領収書とレシートの違いとは?経費精算の注意点やよくある疑問を解説

経理作業を行う際に必須資料として定番の「領収書」と「レシート」。

長年経理を担当している人でも「それぞれの役割を明確に把握し説明できる」と言える割合は少ないかもしれません。

今回の記事では「領収書とレシートの違いを理解する」という基本的なことから「共通して注意しなければいけない点」まで幅広く紹介していきます。

領収書とレシートの違いを理解しよう

領収書とレシートの異なる点としてまず思い付くのが「記載内容」ではないでしょうか。

「店名」「日付」「購入したもの・サービス」「金額」等はどちらも記載があります。

唯一、領収書にのみ記載されているのが「宛名の有無」です。

しかし、実は「宛名の有無」だけでは判断が難しい場合があるのをご存じでしょうか。

皆さんも馴染みがあるであろうコンビニ等で受け取る領収書には、宛名の記載がされていない「レシートタイプの領収書」が存在します。

領収書とレシートの相違点について知ることは、経理を行っていく上で大切であり、また税法上での考え方等も含めて紹介していきます。

経費の精算でレシートは使えるのか

まず結論を述べると、レシートを経費の精算で使うことは可能です。

経費計上するために必要な情報は、以下の4点。

  • 「いつ」:購入年月日
  • 「どこで」:購入した店名等
  • 「何を」:購入したもの・サービス
  • 「いくらで」:購入したもの・サービスの金額

レシートには上記4つの情報について記載があることがほとんどなので、経費精算で利用することは全く問題ありません。

レシートでも経理書類として有効な場合がある

上記の通り、「購入年月日」「購入した場所(店名等)」「購入したもの・サービス」「購入金額」の記載があるレシートであれば、経理書類として有効です。

よくある勘違いとして「宛名が書いてある領収書でなければいけない」と考えている人が多いですが、必ずしもその必要はありません。

なお、レシート以外でも「領収証」「お買い上げ票」等の書類も経理書類として問題なく使用できる場合がありますので、覚えておくようにしましょう。

消費税法上宛名が必要

消費税法上、経費精算を行う際の証拠書類として、下記項目の記載が必須です。

  1. 「書類作成者の氏名」または「会社名・店名」
  2. 「購入年月日」
  3. 「購入したもの・サービス」
  4. 「購入金額」
  5. 「書類を受け取る人の氏名、または会社名」

この⑤が重要であり、消費税法上、経費精算に利用できる書類として「宛名」の記載がないといけません。

社内では経費精算として認められているとしても、税務調査の証拠書類として認められるかどうかは別物です。

少しでも疑義を抱かれるような書類はなくしていきましょう。

宛名が必要ないケース

宛名が必要ないケースも、例外として認められています。

下記5つの業種で支払いをした際の領収書は、宛名の記載がなくても問題ありません。

  • 飲食業
  • 小売業
  • 駐車場業
  • 旅行業
  • 旅客運送業(飛行機、バス、タクシー、船舶、鉄道等)

これを見ると交通費や雑費購入時等、仕事上で使う経費の多くは「宛名が必要ない」ことに気付かれるのではないでしょうか。

宛名が必要ないケースは、レシートで問題ありません。

レシートが領収書よりも信用されることもある

レシートは「購入年月日」「購入した店名」「購入した商品・サービス」「購入金額」の記載があります。

この記載内容については、税務上「取引の証拠」として必要な項目をすべて網羅しています。

一方、領収書は宛名が「上様」であったり、購入した内容が「お品代」と記載されていることも多いのではないでしょうか。この記載方法では、取引の詳細について不明瞭です。

またレシートとは異なり、領収書は「手書き」のものが多く存在します。

金額等を自分たちの都合のいいように変更することが簡単にできてしまうので、慎重な判断が必要になる場合が出てくるかもしれません。

こうした理由から、信頼面でレシートが上回ることもあるのです。

会社ごとのルールに従う

ここまで領収書とレシートの違いや経費書類としての取り扱い等について紹介してきましたが、基本的には会社のルールに従いましょう。

経費書類が重要になる場面として上げられるのが、税務調査です。

もし税務調査となった場合は、会社としては滞りなく進めたいでしょう。

税務調査で指摘される可能性のある「宛名のない書類」「取引詳細が不明瞭な書類」は会社にとってもリスクとなります。そのため一般論ではなく、まずは会社ごとのルールに則って書類提出を行うようにしましょう。

レシート以外で領収書代わりとなる書類は?

