リベートとは? 仕組みやメリット・デメリットと会計処理まで解説

リベートは、多くの場合は販売促進のために使われる、一種の値引きの手法です。

販売促進に効果的なリベートですが

「どのように会計処理をしたらよいかわからない」

「リベートは法律的に問題ないのか不安」

このような悩みを抱えている方も多いでしょう。

本記事では、リベートの仕組みや会計処理の方法について解説します。

目次

「リベート」の意味は?

リベートは本来割戻金を意味する言葉

リベートとは、一度売上げたものを値引きすることで、もともとの商品の金額から値引き分を割戻す形で取引します。

販売奨励金や手数料等の形でリベートが行われるのが一般的です。

例えば、卸業者が販売店に対して販売店が一定数の売上げを達成した場合に、報酬としてリベートを行うことがあります。

営業担当者にとっては、キックバックの方が聞き馴染みがあるかもしれません。基本的にリベートと意味は同じです。

同じような言葉が多く混同することがありますが、リベートは最初から値引きされている訳ではなく、取引後に割戻す形で行うという特徴があります。

ヨーロッパ各国ではごくごく一般的な取引

リベートは日本だけでなく海外でも使われています。また、リベートはビジネスの場面だけで行うものとは限りません。

ヨーロッパの例でいうと、EU圏内では1ユーロの取引があるごとに数十セントのリベートが発生します。ビジネスの場面でも「大量に購入して、その分割引いてもらう」「長期間の契約を交わすかわりに割引いてもらう」等の取引が日本よりも活発に行われています。

ヨーロッパでは、割引きする側にとっても割引きを受ける側にとっても、Win-Winな取引としてリベートが根付いています。

「違法なリベート」「合法なリベート」

独占禁止法に抵触するときは「違法なリベート」となる

リベートは一歩間違えると「違法なリベート」になるので注意が必要です。特に、独占禁止法に触れていないかどうかは注意が必要です。

ほかの企業が入る余地のないような非常に好条件なリベートを提示することは、市場を独占する場合があります。このような場合は、独占禁止法によって厳しく罰せられます。

便利なリベートですが、このようなリスクを減らすために覚えるべき指針は以下の4つです。

  • リベートの水準
  • リベートの累進度
  • リベートを供与する基準
  • リベートの遡及性

ほかの競合他社に比べて割引率が高かったり、累進度が高かったりすると独占禁止法に触れる可能性があります。特に危険なのは、過去の取引に遡ってリベートを行うことです。取引先に対して、特別で不正なやり取りを行っていると疑われる恐れがあります。

リベートは誤った使い方をするとリスクがある取引です。しかし、きちんと市場を調査して事前に適切なリベート内容を決めてから取引することで法律に触れるリスクを減らすことができます。

「合法なリベート」と判断された事例

メーカーAが店舗販売業者に対してのリベートで「合法なリベート」と判断された公正取引委員会の事例を紹介します。

福祉用具メーカーのA社は、店舗販売とインターネット販売を同時に行うメーカーです。

A社は、提携先の店舗販売業者に対して、

  1. 販売員の営業力のなさ
  2. 在庫が十分でなく、販売の機会損失が起きている

このような悩みを抱えていました。

上記の問題を解決するために、

  1. 販売員の営業力強化の教育すること
  2. 指定の在庫数を毎月補充すること

を条件に店舗販売業者に対して、リベートを契約しました。

この契約は、店舗販売業者にのみ行われ、インターネット販売業者とはリベート契約をしていません。

結果的に、メーカーA社から店舗販売業者へのリベートは合法として認められました。

理由は、以下の通りです。

  1. 店舗販売業者の事業活動を制限することを条件としていないため
  2. リベートの目的が競合他社を阻害することではないため
  3. 店舗販売業者の販売員教育のためであり、インターネット販売業者の卸売価格を引き上げるものではないため。

様々な目的で使用されるリベートですが、目的をはっきりさせることが重要です。自社のことだけでなく、競合他社に対して市場を独占することにならないか、広い目を持つようにしましょう。

リベートは主に2種類に分けられる

1.売上返戻を意味する「支払リベート」

支払リベートとは、自社の売上時に発生するリベートのことです。今まで紹介した事例も支払リベートに含まれます。

一度売上げた商品やサービスに対して、一部の売上げを取引先や消費者に返戻する形を取ります。

後ほど紹介しますが、経理で仕訳する際には混合しやすいところです。

2.仕入返戻を意味する「受取リベート」

受取リベートとは、自社の仕入時に発生するリベートのことです。

主に、以下の3つの種類があります。

<仕入リベート>

仕入リベートは、仕入代金の一部を返戻する形で行います。一度に大量に仕入れることでその分、割引いてもらう等があります。

<個別商談リベート>

個別商談リベートは売上げや仕入れに関係しないところで、イベント的に発生します。1周年記念やキャンペーンの際に使われます。

<達成リベート>

達成リベートは、何らかの条件を満たした場合に効力を発揮するリベートです。取引先のモチベーションをあげるためによく使われます。

リベートのメリットとは?

