近年、請求書の処理やチェック業務を効率化する動きが進んでいます。
自動化できるシステムや会計ソフトも増えました。
テレワークや働き方改革の影響を受け、今後ますます経理業務の効率化は求められます。
これから業務の効率化を検討するなら、最適な方法を見つけたいことでしょう。
この記事では、請求書チェックの効率化におけるポイントや注意点をご紹介します。
請求書業務の効率化を進める流れをチェック
1.請求書業務のフローを洗い出す
まずは業務フローを洗い出して現状を知り、業務のどこを改善できるかを明確にします。
実際に業務を行いながら、普段の業務内容をできるだけ細かく書き出してみましょう。
次の点に着目して確認しておくと、後の見直しに役立ちます。
- 担当部署
- 担当者
- 業務にかかる工数
- 作業頻度
- 必要なスキルや資格
- 書類やデータの保管場所
2.フローから課題を見つける
次にフローから課題を見つけます。
着目するポイントは次の通りです。
- 重複している作業はないか
- 属人化されている作業はないか
- マニュアルが整備されているか
- 時間がかかりすぎていないか
同じような作業を何度も行っている場合は、フローの無駄が考えられます。
また、マニュアルが整備されていなければ、属人的な業務になりやすいです。
3.課題に合った改善案を立てる
現在の業務フローで見つかった課題の改善案を立てることで効率化を目指します。
例えば、重複作業をなくすだけでも効率は大きく変わります。
また、作業の順番や担当者の変更も改善案のひとつです。
さらに、マニュアルの整備も効果があります。
誰でも同じレベルで同じ作業を行うことができるようになるからです。
いつまでに誰が実行するかを明確にしておきましょう。
4.改善案の実行と効果の確認をして見直しをする
スケジュールに沿って、改善案を実行します。
実行して終わりではありません。
業務効率が改善されたか、必ず検証してください。
効率化が図れた内容は継続し、さらに改善点が見つかれば改善案を検討・実施します。
改善のPDCAサイクルを回すことが重要なポイントです。
何度もサイクルを回し改善していくことで、いっそう業務の効率化が図れます。
請求書業務の一般的なフローと課題をチェック
請求書を受領する側の業務フロー
通常、請求書を受け取ったら内容を確認し、支払い手続きを行います。
①請求内容の確認
記載されている品物の納品チェックを行います。
単価や数量に変更がないかも見ておきましょう。
②支払日・支払先の確認
請求書に記載されている支払期日と支払先を確認します。
ミスを防ぐためにも、支払一覧表を作成しておくと安心です。
③支払い処理
支払期日までに支払処理を行います。
一般的に銀行振込が主流です。
④会計ソフト等への入力
支払いを行ったらなるべく早く、その取引情報を記帳します。
買掛金として計上していた金額を減らすことは経理の重要な業務です。
リアルタイムで確認できるように、都度入力しておくことをおすすめします。
請求書を受領する業務に生じている課題
請求書を受領した場合に生じる課題は、次の3つの問題が挙げられます。
①電子化の負担
請求書は紙で送られてくるもの、メールに添付されたPDF、サイトからのダウンロード等様々な形式があります。
それらを確認し、会社のシステムに手作業で登録する担当者の負担は大きいです。
ミスが起こりやすいのも問題のひとつでしょう。
②テレワーク不可
ペーパーレスが進んでいる現在でも、請求書を紙で発行する企業は多いです。
そのため、経理担当者は請求処理のためだけに出社しているケースもあります。
③保管・管理費が嵩む
サイズも形式も異なる請求書を保管するのは費用がかかります。
取引の多い企業では管理が大変です。
請求書を発行する側の業務フロー
請求情報を確定し取引先に送付、期日が来たら入金の確認を行います。
①請求情報の入力・確定
請求情報を入力し、確認および確定をします。
納品した商品やサービスと相違がないか、きちんと確認しておきましょう。
②請求書の発行・送付
請求書を発行し、取引先に送付します。
郵送やメール添付等、送り方は様々です。
控えを印刷して保管している会社もあります。
③入金確認
支払期日後、入金されているかどうかの確認を行います。
入金がなく督促する場合は、神経を使うやり取りなので担当者の負担が大きいです。
④会計ソフトへの入力
なるべく早く行いたいのが取引情報の記帳です。
売掛金として計上していた金額を減らすように、会計ソフトへ入力を行います。
請求書を発行する業務に生じている課題
請求書を発行する業務でも課題があります。
①請求書作成に時間がかかる
請求金額の計算や入力は、集中力を必要とする作業です。
