AIにはディープラーニングが必要?仕組みや課題、活用方法等も紹介

日常生活でもAI技術を目にすることは増えてきているのではないでしょうか。近年、AIを成長させていくために、ディープラーニングという方法がよく用いられるようになってきました。本記事では、このディープラーニングの仕組みや役割、活用方法、抱えている課題について紹介していきます。

AIの学習方法であるディープラーニングとは

AIの学習方法の一つにディープラーニングがあります。これは、近年のAI技術の発展に欠かせない学習方法です。ここでは、学習方法やマシンラーニングとの違いを見ながら、必要性を理解していきましょう。

マシンラーニング(機械学習)

まず、データの法則性、重要度、意味づけ等の特徴をコンピューターに指示します。そして、指示されたデータをアルゴリズムに基づいて処理させ、学習していく仕組みです。

この学習の中心にいるのがモデルです。モデルは指示された入力データを処理して、結果を出力します。モデルに対してたくさんのデータを提供するほど精度の高い結果が出力できます。

ディープラーニング(深層学習)

マシンラーニングを発展させた学習方法です。「ディープニューラルネットワーク」という人の脳神経回路をまねた多層構造アルゴリズムを利用して、特徴や組み合わせをAI自身が設定して学習していきます。

指示が無くても自動で学習するというところが特徴的です。しかし、出力された結果の精度を高めるためには膨大な量のデータが必要であり、読み込ませるデータによって学習の方向性も変わってしまう点に注意しましょう。

2つの学習方法の違い

先ほども述べたように、ディープラーニングはマシンラーニングの一つです。マシンラーニングは特徴をこちらで指定して、その範囲でデータを収集し学習していきます。

一方でディープラーニングは「ディープニューラルネットワーク」を利用して特徴もAI自身が自動的に設定し、学習していきます。そのため、マシンラーニングをさらに発展させた学習方法と言えるでしょう。

ディープラーニングが必要な理由

膨大な量のデータや学習に時間を要しますが、より細分化された質の高い学習が可能です。それは、高度な認識精度の実現に繋がります。そのため、マシンラーニングでは難しい複雑なプロジェクトで必要とされています。

例えば、自動運転システムです。車を運転するには、標識や信号、歩行者、対向車等、周囲の様々な状況を認識する必要があります。ディープラーニングにより、収集した膨大な量の環境データを学習し、最適な運転方法を算出します。このように、安全性が求められる分野では認識精度が重要な項目です。

ほかにも医療診断や画像処理技術にも応用されています。近年、様々な分野で欠かせない仕組みとなっていると言えるでしょう。

ディープラーニングの仕組みについて

ディープラーニングにも様々なネットワークを用いた方法があります。構造の違いにより活用される分野も異なっていく特徴があります。ここでは、主に活用される4つの方法について見ていきましょう。

CNN(畳み込みニューラルネットワーク)

順伝播型ニューラルネットワークの一つです。ネットワーク内部に畳み込み層とプーリング層を持つという特徴があります。空間情報処理能力が高く、圧倒的な精度を誇るため、よく画像認識や動画認識に利用されている方法です。

この画像・動画認識の技術は広い範囲で応用されています。例えば、監視カメラや自動運転システム、オンラインショッピングの商品検索等が挙げられます。

GAN(敵対的生成ネットワーク)

教師なし学習モデルの一つで、2つのネットワークが対立する目的を持ち学習するという特徴があります。低画質の画像から高画質の画像を出力できたり、文字や文章等のテキストからも画像が作成できたりします。

そのため、脚本からアニメーションを制作するといった場面への活用が期待できるでしょう。また、入力された画像とテキストを合成して新しく画像を作成することも可能です。

RNN(回帰型ニュートラルネットワーク)

有向閉路があり、時系列の情報処理を得意とする学習方法です。過去に入力された情報から時系列データの内容や関係性を学習して適切な結果を出力します。

この方法は、自然言語処理分野で利用が進んでいます。例えば、機械翻訳や音声認識、チャットボット等です。

LSTM(長・短期記憶)

RNNを拡張させた方法です。これにより、データの関連性が長期的か短期的か区別できないというRNNの弱点をカバーしました。

LSTMでは隠れ層を発展させ、必要なデータを残し、不要なデータは忘れる仕組みがあります。ほかにも、学習を保存できるメモリセルや、忘却ゲートを追加することで長期的な学習を可能にしています。

AIとディープラーニングの活躍場所

AIの成長にはディープラーニングが欠かせません。そしてこれらは、現代において様々な分野で応用されています。ここでは、活用が広がっている分野や場所について紹介していきます。

医療分野

画像認識を利用することで、人の目だけでは見落としてしまう小さな影等を発見することが可能です。このような診断への応用が期待されています。精度の高い診断が実現できれば医師の負担軽減にも繋がるでしょう。

農業分野

撮影した敷地の画像をAIで解析し、収穫量の予測が可能です。また、必要な区画にピンポイントで除草剤を散布したり、農産物の成長状況を把握したりするためにも活用できます。これにより、手作業で確認していた負担の軽減が期待できるでしょう。

自動運転の運用

自動運転には、進路決定や危険察知に対して高い精度が求められます。そのため、周囲の様々な状況を認識できることが大切です。AI技術により収集した周囲の情報を分析し、最適な運転方法が算出できます。こちらは近年、実用化に向けて研究が進んでいる分野です。

AIスピーカーの普及

話しかけた言葉を音声認識により抽出して、自然言語処理を利用して指示を理解する仕組みです。こちらは、普段利用している人も多く、既に日常生活の中でも浸透してきている機能と言えるでしょう。

ディープラーニングが抱える課題

人々の生活を豊かにするAIとディープラーニングの技術ですが、解決できていない課題も存在します。ここでは、ディープラーニングの課題や弱点を紹介していきます。

学習に膨大なデータが必要

精度の高い結果を出力するためには膨大なデータが必要です。データ量が不足していると導き出された結果が正確性にかけてしまうこともあるでしょう。画像認識の場合は、最低でも万単位のデータが必要と考えられています。

人の気持ちや感情の理解ができない

収集したデータに基づいて適切な判断を下しているのであって、人の気持ちや感情を理解して判断しているわけではありません。そのため、人との密なコミュニケーションが必要な職種や業務には向いていないと言えるでしょう。例えば、教師や保育士、リーダー、マネジメント業務等です。

ブラックボックス問題

AI技術によって導き出された結果の根拠を、人が理解していないという問題もあります。これは「ブラックボックス問題」とも呼ばれています。根拠がわからないまま結果を採用すれば、ほかの人を納得させる説明ができません。また、出力された結果に何らかの誤りがあっても気付かず、大きな問題に発展してしまうことも考えられます。

過去の学習はリセットされてしまう

新しい学習をはじめると、過去の学習はリセットされてしまいます。これは「破局的忘却」とも呼ばれています。

例えば、最初に「ライオン」と「トラ」の認識を学習させて、後に「熊」の認識を学習させると、「ライオン」と「トラ」の情報は失われてしまうのです。

まとめ:様々な分野で活躍するAIとディープラーニングへの理解を深めましょう

今後、AI技術が発展していくためにはディープラーニングという学習方法が欠かせません。しかし、良い点だけではなくまだまだ課題も多く存在します。

誤った活用や問題を発生させないためにも、仕組みや活用方法、現在抱えている課題についてしっかりと理解しておきましょう。

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