未収金と売掛金との違いをわかりやすく紹介|仕訳方法や内訳書について

「未収金と売掛金の違いはなんとなくわかるけど、説明するのは難しい」と思われる方も多いのではないでしょうか。どちらも会計上は「資産」として計上されますが、両者には明確な違いがあります。

この記事では未収金と売掛金の違いや、仕訳時の処理方法等について具体的な仕訳例を交えながら詳しく解説していきます。経理ご担当の方は、是非この記事を参考にしてください。

資産の勘定科目:未収金と売掛金とはそれぞれどう定義されるのか?

平たく言うと、未収金と売掛金は「何を売ったか」によって区別されます。
以下でより詳しく見ていきましょう。

「未収金」=本業の営業活動以外の取引に関する債権

未収金とは「自社の商品やサービス以外のもの」を売って得られるお金で、後払いで取引されるお金を指します。  

例えば、あなたが経理のクラウドサービスを提供する会社を経営しているとします。お客様にクラウドサービスを売ることが「本業の営業活動」です。

ある日あなたは保有している土地を売り、その翌月に代金を受け取る約束を交わしたとします。土地を売ることは「本業の営業活動以外」の取引に該当するので、この場合は未収金となります。
土地以外にも車や建物、機械、備品等の固定資産、あるいは有価証券を売却して代金がまだ手元にないときには、未収金となります。

ちなみに「未収入金」という言葉は、未収金の財務諸表での正式名称です。

「売掛金」=本業の営業活動の取引に関する債権

売掛金は、「自社の商品やサービス」を売って得られるお金で、後払いで取引されるお金のことです。

先ほどの例で言うと、あなたが経理のクラウドサービスをお客様に提供することが「本業の営業活動」にあたります。そして、クラウドサービスを売った代金を後日受け取る場合は、売掛金となります。

未収金・売掛金・未収収益の計上方法の違いと仕訳例を解説

未収金と似た言葉で未収収益という言葉があります。間違いやすいため、売掛金と合わせて3つの違いを以下の表で確認しておきましょう。

勘定科目概要該当するもの共通点
未収金本業以外の単発的な取引で生じた、後払い金土地、建物、機械、備品、有価証券等・収益の回収ができていない
・貸借対照表の「資産」に計上
売掛金本業の取引で生じた、後払い金主たる商品やサービス
未収収益既に提供した継続的なサービスに対して、まだ支払いを受けていない収益家賃、地代、利息等

未収金=1年を区切りに計上先が異なる

未収金は、本業の営業活動以外の取引に関する債権です。

例えば自社でクラウドサービスを提供している場合に、保有する建物を売ったとします。そして、後日代金を受け取るのであれば「未収金」に該当します。

未収金は基本的に流動資産ですが、賃借対照表上、回収にかかる期間によって計上先が異なってくることを押さえておきましょう。

  • 決算日の翌日から「1年以内に」入金予定のもの  → 流動資産に計上
  • 決算日の翌日から「1年を超えて」入金予定のもの → 固定資産に計上

1年以内に回収できる見込みがない場合は「長期未収入金」という固定資産に変わります。

未収金の仕訳例

具体的に未収金の仕訳の仕方を説明します。

【2022年4月、不動産業者に顧客を紹介し、紹介料10万円を6月に受け取る場合】

借方貸方
未収金100,000円雑収入100,000円

【2022年6月、代金を銀行振込で受け取った場合】

借方貸方
普通預金100,000円未収金100,000円

また、2022年6月に振込予定だった代金が1年以上回収の見込みがないと判断されると、以下のように「未収金」から「長期未収入金」へと振り替えられます。

借方貸方
長期未収入金100,000円未収金100,000円

売掛金=流動資産に計上する

売掛金は、本業の営業活動の取引に関する債権です。

自社でクラウドサービスを提供している場合に、取引先へクラウドサービスに関するソフトウェアを販売したとします。そして、後日代金を受け取るのであれば「売掛金」に該当します。

