DXレポートとは?懸念される「2025年の崖」と企業の対応を紹介

  • 2022年10月16日
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「2025年の崖」というワードは、2018年9月に経済産業省(以下、経産省)が公開したDXレポートに登場しますが、具体的に想定される問題とはどのようなものでしょうか。

レポートの詳細や懸念される問題、それらに対する企業の対応を紹介いたします。

DXレポートとは

DXレポートとは、2018年に経産省により設置された「デジタルトランスフォーメーションに向けた研究会」が作成しているレポートです。

日本国内におけるデジタルトランスフォーメーションの現状や問題点、改善策などの概要がまとめられています。

2018年9月から2021年8月までの間に公表されたレポートは、以下の3つです。

・DXレポート〜ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開〜
・DXレポート2(中間取りまとめ)
・DXレポート2.1(DXレポート2追補版)

2022年7月にはDXレポート2.2も公表された

2022年7月に公表されたDXレポート2.2では、DXレポート2.1までの反省点を踏まえたバージョンアップが図られています。

そもそも経産省がDXレポートを発表した主な目的は、DXにより企業の生産性・競争力アップを推進し日本経済の損失を防ぐことでした。

しかしながら、DXレポート2.1発表後も日本企業全体におけるDXの流れは十分な成果を得られているとは言い難い状況です。その反省から、デジタル産業変革への具体的方策を示すためにDXレポート2.2が公表されました。

そもそもDXとは?

DX(デジタルトランスフォーメーション)とはデジタル技術を駆使し、新たな形態のビジネス創出や旧システム刷新に対応していく試みのことです。

DXを成功に導くためには、デジタル技術をフル活用した新規ビジネスの創造と、既存ビジネスの再興が必要となります。

DXレポートで提起された「2025年の崖」とは

将来的な企業成長のためには、DX推進が不可欠であることを認識している経営者が大半を占めます。しかし、既存システムの構造改革やデータのブラックボックス化、変化を嫌う現場サイド等、多くの課題が残存しています。

上記のような問題が解決されずDX実現が進まなかった場合に、日本経済にどのようなマイナスが生じるのでしょうか。

DXが推進されない場合において起こる経済損失をあらわす

「2025年の崖」で生じる可能性のあるマイナスとは、具体的には年間最大12兆円と予想される経済損失です。

現状の課題(既存データのブラックボックス化等)を乗り越えられない場合は、企業は市場のニーズに対応できず競争から振り落とされるでしょう。

DXを含む長期的な視点を持たず、短期的なシステム開発に終始すれば、IT予算のほとんどがシステムの維持・管理に費やされ、企業の財政は圧迫されてしまいます。

DX推進がなされない場合は長期的な経済損失が大きくなってしまうので、2025年までに集中的に技術投資する必要性が高まっているのです。

2025年の崖が問題視される背景

DXレポートの発信により「2025年の崖」は周知されたと言えます。しかし問題克服に向けて実際に動いている企業は多いものの、まだまだDX実現までの道のりは険しいようです。

DXの推進が遅れ「2025年の崖」に直面することが懸念される背景には、具体的にどのようなハードルが存在しているのでしょうか。

①経営層がDXに対して及び腰の企業がある

DX推進を遅らせている原因のひとつに、経営層の不理解が挙げられます。

DX推進のメリットは理解しつつも、具体的に何をどう行えば良いのかを理解しきれておらず、現場サイドの希望に則した改革を行うことに及び腰なのが現状です。

短期的なコスト増を嫌い、既存のシステムを現状維持的に利用し続けようと考える経営者も多く見られます。

②レガシーシステムの存在

20世紀後半の古いコンピューター技術で作り上げられたシステムが、多くの企業で今なお稼働し続けています。そのような過去の遺物的システムがレガシーシステムです。

すぐに業務に支障をきたすほどの致命的欠陥がある訳ではないため、使い続けようとする企業が多く、DX推進の足かせとなっています。

③IT人材の不足

DXレポートによると、2025年までにIT人材が43万人不足するであろうことが予見されています。その後も改善が及ばなければ、慢性的な人材不足になることが確実です。

IT人材不足の背景には、先述の「レガシーシステム」の維持に人材のほとんどが浪費されていることがあります。それらの人材をスキルシフトさせ、DX推進に組み込んでいくことが課題と言えるでしょう。

2025年の崖を防ぐために企業が取り組むべきこと:DX化

旧来のシステムに頼り変革を先送りにしていては、2025年の崖に向けての流れを変えることはできません。そのためすべての企業がDX実現に向けて、具体的なアクションを一刻も早く起こすべきでしょう。

しかし、2025年の崖を回避するためには、具体的にどのような知識を得てどのような施策を行うことが有効なのでしょうか。

ここでは企業が取り組むべき具体案について紹介いたします。

①DX実現シナリオを参照する

DXレポート内では、旧来の複雑化したシステムを破棄・刷新することによりDX実現を叶え、2030年までに実質GDPを約130兆円押し上げるシナリオが提示されています。

レガシーシステムの複雑化した内部構造を改善することにより、既存データを活用したDXを実現することがDXシナリオの根幹です。

各企業はDX実現シナリオを参照し、DXレポートが示す新しいデジタル社会の姿を明確に把握する必要があるでしょう。

②企業内のガイドラインを作成

DXレポートには「DX推進ガイドライン」が示されており、DX推進のための指針を確認できます。企業はこのガイドラインを元に、自社の課題を明確化できるでしょう。

DX推進を図る上での問題点を洗い出し、企業内のガイドラインを作成することで、DX実現を目指すことに繋がるはずです。

③システムの見直しや刷新

新たなビジネスモデルを創出するために、企業は既存システムの見直しや刷新をしなければなりません。

しかし複雑化した旧来のシステムを変革するには、途方もない時間と費用が必要であり、その代償も伴うでしょう。

DXレポートでは、新システム構築に伴うリスク・コストを低減するための対応策も提示されています。

膨大なコストを要する場合も

システム刷新には膨大なコストを要する場合もあるでしょう。DXレポートでは以下のような対策案が示されています。

①新システムで実現する目標イメージの共有
②不要なシステムの破棄、軽量化
③マイクロサービス等の活用を実証する
④部門横断的な共通プラットフォームの構築

コスト最小化の取り組みとして、上記の対策案を参考にすると良いでしょう。

④IT人材の確保や育成

DXを実現するために絶対不可欠なのがIT人材であることは言うまでもありません。しかし慢性的な人材不足により、DX分野に割くべきリソースがないことは、多くの企業が抱える課題でしょう。

この課題克服のためにDXレポートでは、旧システムの保守業務からDX分野に人材をシフトさせることを提案しています。

さらに講座認定制度による人材育成や、アジャイル開発の実践によるIT人材開発も効果的であるとされています。

企業がDXを推進する際には「デジタル社会とデジタル産業の姿」を念頭に置く

DXを推進する際に最も重要なのは、今後も不可逆的な変化を続けていく産業の在り方を把握し、来るべき新たなデジタル社会の姿を明確に思い描くことです。

新たなデジタル社会の実現には、新たなデジタル産業の発達が極めて重要な役割を担います。それぞれの企業がデジタル産業の新たな価値を創出しなければ、2025年の崖を回避することはできないでしょう。

まとめ:DXの推進は必要不可欠!レポートを参照して進めていこう

2025年の崖に対応するには、DXの推進は絶対不可欠な流れとなっています。少数の企業が取り組むだけではDXを実現することはできません。

経産省から発表されるDXレポートを随時参照し、各企業が総力をあげて課題に取り組む必要があるでしょう。

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oneplus編集部

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