企業の経理業務において、納品書や請求書の処理は重要な役割を果たしていますが、紙ベースでの運用は多くの課題を抱えています。例えば、承認フローが滞ることで受注側への支払いが遅れた場合、企業の信頼性に影響を与えてしまうでしょう。
こうした課題を解決するために、納品書・請求書の電子化が注目されています。
本記事では、検品・検収(承認)業務を紙で運用する際に直面する課題と、電子化によるメリットについて解説します。
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納品書・請求書の検品・検収(承認)業務とは?
「検品」と「検収(承認)」はいずれも発注した商品やサービスの納品後に行う確認作業ですが、厳密には違いがあります。まずは、それぞれの役割を確認しておきましょう。
検品業務
検品とは、納品された商品や資材が「発注内容と一致しているか」を確認する作業です。数量・品目・型番・品質・外観などを納品書と照らし合わせ、誤納や破損がないかをチェックします。
検品を丁寧に行うことでトラブルを早期に発見し、後工程への影響を防ぐことが可能です。例えば数量違いが発生してもすぐに把握できれば、発送元への連絡や返品・再納品の対応を迅速に行えます。
検収(承認)業務
検収(承認)とは、納品書・請求書・発注書などを照合し、「納品内容が契約条件どおりであることを確認して正式に受領を認める」業務です。数量だけでなく、仕様や納期・梱包・動作状況などをチェックし、問題がなければ承認処理を行います。
「検品」と混同されることもありますが、目的が異なります。検品が主に商品自体の数量や品質を確認する作業であるのに対し、検収は検査工程を含めて「納品物として契約条件を満たしているか」を総合的に確認する段階です。
例えばシステムの納品では、実際に動作テストや性能確認を行い、契約どおりの結果が得られたことをもって検収完了とするケースもあります。
発注から支払いまでの一般的な業務の流れ
企業間取引においては商品やサービスを購入する際、「発注」から「支払い」までの一連の手続きを経て取引が成立します。ここでは、発注側の企業が紙ベースで業務を行う場合の基本的な流れを整理します。
発注
見積書の内容を確認し、価格・納期・数量・仕様などに問題がないことを承認したうえで、注文書(発注書)を作成します。紙ベースの運用では、発注書を印刷して押印し、郵送やFAXで取引先に送付するのが一般的です。
受注側が発注書を受領した時点で、正式な取引契約が成立します。この段階で記載ミスや承認漏れがあると、後続の納品や請求に影響が及ぶため、内容確認は非常に重要です。
検品・検収
納品された商品が発注内容どおりであるかを確認します。数量・型番・品質・外観などをチェックし、納品書と発注書の内容を照らし合わせるのが基本です。
不良品や破損が見つかった場合は、速やかに受注側へ連絡し、再納品や返金などの対応を依頼しましょう。
検品に問題がなければ、検収書を発行して受注側に送付する場合もあります。これにより、「納品内容を正式に受け取った」という証跡を残すことができます。
支払い
請求書の内容を再度確認し、数量・金額・納期・支払い条件などが契約どおりであるかをチェックします。内容に問題がなければ、社内の承認フローに沿って支払い処理へと進みます。紙の請求書を扱う場合は、承認印を押印して回覧し、上長や経理部門の承認を得る流れが一般的です。
支払い金額や期日を明確にするため、支払依頼書や支払予定表を作成する企業も少なくありません。最終的に、経理担当者が銀行振込や手形などの方法で支払いを行い、入金が完了すると受注側が領収書を発行します。これをもって取引が正式に完了します。
検品・検収(承認)業務における確認ポイント
検品・検収(承認)業務は、取引先との明確なルールを定めておかないと、トラブルの原因となることがあります。特に注意したい2点をご紹介します。
検収書の発行元
現行法では検収書の発行に関する規定はありませんが、一般的には発注側が検収書を作成し、社内承認を経て受注側に送付します。ただし、仕入先(受注側)が検収書を発行し、発注側が内容を確認して押印する運用を採用しているケースもあります。
企業によって運用ルールが異なるため、検収書をどちらが発行するか事前に確認しておきましょう。
検品や支払いの期限
検品・検収期間についても法律上の明確な定めはありませんが、検収完了のタイミングを曖昧にすると、「納品後に検収が進まない」「支払いが遅れる」といったトラブルを招く可能性が考えられます。
特に注意したいのが支払期限です。下請代金支払遅延等防止法(下請法)では、発注企業は納品物を受け取った日から60日以内に代金を支払う義務があります。
法律違反や支払い遅延を防ぐためにも、取引開始時点で検収期間と支払期限を取り決めておくことが重要です。