売掛金は回収期間に関係なく流動資産として計上します。

売掛金の仕訳例

売掛金の具体的な仕訳を見ていきましょう。

【2022年4月、ソフトウェアを50万円で売り、代金を6月に受け取る場合】

借方貸方
売掛金500,000円売上500,000円

【2022年6月、代金を銀行振込で受け取った場合】

借方貸方
普通預金500,000円売掛金500,000円

未収収益=まだ支払いを受けていない収益

未収収益とは既に提供した継続的なサービスに対して、決算までに支払いを受けていない代金のことです。

仮に自社で駐車場を得意先へ貸していて、当期に受け取るべき代金を受けていない場合は「未収収益」となります。未収収益は、貸借対照表の流動資産の「その他の流動資産」に計上される勘定科目となることに注意しましょう。

未収収益の仕訳例

未収収益の仕訳の具体例を見ていきましょう。

【2021年度の決算時】
駐車場を貸していて、当期に受け取るべき賃料のうち1万円分をまだ受けとっていない場合

借方貸方
未収収益10,000円受取地代10,000円

1万円分の受取地代は未収であるため、翌期首(2022年度の期首)には、振替仕訳をすることになります。

【2022年度の期首】
振替仕訳をする場合

借方貸方
受取地代10,000円未収収益10,000円

このように未収金・売掛金・未収収益は、「収益の回収ができていない」という点では同じように捉えられますが、内容や仕訳方法に違いがあるので、混同しないようにしっかりと理解を深めておきましょう。

未収金と売掛金を区別して仕訳する理由は?

「未収金と売掛金はどちらも後払いで取引されるお金なのだから、わざわざ区別しなくてもいいのではないか」と思われる方もいるのではないでしょうか。

なぜこの2つを区別しなければいけないのか。理由は主に2つあります。

  1. 税務署に不正会計を疑われないため
  2. 金融機関の融資を受けやすくするため

それぞれ解説していきます。

まず1の不正会計を疑われないようにするためについてです。
未収金と売掛金の両者は「貸借対照表」の資産の部に計上されます。貸借対照表は企業の財務状況を表しており、会社が存続する限り引き継がれていく重要な帳票となります。そのため、税務署からも詳細な内容を求められることになるのです。

申告漏れや誤りがあると不正会計を疑われてしまう可能性もあるため、未収金と売掛金の両者をしっかりと区別しましょう。

次に2の融資での有用性についてです。
未収金と売掛金の代金の区分が明確になっていないということは、金融機関からみると「この会社は収益の内訳を把握していない会計リスクが高い会社だ」と認識されてしまいます。その結果、融資を受けづらくなる可能性が考えられるでしょう。

経理担当の方であれば、未収金と売掛金をきちんと理解して適切な計上を行うことが求められます。

未収金・売掛金等の債権を管理する重要性は?

債権管理とは、未収金や売掛金等の債権が予定通りに回収されるのか、どこの取引先にどれだけの債権があるのか等を確認する重要な業務です。

なぜなら債権を正しく管理できていなければ、売上金がいつ入ってくるのか、金額はいくらなのか、期日通り過不足なく入金されているのかといったことが把握できず、資金繰りや会計処理を正常に行うことが困難となるからです。

例えば、立ち上げたばかりのベンチャー企業の場合は、バックオフィスの人数が不足していて十分な債権管理の体制が取れていないことがあります。会社の立ち上げ時にはどうしても売上優先になってしまい、与信の調査や債権の回収が疎かになってしまいがちです。

そのような状況で取引先が倒産してしまった場合は、売上の回収が困難となり会社経営に大きな影響を及ぼすこととなります。最悪の場合は、倒産の危機におちいってしまうことも考えられるでしょう。

こうしたことを避けるため、未収金や売掛金といった勘定科目をしっかりと区別して債権管理することが重要です。

未収金・売掛金には時効が定められている

時効期間は債券種類によって異なる

未収金と売掛金には時効期間が定められていることはご存じでしょうか。

時効期間は債務の種類によって異なります。以下が代表的なものです。

ちなみに時効期間を過ぎて時効が成立した場合は、原則債権を回収することができなくなってしまうので注意しましょう。

時効期間債権の種類根拠となる条文
1年運送費・宿泊費・飲食代金民法第174条
2年製造業・卸売業・小売業の売掛金
月謝・教材費
民法第173条
弁護士報酬民法第172条
3年診療費・建築代金・設計費・工事代金民法第170条
5年上記以外の売掛金商法第522条

