証憑とは?証憑書類の種類や保存期間・保存方法について解説します

「証憑」という言葉は、馴染みのない漢字が使われており、意味もイメージしにくいのではないでしょうか。しかし、経理業務や経営に関わるなら必ず扱うものであり、一度意味がわかればイメージもしやすくなります。

この記事では、証憑に関する基本的な知識から、法律に基づく保存期間・保存方法まで詳しく解説します。証憑はデータでの保存も認められているため、知識を持って扱えば作業効率化にも役立つでしょう。

証憑の読み方や意味とは?簡潔に解説

証憑(しょうひょう)とは何らかの取引の成立を証明するもの

企業活動の中で日々行われる、様々な取引の内容を明らかにするものが「証憑(しょうひょう)」です。取引には金銭が伴い、取引先や従業員といった相手のいるもので、双方の認識に違いがあればトラブルの原因となります。そこで「本当に取引が行われたか」「内容は正確か」といったことの証拠として役立つものが証憑です。重要な役割を持つ書類であるため、法律で保存期間が定められています。

「証憑」と「証票」の違いとは何か?

「証憑」によく似た言葉に「証票」があります。「証票」は以下の意味を持ちます。

ある事を証明するための札や書き付け。

(引用:goo国語辞書

意味も似ていますが、「証票」は何かを証明する目的で作成されたもの、つまり証明書と考えることができます。

一方で、「証憑」は以下の意味を持ちます。

事実を証明する根拠となるもの。証拠。

(引用:goo国語辞書

「証憑」は証明を目的として作成される訳ではなく、証明する根拠として使われることがわかります。つまり、必ずしも証明書であるとは限りません。例えば、納品書や請求書は「証票」ではありませんが「証憑」には当てはまると言えます。

証憑書類とは?経理担当者がおさえたいのは4種類

①「売上」に関連する書類

売上に関する証憑には、取引の内容を明らかにする「契約書」、販売内容や金額を明らかにする「請求書」、代金を受け取ったことを明らかにする「領収書」等があります。企業の柱となる営業活動の取引詳細を証明するもので、妥当性や正確性を判断するために重要な書類です。そのため、紛失のないよう厳重に管理する必要があります。

②「仕入」に関連する書類

仕入に関する証憑には、どこにどれだけのものを注文したかを明らかにする「発注書」、注文した商品を受け取ったことを明らかにする「納品書」等があります。また、仕入にかかった金額を支払ったことを証明する、レシートや領収書も含まれます。売上の証憑と同様に、取引の妥当性や正確性の判断材料となるものです。また、「モノ」の動きを明らかにするため、在庫管理にも利用される重要な書類です。

③「従業員」に関連する書類

従業員に関する証憑には、誰にどれだけの給与を支払ったかを明らかにする「給与支払明細書」、どのような条件で雇用しているかを明らかにする「雇用契約書」、従業員の出退勤や勤務時間を明らかにする「出勤簿」「タイムカード」等があります。企業が従業員に給与を支払うことも取引のひとつと言えるため、従業員に関する書類も証憑として扱われます。

④その他取引の証拠となるもの

上記のほか、取引の証拠となるものは証憑として扱われます。例えば、サービスや賃貸借を受ける際にその内容を明らかにする契約書や、借入金の返済残高を明らかにする返済予定表、経費支払等に用いられるクレジットカードの利用明細等も含まれます。参照しやすいように分類してファイリングし、適切に管理しましょう。

証憑書類は管理と保存が必要|保存の3つの目的とは

目的①法律上の保存義務がある

証憑は、税法や会社法で保存が義務付けられています。取引の妥当性や正当性を証明する重要な書類であるため一定期間の保存が必要で、法律や証憑の種類によって保存期間が定められています。税務調査において提出を求められる場合や、補助金等の申請に必要となる場合もあります。

保存期間を守らず処分してしまった場合は、青色申告や欠損金の繰越等が適用されなかったり、税金の支払において不利になったり、過料が発生したりといった罰則があります。

目的②監査に備える

会計における監査とは、財務諸表の表示が適正かどうか監査担当者が意見を表明するために行われるものです。財務諸表は日々の仕訳を集計したものであるため、取引が正確に記録されているかチェックすることがあります。その際に、証憑は取引を裏付けるものとして重要な資料となります。

監査にも種類があり、法律によって行う頻度に差があります。監査をスムーズに進めるためにも、証憑の適切な管理と保存が必要となります。

目的③取引先や従業員とのトラブル防止

取引には金銭が絡むため、1円の違いでもトラブルになる可能性があります。例えば、仕入先への買掛金の未払いや、従業員への給与の未払い等が疑われる場合です。このようなトラブルを防止し、万一の場合に備えるためにも、証憑を適切に管理・保存しておく必要があります。

保存期間は5年・7年・10年|証憑書類にまつわる法律

証憑の保存期間を定めている法律は、会社法と税法があります。

会社法では保存期間のほかに、株主等の権利者からの閲覧や写しの請求に対応するために「備置き」の期間が定められています。備置き期間は5年ですが、保存期間は10年と長いため、備置き期間が経過しても処分しないよう注意が必要です。備置きが必要な書類は、計算書類(貸借対照表、損益計算書等)や事業報告、監査報告、会計監査報告等があります。10年の保存が必要な書類は、上記の計算書類や帳簿、事業に関する重要な書類等です。

法人税法や消費税法等の税法では、基本的に7年の保存が義務付けられています。ただし、欠損金の発生した年度のものは10年間の保存が必要です。対象となる書類は、仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳等の帳簿書類や、注文書や契約書、領収書等、帳簿以外の証憑が当てはまります。