アナログ(紙ベース)な検品・検収(承認)における課題
発注から支払いまでの業務を紙ベースで進めると、特に検品・検収(承認)において、いくつかの問題が出てきます。
- 承認までに時間がかかる
- 進捗状況が分かりにくい
- 不正が起こりやすい
- 書類管理に手間がかかる
これらの問題は、業務の効率や信頼性に大きな影響を及ぼす可能性があります。一つずつ確認していきましょう。
承認までに時間がかかる
紙ベースの業務でよくある悩みとして、承認完了までに時間がかかってしまう点が挙げられます。
例えば、納品書を受け取った後、商品が発注内容と一致しているかを確認するために、複数の担当者がチェックする企業も多いでしょう。しかし、発注側の担当者が外出や出張で不在の場合は、書類の回覧や押印が滞ってしまい承認が遅れることも少なくありません。
その結果、支払期日までに受注側への入金ができず、企業の信頼に悪影響を与えるリスクが考えられます。
進捗状況が分かりにくい
発注側の各部門で承認者(仕入れ担当者、工場長、管理者、経理担当者など)が存在し、承認フローが複雑になっていませんか。納品書や請求書を物理的に回覧していると、現在どの部署で誰が持っているのか、処理がどこまで進んでいるのかを把握することが困難です。
特に、内容によって承認ルートが異なる場合は情報共有がスムーズに行われず、注文や納品に関する誤解やミスが起きやすくなります。
これにより、顧客満足度が低下したり、受注側との信頼関係が損なわれたりする原因になることもあり得るでしょう。
不正が起こりやすい
納品書や請求書を手動で確認する際には、紛失、不正承認、文書改ざん、情報漏えいなど、様々なリスクが伴います。
特に処理件数が多い日には、発注側の担当者に大きな負担がかかり、納品書との照合作業で見落としや誤りが発生しやすくなります。
たとえ故意でなくても、本来必要な承認を得ることなく処理が進み、後から不備が発覚するケースも考えられます。これにより、取引の透明性が損なわれ、結果として企業の信用に悪影響を及ぼす恐れがあります。
書類管理に手間がかかる
納品書、受領書、検収書、請求書などの書類は、取引内容を証明する重要なデータであり、適切に保管する必要があります。
しかし、取引ごとに発生する膨大な量の紙を整理・ファイリングするのは非常に手間がかかるでしょう。さらに、必要な情報をすぐに取り出せるように保管するためには、スペースの確保や保管ルールの整備も求められます。
アナログ(紙ベース)な検品・検収(承認)を効率化する方法
検品・検収(承認)業務を紙ベースで運用していると、承認の遅延や記録ミス、書類の紛失などが発生しやすく、業務全体の効率を下げる原因となります。以下に、主な改善方法をご紹介します。
ハンディーターミナルを活用する
ハンディーターミナルは、バーコードやQRコードを読み取り、商品情報をすぐに取得できる電子端末です。
入荷時に商品の品番や数量をスキャンすることで、手書き入力を省略し、記録ミスを防ぎながら作業時間を短縮できます。ピッキング中も該当の棚や商品をすぐに確認できるため、倉庫内業務全体の効率化にもつながります。
ただし、ハンディーターミナルはあくまで「情報照合を支援するツール」です。商品の性能や品質といった要素までは確認できないため、外観検査や動作確認などの工程は従来どおり目視で行う必要があります。
アウトソーシングを利用する
検品業務は、作業ルールの策定や担当者の育成、シフト管理などに多くの工数を要します。検品作業を代行業者へ委託(アウトソーシング)することで、社内リソースをコア業務に集中させ、生産性を高めることができるでしょう。
ただし、外部委託にはコストが発生するほか、検品ノウハウが社内に蓄積されにくいという課題も存在します。
また、委託先との間で検品基準や報告手順を明確に取り決めておかないと、品質や報告精度にばらつきが生じる恐れがあります。委託前に業務範囲や責任分担を文書で明確化しておくことが重要です。
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納品書・請求書クラウドサービスを導入する
納品書や請求書などの書類をクラウド上で一元管理できるサービスを導入すれば、紙の印刷・回覧・押印といったアナログ作業を大幅に削減できます。特に、納品書からクラウドデータとして保管・共有することで、受取から確認、承認、支払いまでのプロセスをオンラインで完結でき、処理スピードが格段に向上します。
さらに、電子帳簿保存法やインボイス制度に対応したクラウドサービスを利用すれば、法改正への対応負担も軽減可能です。法的要件を満たしながら承認フローを可視化し、ペーパーレス化を進めることで、ガバナンス強化と業務効率化を同時に実現できます。
詳しいメリットやおすすめのクラウドサービスについては後述しますので、是非最後までご覧ください。
