DXによるイノベーションは主に2種類!その目的やDX成功事例を紹介

DX

DXとは企業がデジタル技術を駆使したイノベーションを起こして企業の競争力を高めることを目的としています。本記事では、DXの言葉の意味や目的、「IT」や「デジタルイノベーション」といった類似語の違いについて詳しく解説します。後半では成功事例も参考にしてDXの理解をより深めていきましょう。

DX(デジタルトランスフォーメーション)の基礎知識

ここではDXの言葉の意味や、「IT化」や「デジタルイノベーション」といった類似語の違いについて解説します。意味や違いを明確にしてDXの正しい理解をしていきましょう。

意味や目的

DXとはDigital Transformationの頭文字をとった言葉で、直訳は「デジタル技術を用いてビジネスを変容させること」という意味です。
元々は学術的に提唱された概念で、テクノロジーによって社会全体をより良いものへと変革させ、人々の生活を豊かにしていくことを意味していました。日本ではビジネスのDX推進が謳われるようになり、企業の経営戦略の場面で多く使われています。経産省では、次のように定義しています。

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること
引用:DX 推進ガイドラインhttps://www.meti.go.jp/policy/it_policy/dx/dx_guideline.pdf

つまり、DXは、デジタル技術を活用することで、国際社会の中で競争力を高められるような企業のイノベーションを意味しています。

IT化との違いは?

DXとIT化とは次のような点で違いがあります。
IT化→ツールの変化
DX→デジタルツールによっておこる変容
ITは、Information Technology(情報技術)の頭文字を取った用語で、インターネットとコンピュータを用いた技術のことを言います。IT化とは、既存のプロセスは変わらず、効率化・強化のためにデジタル技術やデータを活用するといった“ツールの変化”を意味します。例えば、フィルムカメラがデジタルカメラに代わる、電話がメールに代わるなどがそうです。
一方、DXはデジタル技術を使ったビジネス全体の変容を意味します。つまりIT化はDX推進に向けた手段の1つであり、ITの先にある未来がDXと考えることができます。

デジタルイノベーションとの違いは?

デジタルイノベーションとDXはほぼ同じ意味で使われていますが観点の違いがあります。
デジタルイノベーション→社会的に新たな価値を創造すること
DX→イノベーションによって企業の競争力を向上させること
デジタルイノベーションは“デジタル技術を用いたイノベーション”を意味し、社会的価値を新たに創造することを言います。
一方でDXは、デジタル技術を用いたイノベーションによって“企業の競争力の向上を目指す”意味を含んでおり、より組織内の取り組みに着眼点をおいた概念です。

DXによるイノベーションは主に2種類

DXの目的は企業のイノベーションによる競争力の向上です。それではDXによって企業のイノベーションはどのように進められるのでしょうか。
一般的に、企業のイノベーションは製造工程などの効率化を図る「プロセスイノベーション」と、革新的な製品を生み出す「プロダクトイノベーション」の2つに分類されます。DXにおいても同じで、プロセスイノベーションではAIやIoTの導入、プロダクトイノベーションはデジタルを用いた新しい製品などです。

DXによるプロセスイノベーション

ビジネスにおけるイノベーションは「プロセスイノベーション」と「プロダクトイノベーション」という2つにわけて分類することがあります。
DXによるイノベーションも、この2つに分けられます。ここでは、その一つ、DXによるプロセスイノベーションについて言葉の意味とその目的について解説します。

プロセスイノベーションとは

プロセスイノベーションとは、製品やサービスの製造・流通のプロセスにおいて革新的な方法を用いることを言います。一般的には機械化、自動化、顧客との直接販売などによって効率化をすすめることを指しています。DXによるプロセスイノベーションではデジタル技術を使うことで生産の効率化を図ることなどがあげられます。導入される技術は、AIやIoT、RPAなどが代表的なものです。機械化や自動化によって人件費が削減されることでコストが抑えられ、生産性が向上し、品質の向上も図れます。これらが売り上げの向上につながり競争力を高めることが期待できます。

既存技術の最適化と性能の向上

プロセスイノベーションによって生産性が向上することで、既存技術の最適化と性能の向上という効果が生まれます。例えば、生産や在庫についてITを駆使して管理することで、ラインに無駄を省き、流通を最適化できます。Amazonなどの物流システムやコンビニエンスストアのPOSシステムなどが例です。またZOZOTOWNが提供しているZOZOスーツは自宅で採寸ができるシステムを作り、オーダーメイドの商品を効率的に生産するシステムを生みだしました。
このようにプロセスイノベーションは生産工程や流通を変化させることで、これまでにない販売方法などに寄与することが可能になります。