レシート以外でも、領収書の代わりとして使用できる書類はいくつもあります。

国税庁が証拠書類として活用可能なものを公開しています。

  • 領収証
  • 受取書
  • 預り書
  • お買い上げ票
  • 「代済」「相済」「了」等と記載されている書類

これらの書類も領収書代わりに使用可能なので、今回を機に覚えておくと役立つかもしれません。

クレジットの明細や電子マネーの支払履歴等

クレジットカードの利用明細も領収書代わりになります。

個人のカードを利用した場合は、カード会社から送られてくる利用明細を活用しましょう。

なお、以下の項目が記載されている必要があるので注意してください。

  • 店名
  • 使用した年月日
  • 購入した商品・サービス
  • 購入金額
  • 購入した人の氏名

法人カードを利用すれば、明細ひとつで管理できるのでおすすめです。

同様に、電子マネーの支払履歴も領収書の代わりとなる書類になります。

印刷して保管するようにしましょう。

もし電車賃を電子マネーで支払った場合は、券売機で印字することも可能です。

出金伝票

出金伝票も領収書の代わりとして使用することが可能な書類です。

出金伝票とは、文字通り「現金が出ていった場合の取引を記録しておくための書類」のことで、領収書やレシートが再発行できない時にも使われます。

出金伝票を活用する例としては「取引先の葬式、結婚式等の慶弔」があるでしょう。

特に決まった形があるわけではないので、文房具店でも購入できますし、自社でエクセルを用いて作成しても大丈夫です。

しかし高額な場合は、税務署に認めてもらえないケースもあります。なるべく受け取った領収書等はなくさないように気をつけてください。

領収書とレシート共通の注意点

ここまで主に領収書とレシートの違いについて紹介してきましたが、共通する注意点もあるので以下でしっかり抑えておきましょう。

50,000円以上ならレシートでも収入印紙が必要

取引金額50,000円以上の場合は、領収書でもレシートでも収入印紙を貼る必要があります。ちなみに取引金額100万円以下であれば、収入印紙の金額は200円です。

もし収入印紙を貼り忘れてしまうと、印紙税法により過怠税を支払わなければいけません。

税額は本来支払うべき金額の3倍にもなってしまうので、注意が必要です。

また「収入印紙の金額が不足している場合」「割印がない場合」でも、発行する側に罰則を課されてしまいます。金額の大きい取引の際は気をつけて処理しましょう。

社判や印鑑は押印しなくても問題ない

社判や印鑑のない領収書やレシートでも、問題ありません。

印鑑がないと使えないのではないかと考えてしまいますが、実は法律で定められているわけではないのです。日本独特の慣習によるものが大きいのではないでしょうか。

ただし、領収書は手書きのものが多いため、虚偽の金額を報告する等、偽造が簡単にできてしまう点には注意が必要です。企業としては不正を防ぎたいので、印鑑のある領収書しか認めていないところもあります。