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納品書・請求書の電子化による検品・検収業務のメリット
アナログ業務を効率化する方法にはいくつかありますが、なかでも効果的なのが納品書や請求書の電子化です。紙の書類をデータとして扱うことで、承認フローの迅速化や情報共有の円滑化など、多くの業務課題を解消できます。
以下では、電子化によって得られる具体的なメリットを紹介します。
処理スピードが上がる
電子化によって、納品書や請求書の処理スピードは劇的に向上します。
物理的な書類を回覧する必要がなくなるため、担当者が迅速に確認や承認を行えるようになります。これにより、承認フローにかかる時間が大幅に短縮され、受注側への支払い遅延も防ぐことができます。
特にモバイルデバイスを活用すれば、仕入れ担当者が現場で納品書や発注書の確認が可能になります。即座にシステム上で確認できるため、わざわざ事務所に戻る手間が省けます。
さらに写真の添付や現場の状況報告なども簡単に行いやすく、現場からのフィードバックが正確かつスピーディーに伝わるでしょう。
進捗をリアルタイムで把握
紙ベースの承認フローでは、進捗状況を把握するのが難しいことがよくあります。例えば、入金処理の期日が迫っている場合は、どこで作業が滞っているのかを確認するために、発注側の経理担当者は各担当者に連絡を取る必要があります。
しかし、納品書や請求書の電子化サービスを利用すれば、処理状況をリアルタイムで把握可能です。どの段階まで承認が完了しているのかが一目でわかるため、進捗管理が容易になります。
もし作業が滞っている場合でも担当者にすぐ連絡して対応を促せるので、受注側への支払い遅延を防ぐことができます。
アクセス権限を付与できる
納品書や請求書には、企業にとって重要な情報が含まれています。
普段は鍵付きのキャビネットで厳重に管理していても、作業の途中で紙を机の上に置いたままにしてしまうこともあるでしょう。その場合は、誰でもその情報を目にすることができてしまいます。
しかし、電子化サービスを利用すれば、情報セキュリティが大幅に強化されます。例えばアクセス権限の設定、つまり特定の担当者のみが閲覧できるように設定することで、情報漏洩や不正の防止に役立ちます。
書類の管理・検索が容易
電子化された書類は、デジタル上で一元管理されるため、物理的な書類を保管するスペースや管理にかかるコストが不要になります。
また、検索機能を使えば、必要な書類を瞬時に見つけ出すことができます。過去の取引データも簡単に参照できるため、時間の節約にもなります。
電子化により、書類管理にかかる手間が減り、より重要な業務に集中することができるでしょう。
外出先からでもデータ確認・承認ができる
納品書や請求書を電子化することで、どこにいてもデータの確認や承認が可能になります。特に管理者にとっては、場所を問わずに業務の進捗を把握し、必要な承認を行えることは大きなメリットです。
例えば出張中でもモバイルデバイスを利用して、進行状況をリアルタイムで確認できるため、迅速な意思決定が可能です。また、承認フローも容易になるため、必要なタイミングでスムーズに対応でき、全体の業務効率が向上します。
【関連記事】受け取る請求書を電子化するメリット、義務化要件と効率的な電子保存(管理)方法もあわせてご紹介
納品書・請求書の電子化なら「oneplat(ワンプラット)」
納品書や請求書の電子化を考えるなら、低コストかつ高機能な「oneplat(ワンプラット)」がおすすめです。
以下では、oneplatの具体的なメリットについてご説明します。
納品から請求書の承認までの煩雑な業務を効率化できる
先述したように、紙ベースでの業務フローでは、発注から検品・検収、そして支払いまでの各段階で多くの手作業が必要となり、書類の回覧にも時間や手間がかかっていました。
これにより、業務全体が滞りやすく、進捗管理も難しくなってしまうのが現実です。
しかし、oneplatを導入することで、承認プロセスが大幅に簡素化され、業務の効率化が実現します。具体的な流れは以下のとおりです。
- 受注者側が納品データを登録する
- 発注者側が納品データを承認する
- 受注者側が請求書を発行する(納品データを変換)
- 発注者側が請求書データを承認する

専用モバイルアプリで使いやすい
oneplatユーザーが、納品データの確認や承認業務を行うことができるモバイルアプリを提供しています。
スマホで使用できるモバイルアプリであれば、携帯性に優れていることから、オフィスの内外を問わず、どこからでも承認フローを簡単に管理することができます。これにより、紙での運用よりも時間短縮につながります。