時効は中断が可能

時効は以下の表の通り、中断(延長)が可能です。

中断方法中断条件中断期間
請求法的回収での債務名義獲得(裁判上の請求)10年
内容証明郵便による通知(裁判外の請求)6ヶ月
差押え(仮差押え・仮処分)左記手続の申立て許可裁判所が指定する期間
債務者による債務承認下記承認行為の実行
・債務関係書類の作成
・債務の一部弁済
・支払猶予願の申入れ
時効期間のやり直し(時効経過後でも対象)

時効期間を過ぎても回収可能な場合がある

先ほど説明したように時効期間を過ぎて時効が成立した場合は、原則債権を回収することはできなくなってしまいます。

しかし、既に時効期間を過ぎている場合でも、相手方が時効の援用前に債務を承認すれば、時効中断を根拠として請求を続けることが可能となります。

ただし、大切なのはやはり日頃からの債権管理と言えるでしょう。大企業だから、昔から付き合いのある取引先だからといった理由で債権の回収を安易に考えるのではなく、しっかりと債権回収の計画を立て、会計管理のシステムやソフトを導入して債権回収の強化を図ることが有効です。

売掛金と未収入金・決算時の内訳書の記載内容を確認しておこう

売掛金(未収入金)の内訳書とは、法人税の確定申告で必要となる「勘定科目内訳明細書」のひとつです。記載される内容は、以下となります。

項目内容
科目売掛金、未収入金のいずれかの勘定科目を記入
相手先名称(氏名)取引先の名称(法人名・屋号等)を記入
所在地(住所)取引先の所在地を記入
期末現在高期末時点での残高を記入
摘要未収入金の場合、取引内容を記載

具体的な書式で記載例を見てみましょう。

科目相手先期末現在高摘要
名称(氏名)所在地(住所)
売掛金株式会社⚫️⚫️東京都品川区◯◯◯◯百万
1

000

000
未収入金▲▲株式会社茨城県△△△△百万
 

800

000
 
 

未収金・売掛金の仕訳業務の手間は軽減できる

未収金・売掛金等の債権を管理することは、今後の企業存続のカギを握るといっても過言ではありません。

自社の債権管理の状況はいかがでしょうか。日々の業務に追われてしまい、債権の回収計画や管理といったことにまで手が回らないといったことはないでしょうか。ましてや手書きの伝票や帳簿を利用していると、ちょっとした記載ミスや抜けがあった場合は、間違いを探す手間や修正するのにも時間が取られてしまいます。

そうした悩みをお持ちであれば、マンパワーだけで問題を解決するのではなく、会計システムやソフトの導入を検討してみてはいかがでしょうか。システムやソフトを利用することで面倒な仕訳業務を軽減し、ミスも減らして業務の効率化が可能となります。

会計ソフトと連携して請求書受け取りのペーパレス化を実現する「oneplat」

そこでご紹介したいのが、企業の支払いを一元管理できる「oneplat」というサービスです。

oneplat」には主に4つの特徴があります。

  1. 複数の納品書や請求書をひとつに取りまとめるので、納品書・請求書のペーパーレス化が可能
  2. 取りまとめたデータは自動取り込みされるので、会計システムや販売管理システムとの連携で仕訳入力が不要
  3. 総合振込データの作成や仕訳の消込も自動入力
  4. すべての機能がパソコンやスマートホンで簡単に操作できるので、リモートワーク化を実現

oneplatを導入することで、業務コストの削減とキャッシュフローの最大化が図れます。

まとめ

ここまで未収金と売掛金の違いや仕訳方法について紹介してきました。

  • 未収金は「本業の営業活動以外の取引」に関する債権
  • 売掛金は「本業の営業活動の取引」に関する債権

そして、未収金や売掛金といった勘定科目の違いを知った上で適切な仕訳を行い、債権管理を徹底することが自社にとっていかに重要なことであるかがわかったかと思います。

また今後、経理業務改善するために会計システムやソフトの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

そのひとつとして先ほど紹介した「oneplat」であれば、コスト削減や業務効率化を図れるだけでなく、インボイス制度や改正電子帳簿保存法にも対応しているため、スムーズに会計処理を進めることができるようになるでしょう。

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  • 総合振込データの作成や仕訳の消込も自動入力

導入後は複雑なデータ入力業務に時間を奪われることなく、本来の業務へ時間とコストを割くことが可能です。

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oneplus編集部

この記事の執筆者

  • 個人事業主に対する反社チェックは重要なの?その必要性や方法を解説

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