福利厚生のメリット一覧|種類や目的、基礎知識も解説

「福利厚生とは?」
「福利厚生のメリットとデメリットは?」
「『福利厚生サービス』ってどんなもの?」

このような疑問をお持ちになった方がいるのではないでしょうか?

この記事では、福利厚生の概要やメリット、デメリット、「福利厚生サービス」についてわかりやすく解説します。
本記事を読めば、福利厚生についての理解が深まり、自社をより魅力的な企業にするためのヒントがつかめるはずです。是非最後までお読みください。

福利厚生とは簡単に言うと「給与以外に従業員に提供する報酬等」のこと

福利厚生とは簡単に言うと、「企業が給与以外に従業員に提供する報酬やサービス」のことです。

わかりやすく具体例で考えてみましょう。ご自身の給与明細を思い出してみてください。その中に「健康保険」「厚生年金保険」「雇用保険」「住宅手当」「家族手当」等の項目が記載されていませんでしたか?

そうしたものはすべて福利厚生です。また、会社から貸与される業務用のパソコンや携帯等も福利厚生の一環と言えます。

福利厚生を整備・充実させる目的とその対象者は?

目的は従業員とその家族の生活の安定を図り能力を発揮してもらうため

そもそも、福利厚生は何のために設けられているのでしょうか? 福利厚生という言葉の意味を考えると、その目的がわかりやすくなります。

【福利】幸福と利益
【厚生】くらしを健康で豊かにすること

つまり、従業員とその家族の幸福と利益を考えて、暮らしを豊かにしてくれるものが福利厚生なのです。

福利厚生が充実していれば、そこで働く従業員とその家族の生活が安定します。心も体も健やかな状態の従業員は、その能力を十分に発揮し、企業にとってプラスの影響を与えてくれるでしょう。

対象者は? 契約社員やパートは含まれる?

では、福利厚生の対象となるのは誰なのでしょうか?

答えは、すべての従業員です。正社員だけでなく、契約社員や派遣労働者、パートタイマー、アルバイト等にも福利厚生は適用されることになっています。

その根拠となっているのが、以下の2つの法律です。

  • パートタイム・有期雇用労働法
    (大企業は2020年4月1日、中小企業は2021年4月1日より施行)
  • 労働者派遣法
    (2020年4月1日より施行)

この2つの法律によって、正規雇用労働者と非正規雇用労働者は同じ待遇であるべきだとされているのです。

福利厚生は大まかに2種類に分けられる

福利厚生は大きく2種類に分けられます。「法定福利厚生」と「法定外福利厚生」です。

以下の表でその違いを確認しましょう。

福利厚生
種類法定福利厚生法定外福利厚生
概要法律で規定会社独自で規定
具体例・健康保険料
・厚生年金保険料
・介護保険料
・雇用保険料
・労災保険料 等
・住宅手当
・家族手当
・通勤手当
・出張手当
・健康診断補助 等

すべての企業の義務である「法定福利厚生」

「法定福利厚生」とは字のごとく、法律で定められている福利厚生であり、すべての企業の義務となります。

身近な例で言うと、会社が負担してくれる社会保険料が法定福利厚生にあたります。健康保険や厚生年金保険、介護保険、雇用保険、労災保険等の社会保険料の一部または全部を会社が負担してくれているのです。

法定福利費の経理処理についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてみてください。
>>法定福利費とは? 詳しい内容や計算方法・建設業の見積書について解説

企業が自由に取り入れられる「法定外福利厚生」

「法定外福利厚生」とは、企業が独自に定める福利厚生です。具体的には、住宅手当、家族手当、通勤手当、出張手当等の支給、健康診断補助等です。

企業が独自に定められることから、その他にも以下のような法定外福利厚生があります。

  • 社員食堂
  • フィットネスジム
  • 託児施設の利用
  • 慶弔見舞金の支給
  • 忘年会・新年会の費用負担
  • 社員旅行
  • クラブ活動
  • 資格取得手当
  • 特別休暇 等

多様な働き方が広がってきていることから、企業独自のユニークな法定外福利厚生も増えてきています。

福利厚生費の経理処理についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてみてください。
>>福利厚生費とは? 要件や悩みがちな飲食費についても解説

福利厚生を充実させるメリット一覧|力を入れることで見込める効果

近年、福利厚生に力を入れる企業が増えてきていますが、福利厚生を充実させることでどのようなメリットがあるのでしょうか。代表的なメリットを6つ紹介します。

優秀な人材が集まりやすくなる

あなただったら、どちらの会社で働きたいと思いますか?

