未収金が回収不能(貸倒)になったらどうする?経理処理とできること

どんなに信頼していた企業でも、慎重に業務を行っていても、未収金が発生し回収できなくなってしまう可能性はあります。

未収金は時間が経過するほど、回収が難しくなります。

回収に不安を感じたら、早めの対応が大切です。

この記事では、未収金が回収不能となったときの経理処理について詳しく解説しています。

また、回収不能となる前にできることをご紹介していますので、参考にしてください。

目次

「未収金の回収不能」とはどのような状態を言うのか?

未収金とは企業の営業収入以外で生じる債権

未収金は、企業の主な営業活動以外で生じる金銭債権です。

未収入金とも呼ばれます。将来、現金または預金にて回収の見込みがあるものです。

主に土地や建物・機械等の固定資産や、有価証券を売却した時に発生します。

営業活動以外で発生する債権なので、例えば機械を販売している会社における機械の売買は売掛金として扱われ、未収金とは言いません。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

「回収不能」とは回収できないことが確定した状態を言う

未収金の回収不能とは、回収できないことが確定した状態のことを言います。

ただ支払いが遅れているだけでは、回収不能とは言えません。

また、未収金が回収不能になり、経理上で貸倒損失として計上するためには次のような条件があります。

  • 法律上の貸倒れ
    会社更生法・民事再生法・会社法の規定による特別清算のように、法的な手続きを経て金銭債権が切り捨てられた場合等が法律上の貸倒れに当たります。
  • 事実上の貸倒れ
    債務者の状況を見て、債権の全額が明らかに回収できない場合が、事実上の貸倒れです。担保物があれば担保を処分し、保証人が要る場合は保証人からの回収を先に行う必要があります。

