企業間での立替経費請求書の書き方を徹底解説|仕訳や消費税も説明

取引先等の経費を立替えた場合は、立替請求書の発行が必要になります。

今回の記事では、

  • 立替請求書を発行するケースは、どんな場合があるか知りたい
  • 立替請求書を発行するには、何を記載すればいいの?
  • 企業間で経費立替を行った時の仕訳方法を知りたい
  • インボイス制度の導入後、気をつけるべき点はあるのか?

といった内容について、紹介していきます。

目次

企業間での立替経費請求書とは

取引先とビジネスを行っていく上で、先方の代わりに商品購入を行ったりするケースがあるのではないでしょうか。

発生した費用は立替金として自社で処理を行い、後日取引先に請求を行います。その際に作成するのが「立替経費の請求書」です。

立替金を回収するために発行する請求書

本来であれば取引先が負担するべき費用を、自社が代払いした分を立替金と言います。取引先から立替金を回収するため、請求書の発行を行わなければいけません。

確実に回収できるように、遅滞なく発行するようにしましょう。

立替経費精算書と混同しないように注意

立替経費請求書と似たものに、立替経費精算書があります。

繰り返しになりますが、前者は取引先の代わりに何か支払いがあった時に発行する請求書のことです。一方後者は、社員が自社の経費を代わりに支払った場合に作成する書類を意味します。

同じ「立替」という言葉が付きますが、相手が「取引先」と「社員」で全く異なるので、混同しないように注意しましょう。

立替経費請求書を発行するシーン例

立替経費請求書を発行するシーンとして、2つ例を挙げます。

  • コンサルティング会社が、顧問先に出張に行ったケース
    例えば東京のコンサルティング会社が、新潟県にある顧問先の企業に泊まりがけで出張に行ったケースです。往復の交通費や宿泊代は自社で支払いを行い、後日まとめて顧問先に請求する場合は、立替経費請求書の発行が必要になります。
  • 取引先に頼まれて、外出先で書籍を購入したケース
    外出中に取引先から連絡があり、書店にいることを告げると必要な書籍の購入をお願いされたケースも該当します。購入時に代払いしているので、前ケースと同様に立替経費請求書を発行しましょう。

立替経費請求書の書き方と内容

この章では「立替経費請求書の書き方」「どのような記載内容が必要か」について紹介していきます。請求書と名が付くので、基本的には通常の請求書とあまり変わりません。ひとつずつ順を追って確認していきましょう。

立替経費請求書の書き方と内容1 

タイトルは立替経費請求書か立替金支払依頼書

受取側である取引先が「何を求められた請求書」であるのか、目的がわかりやすいタイトルにするのがいいでしょう。

おすすめするタイトルが「立替経費請求書」または「立替金支払依頼書」です。

立替経費請求書の書き方と内容2

発行者情報はタイトルの右下あたりに

請求書を発行するあなたの会社情報を、タイトルの右下に記載します。

記載事項としては「会社名」「住所」は必須で、そのほか「電話番号」や「取引先の担当者名」等を入れておくと良いでしょう。

会社として正式に発行した書類であることを示すため、社判を捺印することをおすすめします。

立替経費請求書の書き方と内容3

請求先はタイトル左下のあたりに

請求先である取引先企業の情報は、タイトルの左下に記載しましょう。

「会社名」「住所」「担当者」を記載します。なお会社宛にする場合は「御中」、担当者宛にする場合は「様」を使用しましょう。

立替経費請求書の書き方と内容4

発行日を記載する

立替経費請求書の発行年月日を記載します。取引先に経理上の締め日があるはずなので、都合のいい日付をあらかじめ確認しておくと良いかもしれません。

立替経費請求書の書き方と内容5

支払依頼内容は内訳がわかるように

自社で立替えた内容を記載します。

総額だけを伝えるのではなく、以下の項目を記載するのが良いでしょう。

  • 立替えた年月日
  • 購入した品目(取引先に伝わりやすいよう具体的に)
  • 購入数
  • 単価
  • 品目ごとの合計金額

上記のように、複数の立替えを行っていた場合は内訳がわかるように記載します。

立替経費請求書の書き方と内容6

請求金額を記載する

品目ごとの最後に、請求金額の合計を記載します。

もし内訳を税抜で記載していた場合は、合計金額も税抜になっていないか確認しましょう。

立替経費請求書の書き方と内容7

振込先情報を記載する

取引先に振り込んで欲しい金融機関の情報を記載します。

  • 金融機関名
  • 支店名
  • 口座種類(普通、当座等)
  • 口座番号
  • 口座名義

念のため、振込手数料はどちらが負担するかを記載しておくと良いでしょう。

立替経費請求書の書き方と内容8

支払期日は先方との相談も必要

最後に支払期日を記載します。

支払期日は、事前に取引先と相談して決めるのが良いかもしれません。先方の締め日等も考慮した上で、必要があれば相談してみましょう。

ここまで紹介してきた事項以外でも、例えば「自社で管理するための番号」「例外的なことが出てきた場合の特記事項」等があれば記載します。

立替経費請求書を書くときの注意点

本来は取引先の経費であるものを立替えているとはいえ、支払いをお願いするために作成するのが立替金or経費請求書です。非礼がないように、注意するべき2点について紹介していきます。

請求内容は必ず正確に記載する

請求内容に誤りがないように、細心の注意を払いましょう。「立替えた商品等の内訳」「金額」ともに記載内容が正確かどうか、送付前に必ず再度チェックを行うことをおすすめします。

もし送付前にミスが発覚した場合は、二重線で訂正することなく作成し直しましょう。

また万が一、送付後に間違いに気づいた場合は、速やかに取引先に連絡を取ります。その際に手元に届いた立替金or経費請求書の破棄をお願いし、すぐに請求書の再発行・送付を行ってください。