特に手計算やExcelで計算している場合は、多くの時間を必要とします。
また、紙の請求書を発行する場合は、印鑑を押し封入・投函と細かな作業が多いです。
②計算ミスが発生しやすい
請求金額の計算時は、ミスが発生しやすいです。
担当者は神経を使い、ダブルチェック等の工夫をしています。
③請求書の保管・管理が大変
発行した請求書の控えを印刷して保管しておく場合は、ファイリングの手間や管理に時間を取られる可能性があります。
請求書業務を効率化する方法を導入コストがかからない順に紹介
1.請求書業務のフローを見直す方法
費用をあまりかけずにやり方を工夫するだけでも、効率的に作業を行える方法はあります。
請求書業務のフローを見直す方法を、受領側・発行側それぞれで考えていきましょう。
担当者の工夫や、officeソフト等の利用でフローを見直します。
工夫による改善
手作業を簡略化するために、まずは月ごとのスケジュールを可視化してみましょう。
多くの取引先は、支払いサイトが決まっているはずです。
支払いサイトとは、締め日から支払期日までの期間のことで契約時に決めているはずです。
支払いサイト情報をもとに、いつ頃請求書業務が発生するかを書き出していきます。
受領側であれば、請求書が届く都度作業を行うのではなく、数社まとめて処理すると効率的です。
銀行へのアクセスも少なくてすみます。
発行側であれば、請求書の発行日をずらすことで、月末月初だけに作業が集中する状態を避けることもできるでしょう。
既存のソフトを利用した請求書業務自動化による改善
既存のソフトを利用して業務を自動化することも可能です。
例えば、エクセルを使った例をご紹介しましょう。
受領側であれば、発注データから買掛金情報や入金処理一覧が作成できるよう予めマクロを作成しておきます。
発注時に販売管理システムから発注データをエクセルに落としておき、請求書受領時は、内容を照らし合わせマクロを実行するだけです。
発行側であれば、エクセルで請求先の会社名や住所・電話番号等を一覧で持たせておきます。
請求書を作成する時は関数で会社情報を呼び出すことが可能です。
それにより、宛先の間違いを未然に防ぐことができるでしょう。
よく使用する商品名や型番・単価等も一覧にしておくことでも、ミスを減らせます。
また、入金予定一覧をエクセルで作成しておけば、支払期日に金額をチェックするのに便利です。
完全な自動化とはいかないものの、エクセルのような既存システムの利用で改善のための費用を抑えつつ、業務の効率化が図れるのが大きなメリットです。
既存のソフトを利用した電子化による改善
既存のソフトを利用して請求書を電子化すれば、保管や管理が楽になります。
受領側は、紙で送られてきた請求書をスキャンしてデータで保存します。
紙の書類がなくなれば保存コストが軽減し、担当者の事務的負担も減るでしょう。
ただし、データの保存ルール等を新たに検討する必要があります。
発行側は、請求書を印刷するのではなく、PDFで出力する運用が可能です。
PDFファイルは電子メールで取引先に送るため、発送の手間が減らせます。
控えの書類を保管する必要がなく、管理も楽になるでしょう。
もちろん、書類の保存ルールの検討や、取引先の合意は必要です。
2.請求書業務にシステムを導入・自動化する方法
フローの見直しに比べると費用が発生するものの、請求書クラウドシステムや会計システムを導入し自動化することで、業務の効率化が進みます。
イニシャルコストや担当者の教育は必要ですが、ランニングコストを抑え人的ミスを大幅に減らすことが可能です。
請求書クラウドシステムの導入による改善
請求書や納品書等いわゆる証憑類を発行するシステムの利用で、業務の効率化が図れます。
特にクラウド型を利用すれば、担当者は場所を選ばずに請求書の発行が可能です。
請求書の印刷・封入・投函まで自動化できるものや、電子メールで送信できるものもあります。
クラウド型なら、サーバー等の設備を自社で構える必要がなく、費用を抑えて導入できるでしょう。
また、請求書クラウドシステムは会計システムと連携できるものが多く、発行後の処理の自動化が期待されます。
会計システム導入による改善
会計システムは、企業の会計業務をシステム化したものです。
帳票類の発行業務改善に適しています。
伝票の作成や帳簿への転記・試算表の作成等、会計業務の一連の流れをすべて行えるシステムが多く、データが一元管理できるのが大きなメリットです。
導入することで、ミスをなくしスピーディーに業務が行えると人気があります。
基幹システムと連携させる場合もありますが、会計システム単体として使われることも多いです。