未収金が回収不能になるのは具体的にどんなときか

どのような状態になったら、未収金が回収不能になったと判断できるでしょうか。

まず、相手と連絡が取れなくなった場合や相手が郵便物の受け取りを拒否した場合は、回収不能と考えるのが妥当です。

また、相手が自己破産した場合や倒産した場合も回収が困難となります。

この場合は、法的に払わないことが認められてしまうので未収金は回収不能です。

未収金の経理処理~計上時・回収時・回収不能時の仕訳例~

1.未収金計上時の仕訳例

期中の7月に帳簿価格100万円の営業車を120万円で売却し、9月末に代金を受け取る約束をしました。

未収金を計上する仕訳は次の通りです。

借方貸方
未収金1,200,000車両運搬具1,000,000
固定資産売却益200,000

2.未収金回収時の仕訳例

未収金として計上していた車両運搬具の売却代120万円が、予定通り9月に振込まれました。

未収金の回収時には貸方計上するので、仕訳は次の通りです。

借方 貸方
普通預金 1,200,000 未収金 1,200,000

3.未収金回収不能時(貸倒時)の仕訳例

未収金は回収が不能になると貸倒れと言い、費用になります。

仮に120万円がすべて回収不能になると、仕訳は次の通りです。

借方 貸方
貸倒損失 1,200,000 未収金 1,200,000

未収金が回収できなくなると、会社は債権という資産を失います。

回収できなかった未収金は損失です。

損失処理するときの勘定科目が「貸倒損失」になります。

4.未収金回収不能の懸念がある時の仕訳例

未収金がまだ回収不能と確定してはいないものの、支払期限を過ぎても入金が確認できない場合は、貸倒引当金として計上しておきます。

貸倒引当金に算入できるのは、法定繰入率に想定する分までです。

120万円の未収金のうち、仮に50%を貸倒処理すると、次の仕訳となります。

借方 貸方
貸倒引当金繰入 600,000 貸倒引当金 600,000

「貸倒引当金」と「貸倒損失」の違いをしっかり押さえておこう

ここで、混乱することの多い「貸倒引当金」と「貸倒損失」の違いを押さえておきましょう。

貸倒引当金とは、債権の回収不能リスクに備え、予め損失の可能性がある金額を予測して準備するための勘定科目です。ま

回収する予定がある債権に対してのみ設定することができます。

貸倒引当金は、資産である未収金の一部が回収できない場合の引当金になるため、負債として扱われます。貸借対照表上では資産のマイナスとして表示されることが多いです。

一方、貸倒損失は、債権の回収不能が確定した際に、その分を損失計上するための勘定科目です。

回収不能と確定した場合に設定することができます。

つまり、貸倒引当金は回収不能になる前の、貸倒損失は回収不能になった後の損失です。

未収金の回収不能が確定した後にできること

取引相手の財政状態によっては、未収金の回収が見込めないことがあります。

その場合は、貸倒れの検討が必要です。

放棄してしまっても良い未収金なのかを見極める必要があります。

貸倒れとして計上するための条件はありますが、放棄すれば経費として計上し節税することもできます。

取引相手の債務超過が相当期間継続している状態で、未収金の放棄を決断したら、内容証明郵便等で放棄する旨を記録に残しておくと良いでしょう。

もし、未収金を放棄し貸倒れとすることで自社の事業に影響を及ぼすのであれば、行政の融資を検討するのもひとつの方法です。

取引企業が倒産した場合に特化した融資の制度もあります。

未収金を放棄する前に、専門家に相談すると安心です。

回収不能(=貸倒)にならないために未収金の回収には早く取り組もう

未収金の発生に気が付いたら、経理担当者は何をしたら良いでしょうか。

大切なのは、未収金の原因を探ることです。

特に取引相手に支払能力があるにも関わらず未収金が発生しているのであれば、原因は債権者側にあるかもしれません。

くれぐれも、いきなり法的手段を取らないようにしてください。

未収金の原因が債権者側にあるとしたら、考えられるのは次の理由があります。

  • 請求書を送付していない
  • 請求の仕方が通常と異なる
  • 請求方法が横暴だった
  • 取引相手からの請求に関する問い合わせに答えていない

請求書を普通郵便で送っている場合は、本当に送付したかどうかを確認するのは難しいでしょう。

こちら側に不手際があったかもしれないという気持ちで、相手先に聞いてみるのもひとつの方法です。

債権者側にあった原因が解決されれば、すぐに入金してもらえるケースもあるでしょう。

未収金を回収不能にしないために「時効」を押さえておこう

未収金等の債権が時効となるのはいつ?⇒5年

時効とは、権利を行使できる状態にも関わらず、行使しなかった場合に権利を失う制度です。

民法では、消滅時効の期限を次のように規定しています。

  1. 権利を行使できると知った時から5年行使しない時
  2. 権利が行使できる時から10年行使しない時

企業における未収金の支払期限が到来したことを知らないことは考えにくいでしょう。

つまり、未収金があるにも関わらず、何の対策も取らないまま5年が経過すると、債権が時効消滅する可能性があります。

未収金等の債権が時効消滅しないためにも、権利を行使し適宜記録に残すようにしましょう。