  • A社:給料は25万円。住宅手当が月10,000円。その他の補助は一切なし。
  • B社:給料は23万円。住宅手当が月5,000円。通勤手当が月3,000円。家族手当が扶養家族一人につき5,000円。社員食堂がありランチは無料。誕生日休暇あり。毎週水曜日はノー残業デー。育休取得可能(男性でも3か月の育休取得が可能)。資格手当あり。

多くの方がBを選ばれるのではないでしょうか。福利厚生の充実は、企業がそこで働く従業員をどれだけ大切にしているかというメッセージの表れです。

福利厚生を充実させることで企業の魅力が高まり、優秀な人材が集まりやすくなります。

「従業員満足度」が高まる

福利厚生を充実させることで、「従業員満足度」が高まります。

例えば「資格手当」を設けている企業があるとします。資格手当は、以下のような3パターンが一般的です。

  • 資格取得に向けて購入する教材、セミナー、受験料に対する一定の金額補助
  • 合格時の報奨金支給
  • 資格取得後の毎月一定の金額支給

こうした制度がある企業とない企業とでは、従業員の満足度やモチベーションに差が出てくることは容易に想像できるでしょう。

福利厚生の充実は、従業員の満足度向上に繋がり、企業にとってもプラスの効果を見込むことができます。

従業員満足度についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてみてください。
>>従業員満足度とは? 高める取り組み事例やアンケートの流れを解説

対外的なアピール材料になる

福利厚生の充実は、対外的なアピール材料にもなります。

テレビ等で、グーグルの従業員が広大なオフィスで自由気ままに働く姿を見たことはありませんか? 各自が思い思いの場所でノートパソコンを片手に仕事をしたり、カラフルなソファーに座って同僚と楽しみながら打合せをしていたり、無料の社員食堂で栄養バランスのとれた食事をとっていたり。

それを見た人は、きっと思うはずです。「ここで働いてみたい」と。

生き生きと働く従業員の姿は、それを見た人への何よりのアピールとなり、企業のイメージアップへ繋がります。

法人税の節税効果がある

意外に思われるかもしれませんが、福利厚生には法人税の節税効果もあります。

なぜ、節税になるかというと、福利厚生費として認められたものは「経費」としてみなすことができるからです。以下の図をみてください。

簡単に言うと、法人税は「売上」から「経費」を引いた「利益」に対してかけられる税金です。
つまり、福利厚生費(経費)が多くなればなるほど、それだけ利益が減り、かかってくる法人税を安くすることができるのです。

従業員の健康維持により生産性が上がる

なぜ福利厚生の充実が、従業員の健康維持によって生産性を上げることになるのでしょう?

例えば、福利厚生として「従業員全員がフィットネスジムを無料で利用できる」としましょう。すると以下のような効果が期待されます。

  • 運動することで体力がつき病気になりにくい体質になる
    →従業員の欠勤率が減り、業務が滞りなく進む
  • メンタルヘルスの改善になる
    →従業員の離職率低下に繋がる
  • 従業員同士の健全な交流の場ができる
    →社内のコミュニケーションが活発になる

このように、福利厚生の充実は従業員の健康維持に寄与し、生産性を上げることになるのです。

人材の流出を防げる

福利厚生の拡充は、人材の流出を防ぐ要因にもなります。

従業員が職場を去ってしまう原因は、様々な理由が考えられます。給与がなかなか上がらない、人間関係がギクシャクしている、業務が常に逼迫している、等。

そうしたストレスにさらされた状況であっても、誕生日休暇といった特別休暇を利用して心身ともにリフレッシュできます。その他、資格手当で仕事へのモチベーションを高めたり、フィットネスジムの利用で部門外の人との繋がりが生まれたりと、福利厚生の充実が従業員を企業に繋ぎとめる役割を果たしてくれるのです。

社員定着率についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてみてください。
>>社員定着率とは? 計算方法や平均値、改善する方法を解説