会計に関する制度変更にも柔軟に対応しているため、経理担当者は業務に集中できます。
詳しくは以下を参照ください。
>>会計システムとは? 種類と機能や経理システムとの違いも
外注・アウトソーシングを利用する方法
社内で業務改善に割けるリソースがなければ、請求業務をアウトソーシングする方法もあります。
任せる業務を指定できるので、請求書の封入・発送だけという細かい発注も可能です。
また、会計業務全般をお任せすることもできます。
近年導入する企業が増えているのは、人手不足解消にも繋がるためでしょう。
これから先の業務は自社で行い、過去に紙で保管していた書類の電子化のみ外注する方法もあります。
外注する場合は、費用対効果を考えて、担当者と相談して範囲を決められると良いですね。
詳しくはこちらを参照ください。
>>経理業務効率化のひとつの手段!請求書のアウトソーシング・種類とメリット
>>業務を効率化する請求書代行サービスとは?内容とメリット・選び方
請求書効率化の方法・それぞれのメリット・デメリット
1.「フローの見直し」改善案のメリット・デメリット
業務フローの見直しで改善を行う場合は、費用をかけずに効率化を行えるのが大きなメリットです。
社員の工夫に頼る部分が大きいので、担当者のノウハウが蓄積されると共に評価に繋がります。スタッフのモチベーションアップも期待できるでしょう。
一方、ほかの方法に比べると効率的ではないというデメリットもあります。
お金をかけることが良い改善策とは限らないので、まずできることを試してみるという「はじめの一歩」に良い案と言えます。
2.「システムの導入」改善案のメリット・デメリット
システム導入はコストがかかります。
また、導入時は一時的に負担が増える可能性があるでしょう。
ですが、導入後の業務は社員が行うため、主要なノウハウの蓄積が可能です。
加えて業務の効率化が進むので、担当者の負担が大きく減るでしょう。
ミスの発生率が下がることも期待できます。
社員が成長できる機会を与えられ、リモートワークも実現可能です。
魅力ある経理には優秀な人材が長く定着しやすいため、会社全体として大きなメリットになるでしょう。
3.「外注の利用」改善案のメリット・デメリット
外注を利用すれば、社内で請求書を発行しないため大幅な時短が見込めます。
経理業務を少人数で回すことができ、人手不足が解消されるのもメリットです。
ただし、外注コストは増えるでしょう。
また、社員のノウハウとして蓄積されないのはデメリットと言えます。
経理業務の一部、例えば請求書発行部分のみ外注することも可能です。
業務をすべて外注し経理部門を完全に切り離してしまうと、社内に経理業務を行える人がいなくなるため慎重に判断する必要があります。
請求書効率化の度合いとコストのバランスが取れた改善を
請求書業務の効率化を行う3つの方法について、メリットとデメリットをご紹介してきました。
どの方法を選ぶのが正解というものではありません。
請求書業務をどこまで効率化したいのかによって、選択肢は異なります。
コストとのバランスが取れた改善策を選ぶのが理想です。
また、社内にノウハウを蓄積しておきたいかどうかも、重要なポイントになります。
将来を見据え、長い目で見て会社と社員双方にメリットの大きい方法を検討してください。
請求書クラウドシステム「oneplat」なら効率化とコストを両立
「oneplat」は、システムを導入する方法としてご紹介した「請求書クラウドシステム」に当たります。
クラウド型でPCだけでなくスマートフォンからも操作ができるので、経理スタッフのリモートワーク実現も容易です。そして働く場所を選びません。
請求書をデータで発行できるシステムですが、受領側からアプローチできるのがポイントです。
仕入先からデータで受け取った請求書は会計システムと連携ができるため自動取込みが可能となり、手作業による仕訳が不要となります。また振込処理もお任せできます。紙の証憑が出ないため、書類の保管や管理業務は必要ありません。
さらにシステム導入時に懸念される導入費用は不要、月額料金で使用できます。また社員教育や仕入先への説明も代行してくれますので導入しやすいサービスです。
現在使用しているシステムやフローの変更がないため、担当者が受け入れやすいのも人気の理由です。
そして電子帳簿保存法やインボイス制度にも対応しています。
担当者は難しい知識がなくても、法律を遵守できて安心です。
まとめ
請求書処理は会社のお金に関わる業務なので、気を遣う作業です。
集中力を高めて取り組んでも、人の努力に頼るだけでは限界があります。
システムを利用し自動化することで、業務が効率化され担当者の負担が減るでしょう。
まずは現状を見直すことからはじめてみませんか。