SWOT分析とは? やり方・書き方やポイントを詳しく説明します

経営戦略を立てるには、まず自社の状況を把握しておくことが大切です。その方法として、SWOT分析がよく知られています。専門知識がなくても理解しやすいシンプルさから、多くの企業で活用されている方法です。

この記事では、SWOT分析についての基本的な知識や構成要素、それらを組み合わせて分析する方法や活用のポイント等をわかりやすく解説します。これから事業戦略を立てるスタートアップ企業から、長年続く老舗の企業まで、変動の時代をを生き抜くための戦略策定に是非ご活用ください。

目次

SWOT分析とは何か簡単に説明

SWOT分析は時代遅れではない|事業分析に用いる著名なフレームワーク

SWOT分析は、企業の事業分析に使われる方法のひとつです。1960年代から70年代にかけて、スタンフォード大学のアルバート・ハンフリー氏によって構築されました。生み出されてから半世紀ほどが経ち、「時代遅れだ」という意見も見かけます。

しかし、SWOT分析によって細かく要素を洗い出した上で分析を行うと、現状を正確に踏まえた判断ができるため、現在においても十分意味のあるものです。このほか、就職活動における自己分析にも活用できます。

SWOT分析の目的や活用方法を確認しておこう

SWOT分析を行うことで、より細かく正確に現状を把握でき、今後どのように事業を進めるべきかの判断に役立ちます。現在は、コロナ禍による消費活動の変化、経済の動き、技術の発展等、変化の目まぐるしい時代です。

こんな時代だからこそ、自社の現状を正確に把握し、時代の流れに合わせた戦略を立てる必要があります。そのため一度行って終わるのではなく、継続して定期的に行うと良いでしょう。

SWOT分析のやり方①|S・W・O・Tの4要素とは

はじめる前に「外部環境」と「内部環境」についておさらい

SWOT分析は、「外部環境」と「内部環境」について、それぞれのプラス面・マイナス面をとらえることからはじめます。

「外部環境」とは、社会情勢や政治・経済、法律等、自社を取り巻く環境の中でコントロールが不可能なもののことです。

「内部環境」とは、商品やブランド力、技術力、立地や人材等の自社が保有するもののことで、コントロールの余地のあるものです。両者について押さえた上で、早速手順を見ていきましょう。

SWOT分析の手順と書き方

まず目的や課題を設定しましょう。何のために分析を行うのか明らかにし、目標とする数値まで設定できれば、より実践に繋げやすくなります。目指す目的や解決すべき課題を定めたら、まずは外部環境である「機会」「脅威」、次に内部環境である「強み」「弱み」を洗い出します。以下のような表にし、些細なことでもすべて書き込んでいきましょう。

プラス要因マイナス要因
内部環境強み:Strengths弱み:Weaknesses
外部環境機会:Opportunities脅威:Threats

1.【O 機会:Opportunity】の洗い出し

「機会」は、自社に良い影響を与える外部環境のことです。外部環境を考えるときは、「PEST分析」が役立ちます。以下の項目に関することから、機会を洗い出してみましょう。

  • Politics(政治)
  • Economy(経済)
  • Society(社会)
  • Technology(技術)

例えば、新しい法律の施行、新しい市場の成長、少子高齢化、5G技術等が挙げられます。もう少し踏み込むと、「電子帳簿保存法の改正でスキャナの売上が伸びている」「ライブコマース市場が拡大している」「高齢者の増加により食事の宅配のニーズが増加している」「5Gによって大容量で高画質な動画を家庭で楽しめるようになった」といった例が挙げられます。このような外部環境によって自社にどんな好影響が及ぶか、些細なことでもすべて洗い出しましょう。

2.【T 脅威:Threat】の洗い出し

「脅威」は、自社に悪い影響を与える外部環境のことです。上記の「PEST分析」は「脅威」においても有用です。同じ事象でも、企業によっては「機会」となることもあれば「脅威」となることもあります。