リベートのメリットは流通チャネルで優位に立てることです。取引先との関係構築にもリベートは使われます。

リベートを行うことで、取引先のモチベーション向上や、自社の販売スペースを増やしてもらうことが可能になります。条件のよいリベートを提示するほど、取引先からの優先度は変わるでしょう。

後ほど紹介しますが、リベートには節税効果もあります。経理上は一度全額を売上げて、後に割引分の売上げを減少させます。こうすることで、リベート分は必要経費もしくは売上高からの控除となるため税金がかかりません。

リベートをうまく活用することで、取引先との間でWin-Winの関係を構築し、節税効果も狙えます。

リベートのデメリットとは?

1.コンプライアンスに抵触する恐れがある

リベートは不正が起きやすい取引です。コンプライアンス上の問題に発展することもあります。

現実的に、経営層が1社ずつのリベート内容を決めていくのには無理があります。そのため一般的には、営業の責任者に一任することが多いでしょう。

日々のノルマに追われて、一般的な水準をオーバーしたリベートを契約することも考えられます。また、リベートの際に利益を中抜きする危険性もあります。

このような不正を起こさないためにも、リベートの内容を決める際の最低限のルールを定めておくことが必要です。

2.リベートを渡す側の成長を阻害する恐れがある

リベートは目的を持って、課題の解決のために一時的に行うものです。しかし、リベートすることが定着してしまうと、自社の商品の価値を下げることにも繋がります。

リベートが当たり前になってしまうと、取引先にとっては特別感がなくなるので、さらなるリベートを要求される危険性もあります。

便利なリベートですが、取引先にとってリベートが当たり前にならないように、リベートする場面を限定的にする等の対応が必要です。

リベートの会計処理・仕訳や計上時期はどうする?

リベートの仕訳は「売上割戻し高」

リベートの会計処理の際には「売上割戻し」という勘定科目を使います。

仕訳処理では、売上げの減少を意味する「売上割戻し」を借方に、貸方では売掛金を取り崩します。

借方貸方
売上割戻し 10,000 売掛金 10,000

計上時期は合理的に見積もりが可能となった時期

リベートは、合理的に見積もりが可能になった時点で計上されます。そのため、契約書がある場合とない場合では計上時期が異なります。

契約書がある場合は、契約書に基づいて見積もりが可能なので、売上げの際に「売上割戻し」も計上します。

契約書がない場合は、売上げ時に見積もりができない場合も考えられます。そのため、取引先とリベート内容を合意した時点でリベートを計上することが可能です。

このように、リベートの見積もりが可能かどうかで計上の時期は異なります。

リベートを行うときの契約の仕方

1.お互いが納得するリベート率を交渉して決める

取引先と長期的な取引をするためにも、お互いが納得したリベート率を決めることが重要です。

リベート率を決める際には、同じ業界で使われているリベート率はいくらかや費用対効果に見合っているか等の視点で考えましょう。

リベートによって、双方に利益がでるような契約をすることが理想的です。

2.リベート契約書を取り交わすことで成立する

リベートを行う際には、後から問題にならないように契約書を取り交わしましょう。

契約書には、お互いが合意したリベート率やリベートを受けるための条件を記載します。

捺印をして、双方で保存するようにしましょう。

契約書等の書類で残しておくことで、不正の防止にも繋がります。

リベートと似た言葉とその違いをおさえよう

「値引き」:価格の引き下げを行っているかどうかが違い

値引きはリベートと似た言葉ですが、一番の違いは価格の引き下げの時期です。リベートは売上げの後に割戻す形ですが、値引きは最初に設定する金額そのものの価格を引き下げる違いがあります。

この場合は、会計処理や売上げに大きな違いが発生します。

値引きの場合は、売上金額は価格引き下げ後になるので全体の売上高低下に繋がります。一方、リベートでは売上金額は価格引き下げ前が適用されるため売上高はそのままです。

売上高は企業の外部からの評価において非常に重要な指標です。値引きとリベートの違いをしっかりと理解し、無駄な売上高の減少を防ぎましょう。

「アローワンス」:支払いに関してオープンかが違い

リベートとアローワンスの違いは、支払の内容がオープンかどうかです。

リベートの内容は契約書を結び、守秘義務があるので開示されません。それに対し、アローワンスは商品の販売促進のため開示されます。

日本ではリベートの方が一般的ですが、アメリカでは協賛金のような形で一般的に使われています。

「インセンティブ」:社内からお金を受け取るかが違い

リベートとインセンティブの違いは、どこからお金を受け取るかです。リベートは他社との取引にて発生するため社外からお金を受け取ることになります。一方、インセンティブは社内で発生するものです。

インセンティブは営業職が一定の成果を残した報奨として、給料に上乗せする形でよく使われます。

社内で発生するか、社外との取引で発生するかで言い方が変わります。

まとめ

本記事では、リベートの仕組みや会計処理の方法について解説しました。

リベートによって販売数を伸ばしたり、売上げをあげたりすることが可能ですが、正しい使い方をしないと違法になることがあります。そのため法律に触れていないか、事前に確認が必要です。

上手くリベートを使いこなすことで、売上げアップや取引先との関係強化を実現しましょう。

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oneplus編集部

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