
  3. 旅行に関する事業
  4. 飲食業
  5. 駐車場業

スーパーは小売業に含まれます。受け取るレシートに宛名は入ってないですよね。駐車場の利用も、わざわざ宛名を書いてもらうことはしないと思います。

上記に該当する業種が発行する領収書は、宛名がなくても問題ないので心配する必要はありません。

調査員によっては、レシートの方が信用度が高いと考えている人もいます。手書きと比べて不正がしにくいからです。

宛名が不要な領収書もあると覚えておきましょう。

領収書取り扱いでの注意点は?5つのポイントでトラブル防止

ここからは、領収書を取り扱う際の注意点を紹介します。

今回は、宛名に関する注意点をメインに、5つの注意点をピックアップしました。

  1. 可能な限り領収書には宛名を書いてもらう
  2. 宛名は正確に書いてもらう
  3. 取引内容をできるだけ詳細に記しておく
  4. 宛名は自分で記入してはいけない
  5. 宛名なしと同じ扱いになる記載方法がある

紹介する注意点を守ってもらえば、領収書に関するトラブルの多くを予防できるはずです。詳細は以下をご覧ください。

1.可能な限り領収書には宛名を書いてもらう

これまでも伝えてきましたが、領収書に宛名を書いてもらうに越したことはありません。時間がないときなど適当に済ませてしまう方もいらっしゃるでしょうが、トラブルを防ぐためにも、宛名は書いてもらいましょう。

特に高額な取引を行った場合は、必ず宛名を書いてもらうようにしてください。高額な領収書は、税務署も入念にチェックします。まとまった金額の領収書が否認されたら、支払う税金が高くなってしまいますよ。

他にも様々なトラブルが懸念されるので、手間と思わずに宛名は書いてもらうようにしましょう。

2.宛名を正確に書いてもらう

せっかく宛名を書いてもらっても、宛名が間違っていたら意味がありません。ただ書いてもらうだけでなく「正確に」書いてもらう工夫をしましょう。複雑な名前だったり、聞き慣れない名前だと間違えてしまうかもしれません。

宛名を正確に書いてもらうため、以下の点を抑えておくとよいです。

  • 会社名や部署名には「御中」をつけてもらう
  • 個人名ならフルネームに「様」をつけてもらう
  • 屋号がある場合は、屋号のあとに個人名を記載してもらう
  • メモや名刺を見せて正式な名称を伝える
  • 訂正してもらう際は二重線の上に印鑑を押す

発行側に抑えておいてほしいポイントではありますが、相手が領収書の扱いに慣れているとは限りません。宛名を正確に書いてもらう工夫をして適切な領収書を発行してもらいましょう。

3.取引内容をできるだけ詳細に記しておく

宛名がない領収書を既に受け取っており、再発行や訂正が難しい場合もあると思います。再発行や訂正が難しい場合は、帳簿や領収書の裏などにどういった取引をおこなったのかを詳細に記しておきましょう。

領収書に不備があっても、帳簿に正確な情報が記されてあることで情報不足をカバーできることもあります。税務署の心象も良くなるでしょう。

特に、感熱式のレシートなどは取引内容が見えなくなってしまう場合があるので取引内容をこまめに記載しておくことをおすすめします。

4.宛名は自分で記入してはいけない

領収書に宛名が書いていないからといって、自分で記入するのはやめましょう。領収書の改ざんにあたるからです。

宛名が書いていないのであれば、取引先に問い合わせて再発行してもらうか、空欄のままにしておくのが無難です。

「宛名を自分で書くくらいなら、バレないでしょ」と思うかもしれませんが、筆跡の調査を行う税務署もあります。変に怪しまれるくらいなら、宛名は空欄にしておいた方がよいです。

5.宛名なしと同じ扱いになる記載がある

宛名の部分に「上様」と記載してもらうのはやめましょう。宛名なしと同じ扱いになります。上様と記載しても、適切な領収書としては扱われません。

上様と記載された場合は、訂正もしくは再発行してもらった方が良いでしょう。

まとめ:領収書の名前なしには注意しよう

領収書に宛名がなくても法律上は問題ありません。ただ、宛名がないことで不利益を被ることがあるので可能な限り宛名を記載してもらいましょう。

特に、取引額の大きい事業主は宛名の取り扱いに注意した方がよいです。消費税の控除が受けられなくなったり、経費として認められないリスクがあります。

すでに宛名のない領収書を受け取ってしまった場合は、再発行してもらうか、帳簿へ取引内容を詳細に記すことでカバー可能です。

取引先から受け取る領収書は、宛名がきちんと記載されているかを確認してから受け取るようにしましょう。

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oneplus編集部

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