福利厚生の導入で企業に生じるデメリットも押さえておこう

福利厚生の導入で、企業に生じるデメリットもあります。主な3つのデメリットを押さえておきましょう。

福利厚生の内容が充実するほど負担する費用が大きくなる

デメリットとしてまず考えられるのが、費用の問題です。福利厚生の内容を充実させればさせるほど、そこにかかる費用負担が大きくなります。

また、少子高齢化の流れが法定福利厚生である社会保険料の増加に拍車をかけています。

日本経済団体連合会の調査によると2019年度の企業の福利厚生費は、全産業平均で従業員1人1か月当たり108,517円(法定福利費84,392円、法定外福利費24,125円)となっており、年々企業の負担する福利厚生費は増加傾向にあります。

出典:経団連第64回 福利厚生費調査結果報告

手続きが増えるため管理に大きな負担がかかる

福利厚生を利用する従業員が増えると、手続きやその管理の負担が問題になってきます。

仮に、テーマパークや商業施設の利用が割引になるという福利厚生があったとします。その場合は、福利厚生を管理する担当者は以下のような対応をとることになります。

  • 申請書類の通知、配布
  • 従業員からの申請書類の受付、チェック
  • 従業員からの問い合わせの対応
  • 利用機関とのやりとり
  • 利用後の事務処理や経理処理

日々の業務に加えて、こうした管理業務にまで手間と時間をとられることは、担当者にとって大きな負担となってしまいます。

利用したい制度がない人が不満を抱く

これはやむを得ないことかもしれませんが、福利厚生は利用したくても利用できない人がどうしても出てきてしまいます。そのため、利用したい制度がない従業員は不満を抱いてしまいます。

例を挙げると、育児休暇がわかりやすいのではないでしょうか。

子どもがいる従業員にとっては、非常に有益な制度であることは間違いありません。しかし、子どもがいない従業員からしてみれば、「子どもの面倒を見るだけで休めるなんて、ずるい」と理解を示してくれない人も中にはいるでしょう。

また、子どもが欲しくてもなかなか授からない従業員にとっては、育児休暇の存在自体がストレスに感じてしまうかもしれません。

内容を充実させて管理の手間も省ける「福利厚生サービス」

最後に「福利厚生サービス」について触れておきます。福利厚生サービスとは、福利厚生を外部の業者に代行してもらうというものです。

専門の業者に福利厚生を外注することで、以下のような効果が期待されます。

  • 従業員への豊富な福利厚生の提供
  • 管理業務の負担軽減
  • ムダな福利厚生費の削減

福利厚生サービスは「パッケージサービス」と「カフェテリアプラン」の2つに大別されます。それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

福利厚生の業務を一括管理してくれる「パッケージサービス」

「パッケージサービス」とは、福利厚生の業務をすべて一括管理してくれるサービスです。

旅行会社であらかじめコースや日程が決まっている、パッケージプランをイメージしてみてください。業者側であらかじめすべて決めておいてくれるので、こちらは好きなプランを選ぶだけ。管理に手間をかけることなく、気軽に利用できるサービスです。

パッケージサービスには以下のような特徴があります。

  • 多彩なコースから自社にあったコースを選択可能
  • 定額制
  • リーズナブル
  • カスタマイズしにくい
  • 企業のオリジナル性が出しにくい

自社の要望にカスタマイズできる「カフェテリアプラン」

「カフェテリアプラン」とは、従業員が企業から付与されたポイントを使って自由に福利厚生のサービスを選べるというものです。

旅行先のホテルで食事がバイキングだった場合をイメージしてもらうとよいでしょう。数ある料理のなかから、自分の好きなものを選ぶ。自社の要望をカスタマイズしやすいサービスです。

カフェテリアプランには以下のような特徴があります。

  • 従業員が自主的にプランを選択可能
  • 公平性が生まれる
  • プランを充実させすぎると高額になる可能性あり
  • カスタマイズしやすい
  • 自社の要望を反映しやすい

まとめ

 今回取り上げた福利厚生について、ポイントをおさらいしておきましょう。

  • 福利厚生とは、給与以外に従業員に提供する報酬やサービス
  • 福利厚生の充実は、企業と従業員の両者にメリット
  • 福利厚生サービスの利用で業務効率化が可能

福利厚生は直接的ではないにしろ、企業経営に大きな影響を与えます。福利厚生を「経費」と考えるだけではなく「未来への投資」と考え、バランスのとれた費用配分を行っていくことが重要です。

福利厚生の充実で従業員とその家族の満足度を高め、明日からの企業経営に活かしていきましょう。

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oneplus編集部

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