過剰請求等の誤請求への対応は? 「返金」に関する仕訳の仕方

請求書を作成する際、取引先の金額と一致せず過剰請求等の誤請求が発生することがあります。

誤請求は取引先からの信用失墜を招き、誤送金の原因にも繋がります。

請求書に間違いがあると、再発行と詫び状も送付しなければならず、さらに誤入金があった場合は返金処理が必要です。

この記事では、過剰請求等の誤請求の原因は何か、その対応方法をどうすればよいのか、また、仕訳の処理等もご紹介します。

目次

過剰請求や過少請求を含む言葉「誤請求」の定義とは?

「誤請求」とは、取引先の帳簿の金額と一致しない状態で、取引先に代金を請求することです。

代金が正しくない状態で請求書を発行すると、売掛金と一致せず誤りのある入金が発生します。

もし過少入金があると自社の売掛金や未収金等を回収できず、また過剰入金の場合、次回の請求と相殺するか取引先に返金をしなくてはなりません。

過剰請求等の「誤請求」は何が原因で起こるのか?  

請求書を作成するとき担当者は確認をしているはずですが、「誤請求」は起こりうる可能性があります。

「誤請求」の起きる原因にはいくつかの型があり、予め対策を練った上で請求書を作成しましょう。ここではそれら4つの原因をお伝えします。

過剰請求等の「誤請求」の原因1:手作業・目視による作業によるミス

請求書は手作業や目視等の人手により作成します。

まず、会社の帳簿の金額と表計算のソフトで作成した金額を確認しますが、表を作成するときに起こりがちなのは、入力箇所の間違いや金額の見間違いです。

このような間違いに気づかない状態で請求書を作成した場合、誤請求の原因となります。

もし請求額が正しくないときは取引先にその旨を伝えお詫びをし、請求書の再発行や誤入金分の返金等の対応をしなければなりません。

過剰請求等の「誤請求」の原因2:料金体系の多様化による作業の複雑さ

企業は取引先のニーズに応えるためさまざまな割引を行い、料金体系が複雑になりがちです。

企業は競合先と異なる戦略で営業しなくてはならず、有利な営業を行うための手段として、さまざまな料金体系を設定しています。

料金体系が一定であれば請求書の間違いも発生しにくいものの、料金体系に変更があると、その都度、請求書の金額を変更しなくてはなりません。

料金体系が多様化するほど請求書に関わる作業が複雑になり「誤請求」の原因となります。

過剰請求等の「誤請求」の原因3:決済手段の多様化による作業の複雑さ

以前はクレジットカードや現金等での支払い、銀行口座への振込み等で請求額を支払っていました。

しかし、現在はインターネットの普及に伴い、スマホでの電子決済等の新しい決済手段を利用する人が増えています。

そのため決済手段は以前より多様化し、請求書を作成する担当者は新しい事務処理方法を取り入れなければなりません。

決済手段の多様化により、請求書を作成する作業量も複雑で煩雑になり「誤請求」の原因となります。

過剰請求等の「誤請求」の原因4:請求書再発行等による書類の重複

人為的なミス、料金体系や決済手段の多様化により「誤請求」が起こる結果、請求書を再発行しなければなりません。

会計ソフトで金額の修正と請求書を再発行する場合、書類の重複により請求額を間違える可能性があります。

万が一、会計ソフトで請求書の再発行ができない状況であれば、表計算ソフトによる請求書の再発行が必要です。

このとき、通常と異なる方法で請求書を再発行するため、新たな請求書の間違いに気づきにくいことがあります。

以下の記事でも請求書のミスについて触れていますので、併せて参考にしてください。

>>請求書で二重請求等のミスが発覚した際の対処法は?対策も解説

過剰請求等の誤請求への対応は迅速かつ丁寧に! 「流れ」を解説

取引先が誤請求に気づかず送金手続きをし、正しい金額が入金されないことがあります。

過剰請求等請求書に誤りがあると、会社の信用失墜に繋がりかねません。ここでは誤請求をしたときの対応方法をお伝えします。

1.ただちに過剰請求に関する取引内容を確認し、口頭で謝罪する

取引先から誤請求の連絡があったときは、取引先名や発行日、もし請求書の番号があれば、その番号により請求書を特定します。

そして、ただちに取引内容を確認し、口頭で謝罪しましょう。

まずは初動が大切で、取引先に不快感を与えると、さらに大きなクレームに繋がりかねません。

もし誤請求の内容の調査に時間がかかるときは、改めて連絡を入れる旨を伝え早急に原因を調べることが必要です。

2.過剰請求についてお詫び状を作成する

誤請求が明らかになったときは、取引先に謝罪の意を込めてお詫び状を作成しなければなりません。

