上場企業の経理業務とは?非上場企業との違いやきついのか等徹底解説

上場企業の経理には高い専門性が必要となります。業務量も多くなりがちなため、忙しくてきついというイメージを持たれる方も多いのではないでしょうか。本記事では、そんな上場企業の経理の業務内容を非上場企業と比較して解説していきます。また、きついといわれる理由についても詳しく見ていきましょう。

上場企業と非上場企業の経理業務の違いは?

同じ経理業務といっても、上場企業と非上場企業ではその内容や重要視していることが異なっています。業務範囲や専門性にも違いがあります。ここでは、それぞれの特徴について解説していきます。特徴を理解して違いを明確にできるようにしましょう。

非上場企業の経理業務の特徴

非上場企業では税務会計が重要です。これは企業が支払う税額を算出して申告する目的があります。非上場企業は株主と経営者が同一のパターンが多いため、株主等の外部に経営状況を報告する必要性が上場企業より低いです。事業報告書を作成すれば説明責任を果たすことができます。

そのため正しい申告により納税ができるか、適切な節税対策が取れるか等に重きが置かれることが多いでしょう。また、証券取引所に株式を公開していないため有価証券報告書の提出義務がありません。決算に関する書類は外部への報告があまり重要ではないことから、会社法や法人税法で義務となっている内容が含まれていれば十分なため、簡易化が可能です。

しかし、中小企業では人員の関係から経理業務と一口にいっても幅広い業務を担うことが多いでしょう。場合によっては、人事の仕事まで担うこともあります。このように決算書類作成の負担は少なくても全体的な業務量はおおくなってしまうことも考えられます。

上場企業の経理業務の特徴

上場企業では会計基準に従った決算と開示の義務があるため、財務会計が重要です。これは株主や投資家、経営者等への説明責任により企業の財務状況を報告するため行われます。

会計基準に従った決算の例は以下の通りです。
・税金計算、税効果会計
・固定資産の減損
・保有している資産の時価評価
・連結決算(子会社を保有している場合)

決算業務後、その情報を開示するための開示書類を作成する必要があります。また、開示書類には経営戦略や役員状況等の記載も必要となるため、経理部だけでは完結できません。人事部や総務部、経営企画部等と連携して作成していくことになるでしょう。

またそれ以外にも、有価証券報告書の提出や四半期報告書の開示義務があります。上場企業では一般的に月次決算も行われることが多いです。銀行等の金融機関から融資を受けるための書類作成や、税務署からの税務調査に対応するための準備も必要となるでしょう。

このように上場企業の経理は、業務量やその負担が非常に大きいです。そのため、経理部門の仕事を細分化していることが多く、一人一人の業務範囲は狭まるが高い専門知識が必要になります。

上場企業の経理が「きつい」と言われる理由

よく多忙である、きつい、大変という話を聞きますが、実際はどうでしょうか。ここでは、上場企業がきついと言われる理由について紹介していきます。

大変ではありますが、その分経験を積むことができると考えることもできます。転職等で迷っている方はこちらの理由を理解して判断できるようにしましょう。

求められるレベルが高い

大まかなイメージとしては、日商簿記一級レベルの知識が必要です。もちろん最初から必須というわけではありません。業務を経験していく中で、より専門性の高い分野を担う際に必要となってくるでしょう。

上場企業の経理は、金融商品取引法のルールに則って決算書を作成することが求められます。さらに、会計監査も受ける必要があります。そのため、適切な書類作成には高度な会計知識が必要となるでしょう。

しかし、中小企業では経験することが少ない連結決算や高度な会計基準を取り扱えることは、自身の経験値を増やしてくれます。そのため、将来的なメリットは大きいと言えるでしょう。

財務会計と管理会計に関する正確な知識が必要

上場企業は会計監査を受けて、株主や投資家に対して企業の経営状況を開示する必要があるため、財務会計と管理会計の知識が非常に大切です。まずは、財務と管理について簡単に解説していきます。

財務会計とは:外部の人間に対して経営状況を報告するための会計です。主に経理と財務の2種類に分けられます。経理業務は、日々のお金の流れや取引の内容を記録して管理することが目的です。財務業務は、経理が管理している記録をもとにデータ分析やモニタリングすることが目的です。この管理と分析が適切にできていれば、決算書の作成や資金繰り等がスムーズに行われます。

管理会計とは:内部で経営に関する情報を共有するための会計です。管理会計が作成した書類は、企業の現状を知ることができるため、経営戦略のための参考資料としての役割があります。また、部門ごとに行うことで利益を出している部門や、伸び悩んでいる部門等の具体的な課題点を明確にすることができます。部門単位で現状を把握できれば、現場ごとの目標も立てやすく、利益向上への貢献が期待できるでしょう。

このように、内外へ報告するための情報を管理する非常に重要な役割があり、それらを適切に行うには正確な知識が必要となります。

連結決算に関する知識が必要

上場企業の多くは子会社を保有しています。そのため連結決算が必要です。これには連結財務諸表を作成する必要があります。連結財務諸表とは連結決算の対象となる企業をひとまとめにして作成する財務諸表のことです。

これらの作成に必要な知識には以下のようなものが挙げられます。
・資本連結
・損益取引の相殺
・債権債務の相殺
・未実現損益の消去

作業量が多いため実際は分担して対応することが多いですが、管理者になるためには全体を理解しておくことが必要でしょう。レベルとしては日商簿記一級よりさらに高度な会計知識が必要と思われます。

3か月に1度の決算がある

非上場企業であれば年に1回決算がありますが、上場企業では3か月に1回の決算が必要です。四半期決算とも呼ばれており、金融商品取引法により公表が義務付けられています。これは投資家が企業情報に触れる機会を増やすことを目的に導入されました。

主に年次決算と同様に損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書等の決算書類を作成するための集計を行います。また、決算整理仕訳が必要になることもあります。またこれらに加えて、四半期報告書を作成する必要があるため、セグメント情報や企業の状況についてまとめる必要もあるでしょう。

多くの開示書類がある

連結財務諸表に加え、開示書類の作成が必要となります。開示書類には以下のようなものが挙げられます。

・有価証券報告書:金融良品取引法によって規定されています。その目的は、投資家に対し投資の判断に有益な情報を提供することです。

・決算短信:有価証券報告書は事業年度終了後3か月以内の提出となっているため、それより早く決算結果を投資家へ情報提供するために作成されます。こちらは四半期ごとの決算から45日以内に提出する必要があります。

・四半期報告書:金融良品取引法によって規定されています。四半期ごとに企業概況や事業、設備、経理の状況を報告するために提出が必要です。

監査法人から会計監査を受ける必要があります。監査の目的は、企業が作成した財務諸表の情報が適切であるか確認することです。これを受けるにあたって、事前に必要な書類を用意したり、当日は立ち合いをして会計士からの指摘に回答したりする必要があります。

そのため、経理にとっても準備から当日まで大きな負担がかかってしまうでしょう。さらに監査で指摘があった場合は、書類の再提出が必要になることもあります。

業務プロセスも監視される

監査では、財務諸表に記載された情報だけではなく、その過程についても確認が行われます。業務記述書の内容と根拠資料に相違がある場合に指摘を受けることがあります。そのため、正しい手順で処理が行われるよう細かくチェックする必要があると言えるでしょう。

まとめ:上場企業の経理は求められる知識や業務量が多い

高い専門知識が必要であることと業務量の多さからハードルが高くなっていますが、その分非上場企業では関われない業務を担うことも可能です。そのため、将来的に有利な経験を積めると言えるでしょう。

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oneplus編集部

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