また、スマホならではの直感的な操作性を備えているため、ITシステムに不慣れな方でもスムーズに利用できる点もメリットです。
納品書と請求書の突合が不要
oneplatを活用することで、納品書と請求書の突合作業が不要になります。
システムが自動的に納品データから請求データを作成するため、品番の紐づけや取引額の確認など煩雑な作業に時間を取られることがなくなるのです。
担当者の手作業が大幅に削減され、ミスの発生を防ぎつつ、業務効率が飛躍的に向上するでしょう。
原本を紙で保管する必要なし
oneplatは、電子帳簿保存法やインボイス制度にも対応しており、紙の書類を保管する必要がありません。これにより、書類管理にかかるコストが削減されます。
また、必要なデータはいつでもシステム上から迅速にアクセスできるため、税務職員からデータの提出を求められた場合でもスムーズに対応可能です。
oneplatを導入することで、業務のデジタル化がスムーズに進み、管理の効率化とコスト削減が同時に実現するのです。
初期費用ゼロ、月額33,000円
oneplatは導入時の費用が一切かからず、月額33,000(税込)の定額料金のみでご利用いただくことができます。処理件数や取引先が増えても追加費用が発生することがないため、長期的な利用にも最適です。
充実したサポート体制
受け取る納品書や請求書を電子化する際、お取引先様に事前のセットアップを行っていただく必要がありますが、専属スタッフによるご説明やセットアップのサポートを無償でおこなっています。簡単な登録作業だけですぐに利用できるため、お取引先様に負担がかかることもありません。
また、専門スタッフによる無料の相談窓口が設けられており、使い方や操作方法が分からず困った際には、画面を共有しながら丁寧なサポートを受けることができます。
検品・検収業務を効率化!oneplat導入事例
ここからは、oneplatを導入して検品・検収業務の効率化を実現した企業様の事例をご紹介します。
納品書と請求書の突合作業を自動化|株式会社ケーユーホールディングス 様

株式会社ケーユーホールディングス様では、これまで外注業者から紙の納品書が届き、各拠点の担当者が基幹システムへ手入力する運用を行っていました。入力作業には手間と時間がかかり、請求書との突合時に入力ミスや確認漏れが発生することも課題となっていました。
そこで、納品書と請求書の突合作業をシステム上で自動化できるoneplatを採用します。手動入力や照合作業の大部分が不要になり、ヒューマンエラーの削減と共に業務全体のスピードが大幅に向上しました。
毎日納品が発生する拠点では、担当者1人あたり30分〜1時間の業務時間削減を実現しています。
月3箱分をペーパーレス化|株式会社マッシュビューティーラボ 様

株式会社マッシュビューティーラボ様では、毎月段ボール3箱分に及ぶ納品書や請求書が紙で届き、手作業での整理・管理に多くの工数を割いていました。必要な書類を探し出すだけでも時間がかかり、バックオフィス全体の生産性を圧迫していたといいます。
oneplatを導入したことで、これまで週に2日を要していた納品書の照合作業が大幅に短縮されました。さらに、データを一括抽出できる機能により、仕入れデータと会計システムの整合性確認が容易になりました。
紙書類の削減に加えて、情報の検索性や確認スピードも向上し、バックオフィス業務の質そのものが向上しています。
2種類の会計システムを統合|株式会社SMILE SOL 様

株式会社SMILE SOL様では、「株式会社 SMILE SOL」と、仕入れ代行や業務委託を担う会社「株式会社 SMILE INNOVATION」で、会計システムをそれぞれ運用していました。受発注システムとの連携がなく、手作業でのデータ入力が必要だったため、業務は煩雑でミスの発生リスクも高い状態でした。
oneplatを導入した結果、受発注システムのデータを活用してネットバンキングでの支払い処理と仕訳データの自動連携が可能になりました。2種類の会計システムをoneplatで統合管理できるため、入力作業の手間が大幅に削減されただけでなく、納品書・請求書まわりの処理もスムーズに進むようになっています。
まとめ
今回は、紙ベースでの検品・検収業務における課題と、納品書や請求書の電子化による業務効率化のメリットをご紹介しました。
紙ベースの管理ではどうしても時間や手間がかかり、業務が滞るリスクが高いことは明らかです。
一方、納品書・請求書を電子化することで、検品・検収業務が大幅に効率化されます。
「oneplat(ワンプラット)」は低コストでありながら高機能な承認フローシステムとして、多くの企業に導入されています。
専用のモバイルアプリも用意されており、現場や本社、出張先など、どこからでも簡単に承認が可能です。
全社的な業務効率化を目指すなら、「oneplat」の導入を是非ご検討ください。