もし取引先に間違いの原因が一部あったとしても、お詫び状で言い訳をしないようにします。

間違いの原因は自社にあることを記載し、丁寧に謝罪の意を伝えることが大切です。

さらに取引先との信頼関係を継続するため、再発防止策を記載しておきます。

3.正しい請求書を再発行しお詫び状と共に送付する

誤請求の連絡を受け内容を確認できた際は、正しい請求書を再発行しお詫び状を発送します。

請求書により正しい金額を証明するため、内容の間違いは許されません。また、取引先は誤

請求のある請求書を受け取ると、正しい金額の送金ができなくなります。

請求書を再発行するときは、新たな請求書を作成した際、誤請求のある請求書の控えと見比べ、記載内容に不備がないか確認が必要です。

また、新たな請求書に誤請求と別の内容で間違いがないかも確認しましょう。

4.すでに入金があった場合には返金の対応も必要

誤請求の連絡があった時点で原因が明らかになった際、取引先は正しい金額を再発行した請求書に基づき送金できます。

しかし誤りに気づかず送金処理をすると、誤入金となり一時預かりの処理が必要です。

誤入金となった分の処理方法は取引先に確認をとらねばなりません。

取引先にその方法を確認し、次回の請求で相殺できるようであればその額を仮受金として計上し、次回の請求書で差額を相殺します。

また、誤入金分の返金を求められた場合は、返金の対応が必要です。

過剰請求等の誤請求による差額の返金方法

誤請求により取引先から過剰入金があったときは、早急に取引先にその旨の連絡をします。

もし過剰入金と正しい金額の差額を連絡のないまま送金すると、取引先では不明な入金となるため、過剰入金の処理方法は取引先に相談した上で決定しましょう。

なお、誤請求による差額の返金方法には、銀行振込、現金書留、現金手渡し等があり、取引先が希望したときのみ、次回の請求書から差額を減算する相殺処理が可能です。

誤請求による返金はした側・された側共に新たに仕訳をする

誤請求が原因となり過剰に入金された場合、その時点で返金をする側と返金をされる側で仕訳をします。

なぜなら、過剰入金の差額の返金が終了した時点で仕訳をすると、解決していない期間は帳簿上に記録が残らないからです。

そのような場合に決算期をむかえると、翌期に解消したとき返金をした側とされた側は共に正しい仕訳ができなくなります。

過剰請求など誤請求による返金をした場合の経理の仕訳

請求額の誤りにより取引先からすでに入金があったとき、帳簿の金額が混乱しないよう適切な処理が必要です。

通常の売掛金の消込に誤入金の額が入ると経理処理が煩雑になり、その確認や問い合わせ等で取引先に迷惑がかかります。

適切な経理処理をするには誤入金の処理方法を確認し、必ず取引先の承認を得なければなりません。

ここでは売掛金10万円に対し15万円の誤請求をしたときを例にとり、返金したときの経理の仕訳について説明します。

なお、振込みにかかる手数料が100円かかるとすると、誤請求により返金する側が手数料を負担します。

誤入金分を全額返金するときの仕訳

相手先から誤請求分の全額の返金を求められたときは、次の仕訳をします。

入金時の仕訳

預金 15万円 / 仮受金 15万
全額返金の処理 仮受金 15万円 / 預金 15万100円
振込手数料 100円

この場合、請求書を再発行し、通常のサイトで入金できるかの確認が必要です。

送金の内訳がわかるように、取引先に送金明細も合わせて送付します。

誤入金の差額分だけ返金するときの仕訳

相手先が誤入金の差額分だけ返金を求めたときは、次の仕訳をします。

  • 入金時の仕訳

    預金 15万円/売掛金 10万円
           仮受金  5万円

  • 差額分返金の処理

    仮受金:5万円/預金 5万100円
    支払手数料:100円

この場合、送金の内訳がわかるように、送金明細を取引先に発送します。

差額分を次回の請求にまわすときの仕訳

相手先が誤入金の差額分を次回にまわすことに承諾した場合、以下のように相殺処理を行います。

  • 入金時の仕訳

    預金 15万円/売掛金 10万円
           仮受金 5万円

  • 次回の請求が20万円あり、その入金により相殺されたときの仕訳

    預金 15万円/売掛金 20万円
           仮受金 5万円

  • 次回の入金で相殺する場合の仕訳

    売掛金 15万/売上 20万
          仮受金 5万

預金口座には相殺分を差し引いた15万円が入金されます。

