新規事業を成功に導くプロセス|ポイントやフレームワークも紹介

社会情勢が目まぐるしく変化する現代社会で自社が生き抜いていくためには、既存事業に縛られない新規事業の展開も時に大切です。
スピード感が大切な新規事業ですが、適切な計画を立てることで、成功の確率は必ず高まります。

今回は、新規事業を立ち上げるにあたってのプロセスやポイントについてご紹介いたします。

目次

新規事業を立ち上げて成功に導くプロセス・6ステップ

ステップ1.顧客や世間が有する「課題」を見つけ出す

まずは、自らの業界の顧客が有する「課題」を見つけ出すことから新規事業はスタートします。
業界や市場における既存の商品やサービスを調査し、顕在化されたニーズをきちんと把握しましょう。

よくある間違いが、「自分がやりたいこと」を起点に新規事業をスタートしてしまうことです。
例え自分が良いと思ったサービスであっても、世間から求められていないことを事業化して、集客することは困難です。
最悪の場合は、既存顧客を手放してしまう結果も招いてしまうかもしれません。

「自分はそんなミスはしない」と考えていても、新規事業をはじめようとする時のモチベーションが先行しすぎて、つい顧客の課題を見つけ出すことを疎かにしてしまうことはよくあることです。
「新規事業は顧客の課題からはじまる」と常に意識を持っておくと良いでしょう。

ステップ2.事業の活動領域(事業ドメイン)を定める

次に事業の活動領域である「事業ドメイン」を定めます。
なお、事業ドメインには物理的定義と機能的定義の2種類が存在します。

内容
物理的定義具体的な商品・サービス等から定義ジムを作る、英語学習のアプリを作る
機能的定義商品・サービス等が生み出す価値から定義健康に痩せたい人のニーズに応える、自宅でスキルアップしたい人の支えになる

それぞれに良い面と悪い面があります。
物理的定義の場合は、事業内容をイメージしやすい一方、将来的な事業領域拡大が難しくなります。
機能的定義の場合は、将来的に事業領域を柔軟に拡大しやすい一方、事業内容のイメージが難しく、従業員間で考え方にズレが生じる可能性があるでしょう。

ステップ3.新規事業の理念・ビジョンを定めて共有する

事業ドメインが定まったら、新規事業の理念・ビジョンを定めます。
理念・ビジョンが明確な事業ほど、問題にぶつかった時にも、明確な軸を持って対処することができます。

この際に大切なのは、定めた内容をきちんと「文字化」することです。
理念・ビジョンは、新規事業に関わるメンバーが同じ方向を向いて進んでいくために重要なものであるため、経営者の頭の中にあるだけでは意味がありません。
皆が同じ志を持ってプロジェクトに取り組めるよう文字に起こし、メンバーの目に触れやすいところに提示する等して、各メンバー共有しましょう。

ステップ4.「ターゲット」「市場」「競合他社」をリサーチする

「ターゲット」「市場」「競合他社」をリサーチし、市場性と事業性を見極めます。
市場性とは「需要がどれくらいで、いくらお金が動くのか」を示したもの、事業性とは「ターゲットの課題は何か、どんな人なら絶対にサービスを利用するのか」を示したものです。

市場性・市場の特徴・構造
・市場の成長性・リスク
・市場に存在するプレーヤー
・市場の成長要因
事業性・ターゲット顧客の特徴
・ターゲット顧客の購入見込み率
・ターゲット顧客に適した商品、サービスの要件
・ターゲットとの関係構築手段
・参入済みの競合他社の状況

ステップ5.「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」の要素を整える

企業を経営する上でよく引き合いに出されるのが、「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」という要素です。
新規事業を立ち上げる場合にも、もちろん大切です。

ヒトチームメンバーごとに役割を割り振り、バランスを整える。
人員が足りない場合は、新規採用も検討する。
モノ物理的に必要なもの、およびスキル。
カネ新規事業立ち上げ・運営に必要な資金や費用(開発費や人件費等)。
情報事業に必要なノウハウ。
不足がある場合は、コンサルティングを受ける等、外部からの受け入れも検討する。

ステップ6.実現可能な行動計画を構築する

最後のステップとして、具体的に行動計画を構築していきます。

ここで大切なのは、”実現可能な”計画を作成することです。
「いつ・誰が・何をするのか」と具体的に設定するのは当然ですが、「現実性はあるのか」という視点を忘れないようにしましょう。

資金調達や人員確保については、思い通りにプロセスが進まないことを前提に考えて、時間的に余裕のあるスケジュール設定をしておくことが必要です。
せっかく作成した行動計画が絵に描いた餅にならないように、慎重に構築していきましょう。

新規事業を立ち上げて成功に導く4つのポイントを押さえよう

ポイント1.スピード勝負であることを心得る

新規事業の立ち上げにあたっては、スピードが大切です。
確かに万全の状態でスタートすることも重要です。
しかし、準備に時間やコストをかけすぎた結果、競合他社にシェアを奪われてしまうという最悪のケースも考えておきましょう。
走り出してからでも、十分軌道修正は可能ですので、まずはやってみるという姿勢も持っておくことが大切です。

ポイント2.強みを発揮できるリスクが少ない事業から取り組む

新規事業にはリスクがつきものです。
例え顧客のニーズを満たすことができる魅力的な事業ドメインを設定することができたとしても、自社の強みを活かすことのできる事業でないと危険です。
新規事業立ち上げの際には、既存事業との関連性もきちんと考慮して、現在持っているスキルやノウハウをうまく活かすことができる事業を選択しましょう。