そのほか、日本語では「5つの脅威」と訳される「5フォース分析」も有用です。自社がどのように収益を上げられるのかを、以下の5つの観点から分析します。

  • 競合他社
  • 自社商品の買い手(消費者)の交渉力
  • 自社への売り手(仕入先等)の交渉力
  • 代替品の脅威
  • 新規参入の障壁

これらの観点をそれぞれ比較しながら考えることで、自社にとってより大きな脅威となるものについて把握できます。

3.【S 強み:Strength】の洗い出し

自社が保有する商品や経営資源等から「強み」を洗い出します。主観的な評価に終始するのではなく、できる限り多くの視点から考えることが大切です。また、強みを数値化することができればほかと比較できるため、より正確で客観的な分析が可能です。先に洗い出した「機会」「脅威」とも合わせて考えてみましょう。

4.【W 弱み:Weakness】の洗い出し

自社の保有するものから「弱み」を洗い出します。「強み」と同様に、できるだけ多くの視点から考えることが大切です。また、「脅威」と混同しないように注意しましょう。例えば「インターネットを使った買い物に抵抗のある高齢者が多い」という点は、自社ではコントロールできない外部環境である「脅威」です。

しかし「インターネットを通じた高齢者の購入が少ない」に対しては、自社が販売経路を変えることができるため、コントロールの余地があると言えることから、内部環境である「弱み」と捉えることができます。

4要素を関連付けて課題解決へ繋げることに意味がある

SWOT分析は、ここまでで終わりではありません。洗い出した要素を組み合わせ、関連付けて課題を解決することではじめて効果を発揮します。これからの戦略を練るには、現状や使うことのできるもの、周りの状況を把握しておくことが必要不可欠です。

より効果的で具体的な戦略を立てるには、より多くの判断材料を揃えておく必要があります。材料が多ければ様々な課題解決の方法を模索することができます。目標の設定が重要であるのもこれが理由です。要素を関連付けながら戦略を明確にする方法を「クロスSWOT分析」と言います。

SWOT分析のやり方②|具体的戦略をクロスSWOT分析で立てる

クロスSWOT分析とは、戦略を明確にしていくフレームワーク

クロスSWOT分析は、先に洗い出した4要素をそれぞれ組み合わせ、戦略を具体的な行動に落とし込んで明確にしていくフレームワークです。外部環境を知り、自社の持つものを利用してどう対処していくかを考えることで、戦略を実現する様々な方策を持っておくことができます。

【強み×機会】SO戦略

機会をチャンスととらえ、自社の強みを最大限に発揮するための戦略です。「国産の原料が売りの商品の原料価格が下がっている」「巣ごもり需要が高まる中、家でも本格的な味が楽しめる」等の状況が当てはまります。「強み」と「機会」はどちらもプラスの要因となるものであるため、両者の相乗効果で大きな成長が期待できます。

【弱み×機会】WO戦略

追い風となる機会を最大限に活かせるように、自社の弱みをカバーするための戦略です。「ニーズが高まっているのにもかかわらず、該当商品が少ない」「動画のメディアやアプリが盛り上がる中、動画を用いたコンテンツや宣伝方法がない」といった状況が当てはまります。弱みによるマイナスを補填することで、機会を最大限に活用する方法を考えます。

【強み×脅威】ST戦略

マイナスの外部環境である脅威に、自社の強みで立ち向かっていく戦略です。「記録的な暑さで外出しづらい中、自宅への配達のノウハウがあり手厚いサービスを提供できる」「物価が上昇する中、販売価格に影響しにくい計画的な生産システムがある」等の状況が当てはまります。強みを強化して脅威を避けたり、機会として生かしたりすることで、他社との差別化を図ることができます。