この場合、相殺する金額は必ず次回の請求書に記載します。

ただし、次回の請求が誤入金より少ないときは、取引先と仮受金の残高の確認をしてください。

仮受金の管理表等を作成し、取引先と認識のズレがないようにしましょう。

仮受金の残高は必ず「0」に

誤入金分の額を返金または相殺するとき、仮受金の残高は必ず「0」にしなければなりません。

仮受金を全額、または差額分のみ返金する際は、返金した時点で仮受金の残高は「0」になります。

しかし相殺することが決まり、次回の請求額が相殺分に満たないときは、仮受金の残高が残ってしまいます。

残った仮受金は、次回以降の金額でも相殺しなけらばならず、間違いの原因にも繋がります。

仮受金の相殺が続く場合、仮受金の管理表を作成し取引先と確認の上請求書を作成しましょう。

誤請求による返金をされた側の経理の仕訳

誤請求に気づかず仕入先に間違った金額を送金した場合、送金時と返金時の仕訳が必要です。

誤って送金した場合、仮払金の勘定科目で処理をします。

ここでは、仮払金の処理方法をお伝えします。

なお、返金にかかる手数料は、誤請求元が負担することが一般的なため、送金元で手数料の仕訳は行いません。

仕訳の例として、買掛金10万円の支払に対し、誤請求が15万円あったときの仕訳をみてみましょう。

誤送金分を全額返金をされたときの仕訳

仕入先から全額返金を受けた場合、仮払金を全額取り消します。

  • 誤送金したときの仕訳

    仮払金 15万円/預金 15万円

  • 全額返金を受けたときの仕訳

    預金 15万円/仮払金 15万円

このとき、正しい買掛金の支払をしていませんので、正しい請求書を再発行してもらいます。

返金日をいつにするかは契約書の内容にもよるため、仕入先との話合いにより決定するのが一般的です。

正しい請求書が届いた後に返金しますが、もし請求書の再発行が遅い場合は、次回の請求時に返金することがあります。

誤送金の差額分のみ返金されたときの仕訳

仕入先より差額のみ返金された場合、買掛金と差額分の仕訳により仮払金を取り消します。

  • 送金したときの仕訳

    買掛金 10万円/預金 15万円
    仮払金 5万円

  • 差額の返金を受けたときの仕訳

    預金 5万円/仮払金 5万円

入金処理を明らかにするため、差額分の明細を必ず送付してもらいましょう。

誤送金の差額分を次回に相殺するときの仕訳

仕入先に相殺を依頼するときは、以下を参考にしてください。

  • 送金時

    買掛金 10万円/預金 15万円
    仮払金 5万円

  • 相殺時(仕入先と同じく20万の請求があった場合)

    仕入:20万円/買掛金 15万円
    仮払金 5万円

この場合、差額分の明細を必ず送付してもらいましょう。

ただし、相殺分が次回の支払より少ないとき、さらに支払の回数が増えます。

仕入先と仮払金の管理表等で残高の確認が必要です。

仮払金の残高は必ず「0」に

仮払金の残高は、仮受金の処理と同様に、必ず「0」になるよう支払の処理をします。

仕入先と残高を確認し、支払に間違いがないようにしましょう。

過剰請求等誤請求を起こさない対策に有効な手段に電子化がある

誤請求を防ぐ有効な手段に、請求書を電子化する方法があります。

この方法では請求書を作成するとき、内容に間違いがないかの確認を専用のソフトが行うため、自動で誤請求の防止が可能です。

この専用ソフトは取引先との契約に基づいた取引の

ルールを認識できるため、作成した請求書の内容がそのルール通りに作成されているかを確認します。

この専用ソフトにより誤請求の確認を人手に頼らず、複雑な内容の請求書でも間違いの防止が可能です。

【まとめ】万が一過剰請求が発生したら、正しく処理しよう

過剰請求が発生すると取引先との信用を失い、継続した取引が困難になりかねません。

過剰請求が発生する原因には人手によるミスや、料金体系、そして決済手段の多様化による請求作業の複雑さ、請求書の再発行等による書類の重複等があります。

もし誤請求が発覚したときは、請求書を再発行しお詫び状を同封し、取引先に発送しなければなりません。

誤請求が発生した場合、返金をする側とされる側に仕訳が必要で、帳簿に正しい金額を計上します。

誤請求を防ぐ方法には請求書の電子化があるので、その利用を検討してみてください。

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oneplus編集部

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