時効をリセットできる「時効の更新」という手段

時効の消滅を防ぐ手段として、時効の更新があります。

時効を迎える前に、裁判上の請求等の事由がある場合は、時効期間が満了しても時効は完成しません。これを時効の完成猶予と呼びます。

裁判に勝ち、確定判決を得ると、これまでの時間の経過がリセットされ新たに時効が進行します。これが時効の更新です。

また、債務者である取引先から支払いを待って欲しいと依頼がある等、債権者に対して権利の存在を知っている旨が表示されると時効は更新されます。

時効が過ぎてしまっても「援用」前なら手段はとれる

債権は、時効が到来したら即消滅するわけではありません。

債務者は消滅時効が完成した場合に、返す(時効利益の放棄)・返さない(時効の援用)という2つの道が選択できます。

時効の利益を主張することが、時効の援用です。

時効が完成しても、自動的に時効の効果が生じるのではなく、時効を援用してはじめて効果が発生します。

取引先が時効の援用を行う前であれば、回収の可能性は残されているのです。

未収金を債務者から回収する方法を順を追って解説

1.催促の電話をし、期限を提示する

まずは電話で催促を行います。

電話は、コストがかからず手軽な催促方法です。

相手が電話口に出たら、急いでいる旨を丁寧に伝え、期日を提示します。

期日は、24時間以内に設定すると良いでしょう。

24時間後に再度、電話連絡することで、圧力をかけることができます。

電話で話した内容は、後日確認できるよう、日時とともにメモを取って置くと安心です。

「言った・言わない」のリスクを回避するには、音声メモも効果があります。

2.催促の書面を送る

電話が繋がらない場合や、電話で催促しても支払ってもらえない場合は、請求書や督促状等を書面で送ります。

請求書であれば催促のための再発行であることを記載し、プレッシャーをかけるのも有効です。

また、めったに送られることのない「電報」を使って催促するのも効き目があります。

書面の場合でも、期限を提示しておくと回収の可能性が高くなるでしょう。

また、回収できなかった場合に、次の手順に進みやすくなります。

3.公的に記録の残る内容証明郵便で催促する

公的に記録の残る内容証明郵便は、時効の消滅を一時的に回避することもできるため、よく利用されています。

内容証明郵便は、「誰から誰にいつどのような内容の郵便が送られたか」を日本郵便が証明してくれる郵便です。

内容証明郵便には、文字数等に次のような条件があります。

作成する通数3通(取引先送付用・郵便局保管用・自社控え)
印鑑実印以外でも良い(複数枚の場合は綴目に契印)
文字数(縦書き)1行20字以内・1枚26行以内
文字数(横書き)1行20字以内・1枚26行以内
1行13字以内・1枚40行以内
1行26字以内・1枚20行以内

法的な効力はなくコストはかかってしまいますが、普通郵便で送られる書面に比べると受け取り側としては焦るでしょう。

支払いに関する情報を記載し、弁護士名義で送付するとより効果が高まります。

4.訪問による催促(任意交渉)を行う

取引相手が訪問できる範囲に事務所を構えていれば、直接交渉に行くのもひとつの方法です。

直接目を見て話をすれば、相手の心に訴えかけることができます。

ただし、アポなし訪問や頻繁な訪問を行うと、営業妨害とみなされ立場が逆転してしまう可能性も否定できません。

訪問による催促は、時間帯や頻度に気を付けながら行うようにしてください。

5.法的措置によって回収を試みる

未収金がどうしても回収できない場合は、法的処置をとる方法もあります。

最後の手段として覚えておくと良いでしょう。

・支払督促
支払督促は、裁判所を通じて督促を行う手続きです。
正式な裁判手続ではないため申立費用を抑えることができ、手続きがシンプルなことがメリットと言えます。また、解決までの時間が短いのが特徴です。

・民事調停
裁判所が任命した調停員を仲介に、支払額や支払方法を協議する手続きです。
取引相手は調停に参加する義務はないため、話し合いに応じるつもりがなければ解決は難しいでしょう。一方、話し合いに応じる意思があれば、和解の可能性が高くなります。

・訴訟
取引相手に対して訴訟を提起し、裁判所に判決を委ねる方法です。訴訟による判決が出れば、強制執行を行うことができます。
手続きが重厚なので、弁護士等にサポートを依頼した方がスムーズです。支払督促に対して異議の申立があった場合にも訴訟に移行します。

・強制執行(差押え)
強制執行は取引相手の財産を差し押さえ、強制的に債権を回収する手続きです。
法的な強制力はありますが、回収までに長い時間を要します。

まとめ:未収金の回収不能前後にとれる手段を押さえておこう

未収金が回収不能になったときの経理処理や、債権の時効についてご紹介しました。

未収金が回収できない状態は、会社の経営にとって大きなリスクです。回収不能が確定する前に、早めに対策を取ることで損失は減らせます。

発生しないに越したことはありませんが、リスクをゼロにするのは難しいでしょう。日頃から管理を行い、未収金の支払期限は特に注意しリスク軽減に努めてください。

システムを利用して期日をチェックする等、未収金の管理ルールを決めておくと良いでしょう。

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