法人なら7年間保管すること データでもOK

領収書もレシートも「証憑書類」として、保管が義務付けられています。

税務調査等が入った場合にも取引を証明する書類となるため、破棄することはできません。

保管期間ですが、法人は「7年間」と決められています。

ここで要注意なのが「決算報告書の提出期限の翌日」から7年間となること。

例えば3月決算の企業の場合は5月末が提出期限なので、翌日の6月1日から7年間となります。

また書類は、紙媒体でなくPDFや画像等のデータとして保存しておくことも可能。

ただしデータで保存する場合は、事前に税務署への申告が必要です。

領収書やレシートの再発行はできるのか

領収書とレシートの再発行は、基本的にはできません。

また、もし再発行を求められた場合でも応じる義務はありません。

もし再発行を求められた際の対応方法や気をつけるべき点について、紹介していきます。

再発行を求められても応じる義務はない

先述したように領収書やレシートの再発行を求められたとしても、それに応じる義務はありません。

とても大切なことなので、つい応じてしまうことがないように必ず覚えておきましょう。

特に現金で支払った場合では証拠となるものが何も存在しないので、後々証明することがとても難しくなってしまいます。

クレジットカードや電子マネーで会計をしたのであれば、利用明細や支払履歴で確認してもらうようにお願いするのがいいかもしれません。

領収書やレシートを再発行する側の注意点

もし依頼者からの要求に従って再発行を行ってしまうと、税務調査等で依頼者の二重計上(=脱税)の疑いが生じる可能性があります。

再発行をしてしまった側も「脱税の共犯」として疑われる可能性があることは覚えておきましょう。

さらに税務署から、二重発行を日頃から行う会社であるとマークされる可能性も出てきてしまいます。安易に再発行に応じるようなことは、決して行わないようにしましょう。

もしあなたが領収書やレシートの再発行をお願いしたい立場になった時は、聞き入れてもらえる確率は低いかもしれませんが、どうしても必要な場合は依頼してみましょう。

その際に行ったほうがいいポイントを3つ紹介します。

  1. 確実に支払っている事実を証明する資料を準備
    もしクレジットカードで支払っていたら、明細を事実確認の資料として活用します。また電子マネーを使ったのであれば、ネット上で支払履歴をチェックしてみましょう。
  2. 再発行をお願いしたことが証拠として残るよう、文書作成を行って依頼
  3. どうしても再発行が必須である理由を伝える

領収書やレシートを紛失し再発行してもらえない場合

領収書を紛失してしまい、さらに再発行を対応してもらえない場合でも、諦めることはありません。税務上でも問題が起きないように、どのように対応するべきなのか、具体的な方法を紹介していきます。

利用明細や出金伝票、支払証明書で対応を

実は、支払金額が3万円未満の場合は、領収書の保存は税務上は不要です。

逆を言えば、3万円以上の領収書の保管は絶対行わなければいけません。

「だったら3万円以下の場合は、最初から領収書をもらわなくてもいいのでは?」

と思ってしまうかもしれませんが、その考えは捨てましょう。そもそも金額で判断はせずに管理することが大切です。

理由としては前述の通り、法人は少なくとも7年間は領収書もレシートも「証憑書類」として保管しておくことが義務付けられているからです。

紛失してしまい再発行も不可であるなら、クレジットカードは利用明細を保管してください。また先方に出金伝票や支払証明書の作成をお願いしてみるのもいいかもしれません。聞き入れてもらえる確率は高まるでしょう。

これらは何もないよりはあった方がいい代替書類ではありますが、やはり領収書やレシートに信頼性という面では敵いません。いざという時に困らないためにも、領収書やレシートは紛失しないように管理していくことが重要になります。

レシートとつながった領収書は切り取るべき?

領収書をお願いした時に、渡された領収書がレシートと繋がっていることがあります。このような状況になった際、どのように管理していくのが適切でしょうか。

結論としては、切り取らずにそのまま保管しておくことをおすすめします。

支払いの内容を証明するため一緒に保管がベター

レシートと繋がった領収書を受け取った際は、切り離すことはせずに一緒に保管しておきましょう。もちろん領収書さえ保管しておけば、特に問題になることはありません。

今回のケースのように2つが一緒になっている場合は、レシートに購入した内容の詳細が記載されているはずです。何を購入したのかを証明できる大切な資料になるので、分けることはせず一緒に保管しておくことをおすすめします。

領収書とレシートを二重発行してしまった時の対処

レシートをお渡ししてから、領収書の作成を求められることもあるでしょう。その際に、レシートを回収することを忘れてはいけません。

なぜなら、両方を渡すことで経費を二重に計上できる状況を作ってしまうからです。

もし相手が不正利用を行ってしまったら、違反者だけではなく発行した側についても罪に問われる可能性もあります。

万が一、どちらかを回収することを忘れてしまった場合の対処法について、紹介します。

トラブルの元になるので片方は破棄してもらう

もしレシートの回収を失念して両方を渡してしまった場合は、必ず片方を破棄していただくよう先方にしっかりと伝えましょう。気づいておきながら何も対処せずに放置すると、トラブルの原因になる可能性があります。

前述の通り、二重発行した側も罪に問われるかもしれません。

もし共犯を疑われてしまうと、「私文書偽造罪」を問われる可能性も出てきます。そして有罪になると、3か月以上5年以下の懲役になる恐れも。

未然にトラブルを防ぐためにも、必ず破棄をお願いするようにしましょう。

まとめ

「領収書とレシートの違い」から「共通して注意すべき点」まで、幅広く紹介しました。

大前提として是非大切にしていただきたいのは、お金に関する重要な情報が載っている書類(=領収書&レシート)を必ず保管しておくことです。

領収書が重要であることを認識されている人は多いですが、レシートの方が信頼度が高い場合もあることは覚えておくべき点です。

税務調査等はいつ来てもおかしくありません。

いざという時に慌てないように、普段から細心の注意を払い処理していきましょう。

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oneplus編集部

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