証憑書類は保存方法を電子保存にすると作業を効率化できる

電子保存するメリット

証憑を紙で保存する場合は管理コストがかかり、保管するためのスペースも必要です。そこで電子保存に切り替えることで、次のようなメリットを得られます。

  • 紙やインク代等の消耗品費の削減
  • 管理にかかる人的コスト・時間的コストの削減
  • 省スペース
  • 書類の紛失・劣化の防止
  • 検索性の上昇
  • 複数の端末からの閲覧

管理・維持に関わるコストを削減し、端末から閲覧できる状態にすることで使い勝手が良くなるでしょう。端末を問わず閲覧できるデータベースで保存すれば、会社以外でも閲覧が可能となり、リモートワークへの活用もできます。

電子保存するデメリット

電子保存にはメリットのある反面、次のようなデメリットもあります。

  • 導入コストの必要性
  • 情報漏洩等のセキュリティ面での危険性
  • 視認性の低下

証憑を電子化するには、スキャナや専用のシステムが必要です。そのため、導入にはコストやある程度の作業が必要となります。また、外部からの不正アクセスやID・パスワードの流出によって情報漏洩のリスクが伴います。証憑書類のサイズや印刷状態等によっては、スキャンすることで文字がつぶれて読みにくくなる可能性もあります。

証憑書類の電子保存は法律による定めがある

【e-文書法】保存の義務があるすべての書類が対象

e-文書法とは2005年に施行された法律で、電子保存の義務のあるすべての書類において、満たすべき要件を定めたものです。書類の電子保存を行うには、以下の4つの要件を満たす必要があります。

  • 見読性:出力時に読みやすいこと
  • 完全性:改ざんや消失のないよう対策しておくこと
  • 機密性:情報漏えいへの対策がなされていること
  • 検索性:必要なデータを検索できること

どれも電子保存した書類の使いやすさや安全性に関わる重要な事項です。証憑の電子保存を行うなら、まずこれらの要件を満たす必要があります。

【電子帳簿保存法】国税関係の帳簿等が対象

電子帳簿保存法は1998年の施行以来、技術の進展やペーパーレス化の需要に合わせて改正を重ねてきた法律です。2022年1月の改正は記憶に新しく感じる方も多いでしょう。この法律は証憑の中でも国税に関するものが対象で、保存に必要な要件は次の3点です。

  • 電子保存システムのマニュアルを揃えておく
  • 保存場所にマニュアルを備え付ける
  • 必要な時にデータを出力・参照できる

メールと郵送の場合、それぞれの電子保存の方法

証憑書類をメールで受領した場合

PDF等の電子化された証憑書類をメールで受け取る行為は「電子取引」とみなされます。電子帳簿保存法では、電子取引で受け取った書類はデータで保存する義務があります。その際は、前述の要件に加えて、以下の要件を満たして適切に保存しましょう。

  • 改ざんを防止するための策を取る
  • 「日付」「金額」「取引先」の3点から検索できる
  • 出力のためのディスプレイ・プリンタを設置する

証憑書類を郵送で受領した場合

郵送によって紙の状態の証憑書類を受け取った場合は、スキャンして電子化する「スキャナ保存」をすることができます。スキャナ保存の対象書類は以下の2つに分類されます。

  • 重要書類:契約書、納品書、請求書、領収書等
  • 一般書類:見積書、注文書、検収書等

保存要件がそれぞれ異なるため、詳しくは以下の案内をご参照ください。
(参考:国税庁 「はじめませんか、書類のスキャナ保存!」)

また、郵送による受領は電子取引とみなされず、2022年8月現在は電子保存の義務はありません。従来通りファイリングでの保存が可能ですが、今後法改正により保存要件が変わる可能性はあるため、今後の情報に注目しておきましょう。

証憑についてよくある質問Q&A

Q1.証憑台紙とは何のこと?

証憑台紙とは、証憑を保存する際に台紙として使われる紙のことです。証憑にもいろいろありますが、A4サイズの請求書等なら、パンチで直接穴をあけたりクリアファイルに入れたりしてそのままファイリングしやすいでしょう。しかし、レシートや領収書等は比較的小さく、そのままだと扱いにくいものです。それらを一定のサイズの紙に貼り付けてファイリングすると保存しやすくなります。台紙となる紙はコピー用紙等でも構いません。会社によっては専用の様式を持っていることもあります。

Q2.証憑番号とは何のこと?

証憑番号とは、証憑に付ける番号のことです。証憑番号は仕訳や各種帳簿に記載しておくと、内容確認のために証憑を参照したいときにスムーズに見つけることができます。また、証憑に番号を書き込んでおくことで、仕訳等の処理が終了している印にもなります。しかし、証憑番号は必ずしも使わなければならないものではないため、使いやすさ等のメリットがあれば使用するといいでしょう。

納品書や請求書は電子化して作業効率化を図ろう

技術の発達やペーパーレス化の推進、2022年の電子帳簿保存法の改正等から、今後もデータ保存を推進する流れは続いていくと考えられます。そのため、導入時の手間やリスクはあるものの、電子化するメリットも大いにあります。oneplatは仕入れのたびに発生する納品書や、多くの仕入先から届く請求書を電子化するサービスです。ペーパーレス化だけでなく、販売管理システムや会計システムとの連携によって、事務作業を大幅に削減することができるため、作業の効率化にもお役立ていただけるでしょう。

まとめ

証憑は、取引の内容を明らかにする証拠となるものです。企業にとって重要な書類で種類は多岐にわたり、長期間の適切な保存が義務付けられています。そのため、電子保存ができれば大幅なコスト削減や作業効率化に繋がるでしょう。一度電子保存の仕組みを構築しておけば、将来の継続的なメリットが期待できます。電子化やペーパーレス化の今後さらなる加速に備えて、是非oneplatをご検討ください。

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oneplus編集部

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