立替経費請求書に送付状を添えるとベター

立替経費請求書のみで送付してしまうのは、取引先に対して大変失礼にあたります。多少の手間はかかりますが、送付状も作成して一緒に送付するようにしましょう。

企業間の立替経費を仕訳する方法とタイミング

企業間で経費の立替を行った場合の「仕訳方法」「仕訳を行うタイミング」について、お伝えしていきます。特に仕訳方法は領収書を先方に渡すかどうかで変わってくるので、注意が必要です。

立替えた時点で立替金として記帳する

領収書を先方に渡す場合は、経費を立替えた時点で立替金として処理を行います。そして入金があった際に、立替金が戻ってきた処理を行いましょう。

例えば10,000円の立替を行ったケースでは、下記のような仕訳になります。

・立替時点での仕訳

立替金/10,000円現金/10,000円

回収したときは立替金を貸方に仕訳する

取引先から入金があった場合は、支払い時に借方で処理していた立替金を、今度は貸方で仕訳をすることで相殺しましょう。

・入金時の仕訳

普通預金/10,000円立替金/10,000円

返金されない場合は雑損失になる

もしこちら側のミスや取引先の都合により立替えたお金が戻ってこなかった場合は、「雑損失」として処理を行います。

・返金がされないとわかった時の仕訳

雑損失/10,000円立替金/10,000円

立替経費の領収書を相手に渡さない場合は仕訳方法が異なる

取引先に立替時の領収書を渡さない場合は、先述とは異なった仕訳を行う必要があります。

金額は同じく10,000円、出張時の交通費を立替えたと仮定しましょう。

・立替時点での仕訳

旅費交通費/10,000円現金/10,000円

今回のようなケースでは、入金があった時には「旅費交通費を逆仕訳して相殺する」仕訳を行うことがポイントです。

・入金時の仕訳

普通預金/10,000円旅費交通費/10,000円

立替経費請求書における消費税の扱い方

経費を立替えた時には、もちろん消費税の支払いをしています。しかし請求書を発行する際、その消費税を取引先に請求していいのかどうか悩んだことがある方もいるのではないでしょうか。

この章では、消費税の扱い方から請求書の記載方法まで紹介していきます。

原則として消費税は課税される

結論として、原則、消費税は課税されます。ここまで例として挙げている宿泊費や交通費も、立替で支払っているかどうかに関わらず消費税はかかるからです。

ただし立替経費請求書として処理を行う場合は、単に立替えて支払いを行ったこちら側は「立替金」として、そして先方は通常通りの課税仕入として処理を行います。

内税か外税かを確認する

例えばホテル代等の宿泊費は、領収書を確認すると外税になっていることが多いのではないでしょうか。こうした場合は消費税についても明記されているので、わかりやすいでしょう。

一方、電車代等の交通費については、消費税について記載がないことがほとんどです。しかし消費税は含まれており、内税での表示になっています。

取引先に請求する際には消費税が内税か外税なのかを確認し、間違った金額を請求しないように気をつけましょう。

消費税の請求書への記載方法

請求書の消費税は、実際に支払った金額と同額を請求する形で記載します。つまり、実際に支払った金額にさらに消費税を上乗せして請求することはできません。

先述の通り、立替えて支払った経費の中には「内税」のものが含まれていることもあるでしょう。その場合は、いったん税抜金額を割り出す必要があります。

税抜額をまずは記載し、そこに消費税を加えて税込金額を請求しましょう。

繰り返しになりますが、請求する税込金額と、実際に支払った金額は一致していなければいけません。

インボイス制度における立替経費請求書の注意点

今後始まる予定のインボイス制度の下でも、今までと同様のやり取りで行っていけば良いのでしょうか。立替経費請求書の取り扱い方について、注意点を紹介していきます。

インボイス制度とは適格請求書保存方式のこと

インボイス制度の下では、制度に登録した事業者のみが発行可能な適格請求書がないと、仕入税額の控除を行うことができません。

また発行する側は請求書の控えを、受け取る側は原本を、お互い7年間保存する義務が発生します。

仕入税額控除のために立替経費請求書が必要

仮にあなたの会社をX社、取引先をY社、Y社がX社の立替経費を支払った会社をZ社としましょう。

この場合は、Y社はZ社からインボイスを受け取りますが、これはY社宛のものです。ですので、X社はそのインボイスをそのまま受け取っても、仕入税額の控除を行うことができません。

では、どうすれば良いのでしょうか。Y社から立替経費請求書の発行をしてもらってください。こうすることで、Y社がZ社に支払った経費は、本来はX社が支払うべきものであるということの証明になります。

X社は「Y社からの立替経費請求書」「Z社からのインボイス」の両方を保管しておかなければいけません。

支払先が適格請求書発行事業者であれば仕入税額控除が可能

ここでひとつ疑問が生じるかもしれません。もしY社がインボイス発行可能事業者でない場合は、X社は仕入税額を控除することはできるのでしょうか。

結論からお伝えすると、可能です。Z社が発行可能事業者であれば、Y社がどちらでも構いません。ただし繰り返しになりますが、Y社からは立替経費請求書を発行してもらわなくてはいけないので注意しましょう。

インボイス制度における立替経費請求書についてのまとめ

企業間で経費の立替が発生した時の処理方法について、お伝えしてきました。

  • 立替請求書の発行が必要になる
  • 立替請求書を発行する際には、記載事項等に注意が必要である
  • 立替経費の仕訳方法は、請求書が手元にあるかどうかで変わってくる
  • インボイス制度の導入後は、仕入税額の控除を行うための運用方法が変わる

いつ立替経費請求書の発行が必要になっても対応できるように、基本的な知識を入れておきましょう。

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oneplus編集部

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