DXによるプロダクトイノベーション

次にもう一つのイノベーションであるプロダクトイノベーションについて詳しく見ていきましょう。言葉の意味と導入による目的やメリットについて解説します。

プロダクトイノベーションとは

プロダクトイノベーションとは、既存の製品にはない革新的で画期的な製品を生み出すことを言います。新しい商品やサービスを生み出すことで、新たな市場を生み出し、売上を上げる直接的な経済効果があります。
DXによるプロダクトイノベーションに関していうと、デジタル技術を用いた新しい商品・サービスの開発、さらにデジタルによって新しい市場の拡大を生むような動きのことを指します。時には、デジタル技術の導入によって消費者の生活スタイルを劇的に変えるようなイノベーションがあります。例えば歴史のあるもので言うとデジタルカメラ、スマートフォン、最近で言うとVR技術を利用した商品販売などがそうです。

新しい市場への参入

DXによるプロダクトイノベーションの目的は新しい市場への参入です。革新的な製品やサービスを生み出すことで、新しい市場を獲得し、競争力の優位性を確保できます。
斬新的な製品の開発だけでなく、業界の価格破壊を起こすような新しいサービスの提供などもイノベーションの一つで、これまで対象とならなかった層までニーズが届くことで新しい市場を獲得できます。特にデフレの進む日本では市場の活性化という観点からプロダクトイノベーションが重要とされています。

企業によるDXの成功事例5選

ここではDXの推進に成功した企業の事例を5つ紹介します。
部門で取り組むだけでなく会社全体で取り組み、データを活用しながら、業界の課題や顧客のニーズをしっかりとらえる試みがあります。
事例を見ることでDX導入の際の参考にしてもらえると幸いです。それでは具体的に見ていきましょう。

大塚製薬:処方箋の飲み忘れ防止

https://www.otsuka.co.jp
大塚製薬はIoTに対応した服薬支援容器「プレタールアシストシステム」の開発を行いました。これは、「ハイリスク薬」とされている脳梗塞再発抑制薬(プレタールOD錠)の飲み忘れ防止や継続服薬を目的として作られたものです。
容器には通信機能が付いており、薬を飲む時間をLEDランプで知らせ、薬を取り出すと専用アプリに情報が送られます。専用アプリには記録が残り、かかりつけの病院や家族に通知することもできます。履歴も残るので薬剤師や医療機関などの処方の際にも手助けとなります。

https://www.otsuka.co.jp/company/newsreleases/2017/20170127_1.html

トライアル:セルフレジ機能搭載のショッピングカート

https://www.trial-net.co.jp/
食品スーパーなどを展開する「トライアル」ではスマートショッピングカートとAIカメラの導入によってコスト削減、顧客行動分析による商品陳列の最適化の実現を可能にしました。スマートショッピングカートは取り付けられたタブレットに商品をスキャンし、決済まで行えます。
トライアルはもともとIT産業に従事していたこともあり、ソフトウェア開発などの実績を持っています。AI技術を用いて、限られたスタッフでも効率よく運営を行えるよう仕組みづくりをしており、2025年には完全無人化を目指しています。

クボタ:故障診断アプリ

https://www.kubota.co.jp
クボタは3Dモデル・ARを利用して建機・農機の故障診断を行う故障診断アプリ「Kubota Diagnostics(クボタ ダイアグノスティックス)」を開発しました。
スマートフォンをかざして故障部分を認識したり、エラーコードや不具合を入力したりすることで点検する場所や修理する方法などがその場でわかります。故障した機械の停止時間(ダウンタイム)を削減させ、故障情報を収集することで品質向上に役立てています。

アフラック:営業サポートAI

https://www.aflac.co.jp/
アフラックはレベルの高い顧客応対のためにDX推進のシステムを導入しており、営業サポートAIもその一つです。営業サポートAIは、顧客の会話内容をふまえ、商品の提案を最適化し自動でリアルタイムに営業担当者にアドバイスするシステムです。これによって顧客対応の品質を高められ、成約に結び付けることができます。営業の経験が少なかったり、なかなか会話がうまく進まなかったりする営業担当の人でもAIシステムを使うことで営業力をあげることが期待されています。

オプティム:低農薬農法の開発

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IoTプラットフォームサービスなどの事業を行うオプティムは、スマート農業によって高齢化、人手不足などといった日本の農業が抱えている課題克服にチャレンジしています。その中でもピンポイント農薬散布は、ドローンや画像認識AIを駆使してピンポイントで農薬をまくことができる技術です。
ピンポイントで農薬を散布すること農薬使用量は大幅に削減でき、農薬代の削減、生産量の増加が期待されています。

まとめ DXによるイノベーションの種類や目的を理解して導入を進めましょう

DXと関連する用語の意味を確認しながら、DXによるイノベーションについて解説いたしました。IT技術やAIを導入するだけではDXとは言えません。DXはあくまで競争力の強化という目標にあるのでそのために社内全体で取り組むべき課題です。DXをより深く理解し導入を進めてまいりましょう。

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oneplus編集部

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