【弱み×脅威】WT戦略

脅威が迫る中で弱みを理解し、その影響を最小限に抑えることを目指す戦略です。「自社で赤字となっている部門の商品に類するものを、他社が安価で販売している」「クラウド型のシステムが主流となる中、インストール型のニーズが減少し太刀打ちできる点が少ない」等の状況が当てはまります。どちらもマイナスの要因であるため、適切に対処しなければ大打撃を受けかねません。場合によっては事業の縮小や撤退といった決断も必要です。

SWOT分析を行うときのポイント5つ

ポイント①分析する前に明確な目的を持つ

SWOT分析を行う前に、目的を明確にしておくことがとても大切です。目的が違えば、洗い出される要素も変わるからです。また、目的が曖昧なまま分析をはじめても、目指すものが定まっていないため、議論がまとまりません。現状の課題やさらに伸ばしたい点等から、具体的な目標を明確に定め、しっかりと共有しておくことが必要です。

ポイント②様々な視点から分析の材料を集められるメンバーで行う

SWOT分析では、様々な視点から要素をより多く洗い出すことが必要です。視点を増やすために、分析は各部署から集めたメンバーで行うと良いでしょう。4要素について、それぞれの視点で考えられることを漏れなく洗い出し、多面的に正確に現状を把握できれば、戦略のバリエーションを増やすことができます。状況によって柔軟な対応をしていく上でも活かすことができるでしょう。

ポイント③ポジティブ要因とネガティブ要因を持ち合わせていれば両方に記入する

長所と短所が表裏一体であるように、ひとつの事象でも、ポジティブにもネガティブにも受け取ることができます。そういった要因があれば、どちらも記入しておきましょう。また、ポジティブに感じられることがネガティブな面になりえないか、ネガティブな点をポジティブに活かすことはできないかという風に、あらゆる方面から考えることも、要素の幅を広げるのに有用です。

ポイント④強みの洗い出しにはヒアリングも有効

より多くの視点からの要素を集めるために、顧客の視点、競合他社の視点、従業員の視点等から考え、可能なら実際にヒアリングを行ってみるのも良いでしょう。自社でマイナスと捉えていることが、視点が変わればプラスに捉えられている可能性もあります。

特に強みは、自社では当たり前になっていることも多く、強みとして認識されにくいこともあります。外部からの意見を取り入れると思わぬ発見があるかもしれません。

ポイント⑤分析を行うタイミングは事業計画作成時が効果的

SWOT分析は、現状を把握して将来の戦略を策定するために行われます。そのため、事業計画を作成するタイミングで行うと効果的です。目的に基づいて、一貫性のある戦略を立てることができます。

また現代においては、コロナ禍で世の中が一変しました。このほか、通信技術の発達や経済状況の変化等、社会は刻々と変化しています。その中で、継続的にSWOT分析を行うことで、変わる世の中での自社の現状を把握し、時代に合った戦略を立てることにも役立つでしょう。

外部環境の分析にPEST分析や5フォース分析を活用する

自社の持つリソースである「内部環境」についてはイメージしやすいものですが、「外部環境」については漠然としており、様々な要素を拾いきれない場合もあります。そんな時に役立つのが「PEST分析」や「5フォース」です。外部環境を構築する項目がまとめられているため、具体的な要素を洗い出すのに有用です。詳しくはこちらの記事を参考にしてください。

>>PEST分析:PEST分析の目的・やり方を解説|ITや飲食など様々な業界で有用
>>5force分析:5force分析の概要やメリット・やり方をわかりやすく解説

まとめ

SWOT分析は現状を正しく把握して効果的な戦略を策定するためのものです。現状を知らなければ真に意味のある戦略は立てられないため、SWOT分析は決して時代遅れのものではありません。

自社の強み・弱みを改めて認識し、強みを活かせる機会や影響を受けやすい脅威を理解することは、短期的にも長期的にも活かすことができます。思わぬ自社の一面を発見できるかもしれません。

そして現状把握にとどまらず、目的達成のためのあらゆる可能性を検討していくことが大切です。まずは目的をしっかりと定め、是非SWOT分析を行ってみましょう。

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oneplus編集部

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