ポイント3.需要予測を綿密に行う

上記で説明したとおり、新規事業の立ち上げにはスピードが必須です。
ただし、それと並行して需要の予測も綿密に行っておきましょう。

「需要の予測」と聞くと、複雑そうに感じますが、本質は意外とシンプルです。
 以下のようなポイントで、考えてみてください。

  • 新規事業に取り組む理由
  • 新規事業が顧客のニーズを満たす理由
  • このタイミングで参入しようとしている理由

このような理由を煮詰めていくことで、少しずつ需要予測は固まっていきます。

ポイント4.撤退する基準も明確な数値で定めておく

新規事業を立ち上げる時には、モチベーションが高まっているため、つい撤退する基準について蔑ろにしてしまいます。
しかし、基準を定めないまま事業を進めていくと、 先行き不透明なまま赤字を垂れ流してしまう危険性があります。 
事業を開始する時点で、赤字のデッドライン等を明確な数値で定めておきましょう。
万が一、事業が失敗した場合の被害を最小限で食い止めることができます。

新規事業のアイデアが浮かばないときは?

自社の強み・弱みを分析して既存事業をベースに考える

新規事業のアイデアが浮かばない時には、まず自社の強み・弱みを分析してみると良いでしょう。
その際には、既存事業をベースに考えることで進めやすくなります。
これまで自ら取り組んできた事業であり、強みや弱み含めて細部までわかっているはずだからです。
ゼロの状態から分析をするよりも、格段に考えやすくなりますし、馴染みのあるところからスタートすることで、新規事業へのヒントも得やすいでしょう。

成功している自社の事業を他業種に展開する

特に、成功している自社の事業がある場合は、その事業モデルを別の事業へ展開することを検討してみると良いでしょう。
例えば、健康食品のサブスク販売が軌道に乗っている場合に、「健康食品を買ってもらっているお客様を取り込んで、ジムを開業してみてはどうだろうか」等、全く異なる業種に展開できる可能性もあります。
既に成功している実績があるため、事業イメージも描きやすく、堅実的なビジネスを展開できるでしょう。

競合他社の成功事例を真似する

「世間にない新たな事業をはじめたい」と言っても、アイデアを考えるのは困難ですし、ゼロから考えた事業には大きなリスクも伴います。
そんな時には、競合他社の成功事例を真似することが有効です。

競合他社の成功要因は何だろうか、自社に応用できるものはないだろうか、という視点で調査し、自らの事業へ取り入れてみましょう。
他社の成功事例に、自社にしかない強みを掛け合わせることで、さらに魅力的な事業へ発展するはずです。

なお、新規事業のアイデアについてさらに詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてみてください。
>>新規事業のアイデアが出ない時の発想法とは? フレームワークも紹介

新規事業のプロセスを明確にする便利なフレームワーク2選

1.自社の経営資源の強さを判断する「VRIO分析」

「VRIO分析」は、「Value(経済価値)Rarity(希少性)Imitability(模倣困難性)Organization(組織)」という4つの観点から自社の経営資源の強さを判断するフレームワークです。

新規事業のプロセスは、自社の強みを活かし他社に真似できないサービスを展開していくことが理想です。
経済価値を生み出すことのできる事業であっても、それを実現するだけの組織体制が整っているかどうか、そんな観点を含めてプロセスを明確にするために役立つはずです。

2.想定した顧客の精度を高める「ペルソナ分析」

ペルソナとは「架空の顧客像」を表した用語です。
顧客調査やSNS等を通し情報を収集し、新規事業におけるペルソナを設定することで、事業の方向性を明確に定めることができるでしょう。
ペルソナを設定することで、顧客目線でサービスを考えることができるのはもちろん、社員が共通の軸を持って事業に取り組むことができます。

新規事業の立ち上げプロセスが失敗してしまう主な理由

考えたくないことですが、新規事業の立ち上げにあたっては失敗もつきものです。
ここではいくつかの失敗パターンをご紹介します。
事前に失敗パターンを頭に入れておき、きちんと対策を検討しておきましょう。

チームが肥大化して臨機応変な対応ができていない

新規事業立ち上げにあたり、人員を増やしすぎると、その分意思決定のスピードが落ちます。
新規事業は常にスピード勝負です。
迅速な決断が求められる場面で臨機応変な対応ができないと、競合他社に先を越されてしまうかもしれません。
状況に応じて適切に舵をとれるように、人の選定にはきちんと時間をかけましょう。

専門分野に詳しい人等の適切な人材を配置できていない

新規事業立ち上げ時は、予算や経営資源も限られていることが多いはずです。
限られた資源を最大限に活用するために、従業員の能力をきちんと見極め、担当分野に詳しい人を正しく配置することが大切です。
経理担当者がマーケティングを兼務する等、ミスマッチの人員配置は、事業失敗の原因となります。

適切なタイミングで市場参入できていない

今まで説明してきたポイントをきちんと押さえていたとしても、参入タイミングを間違えると事業は失敗します。
準備を適切に行うことはもちろん大切ですが、参入のタイミングだけは間違えないようにしましょう。
既存事業が伸びているタイミングに合わせることが理想です。

まとめ

以上、新規事業立ち上げの際のプロセスやポイント、そして失敗に繋がってしまうケースについて説明をいたしました。

新規事業を立ち上げる時には、顧客の課題は何なのか、競合他社の状況はどうなのかというきちんとしたリサーチが必須となります。
参入タイミングを誤らないために、スピード感を持って準備を行うとともに、問題が起きた場合に臨機応変な対応ができるよう、対策を十分に検討しておきましょう。

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oneplus編集部

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