【万物が己の師 万事が己の責任】泉卓真といずみホールディングスに迫る──株式会社いずみホールディングス代表取締役社長・泉卓真にインタビュー

泉卓真氏へのインタビュー第4回。前回は、いずみホールディングスが「食品流通のOSを創り、新しいインフラで、世界中に豊かさを届ける」という理念に基づき、水産業界という出発点から、どのように現在までその領域を拡大していったのかを追いました。

今回はその中で、泉社長がいったいどのような困難に立ち向かってきたのかを伺います。

泉卓真社長が体感した東京と北海道の違い

──泉社長は主に食品流通業界を戦い抜いて来られたわけですが。その中では、前回もおっしゃったようにたくさんの課題があったわけで、それらを乗り越えてこられたかと思います。

泉 そうですね……当時はたくさんありすぎて、何からお話すれば良いのか(笑)

たとえば最近の話だと、私は現在、拠点を東京にも置いているのですが、東京で手に入れる情報や企業として展開する戦略・手法と、北海道でのそれらとには、やはり大きな差があります。もしかすると私たちの業界だけなのかもしれませんが、東京で取り組んでいた手法を北海道に持って帰ると「ちょっと極端すぎませんか?」という話になってしまうことが何度かありました。その時にギャップの大きさを感じましたね。

東京へ進出した当時は、東京と北海道は「日本語が通じる海外」くらいにギャップがあると感じていたのを覚えています。

──「18年の歴史のうちでも特にこの期間に集中した」というような時期はありましたか?それとも、常に課題はあったのでしょうか?

泉 はい。質や内容は大きく変わって来ましたが、常に課題はあります。あたりまえですが、企業として目標にたいして課題があるのは正常ですが、課題の質や内容の変化というのは分かり易くて、企業や経営者の成長に伴ってどんどん質の良い内容に変わっていくものだと体感しています。

特に内部統制や労働環境の整備の進行度はそのまま、ネガティブな課題が減少し、ポジティブな課題が増えていくことに繋がっていくと考えているので、万事すべて己の責任として捉え、真正面から解決をすることで、課題の質と内容をさらに良いものに向かわせたいと思います。

いずみホールディングス創業時の課題

──ご創業時はいかがでしたか。

泉 創業当時の課題として現実的なものは、「信用がない」「名前や実績がない」「利益もお金もない」ですよね。でも、私には目標があり、熱意もありましたし、何より時間がたくさんありました。社員は社長の自分ひとりでしたから、当初はそういったある種情緒的なもので戦えたのでしょうね。自分の戦う気力、やる気、行動力がなくならない限りは戦えたわけです。

──ひとりで事業を行う強みかもしれませんね。

泉 ところが創業から5年ほど経って、 入社いただいたり、お手伝いいただく人たちが入ってくると、課題として出てくるのは仕組みづくりでした。

外から見れば「人が増えたね」「会社が大きくなったね」とご評価をいただけることもあるのですが。それまで社長ひとりでやってきていましたから、内情は社会保険や備品の支給等、何の仕組みもないわけです。なのですぐに導入するのですが、そういうものの手続きに追われるので、それまでと違って営業や仕入れに行く時間が圧倒的になくなりました

それにくわえ、新しく人が入ると最低限の教育や共有も必要になりました。それまで自分ひとりの仕事で100の量の成果ができていたのが、たとえば、その業務をAさんに任せると成果は30になります。この仕事量を80、90と上げて維持できるような仕組みやシステムが必要になるわけですが、まず、その仕組みやシステムを作る投資ができるのかという課題が新たに生まれます。

まだ大きな利益を生んでいない中で人を雇い、さらに利益がなくなって「まったく余裕がない!」というときに、何百万、何千万円というシステム投資をするかどうかを判断しなければならない。今考えると、当時はさまざまな決断に勇気が必要だった気がします。「認める勇気」とか、「受け止める勇気」、「投資する勇気」、「借金を背負う勇気」等、たくさんの勇気です。

──当時の泉社長の苦労が偲ばれます。

泉 ですが、それがクリアされるとようやく仕組みができてきますので、次の展開ができるようになっていきます。事業拡大がスムーズになって、うまく走れるようになっていくわけです。このあたりではじめて、競合他社に「競合である」と認められる日が来たような気がします。

──いよいよ、会社として本格的にマーケットに足を踏み入れるときが来たわけですね。

泉 そうなんですよね。競合他社にとって邪魔にもならない頃はただの「かわいいやつ」だったのが、競合として認識されると、それ以降は企業と企業のビジネスでの戦いのようなことを繰り広げることになります。ですから、戦略を立てるためには現状認識と知恵を軸に、知識情報経験が非常に重要になると思いました。

──それはでも、急に身に付くものではないように思います。

泉 そうですよね。私もこのあたりまでに相当数の失敗をし、経験で学ぶことが多かったので、これからはなるべく歴史に学びたいと思い、本を読んで学んだり、交流会に行ったり、メンターを見つけたりし始めたと記憶しています。

この競合他社、つまりライバルとの戦いというのは、これまでの課題とは少し性質が変わってきたと思います。最初の頃に必要なのは、いずれも自分の問題だけでした。ですが、競合と競うという段階において、私が考える課題にはじめて相手が、つまり「他者」が登場しました。これによって、勝っても負けても敵が増えるのではないかと心配をし始めることになりました。競争した結果、お客様を奪っていくわけですから。売上や利益、その会社の社員やボーナスという機会までも奪われたとなれば、にくまれる場合もあるかもしれません。

──シビアな話ですが、それがビジネスですよね。

泉 これらに対処するために大事にしたことが、コンプライアンスやガバナンスでした。私たちがいる水産業界はあまりにも閉鎖的なせいなのか、なかには一般の業種ではとても考えられないことが起きたりします。いつ、いかなる攻撃を受けても会社が倒れたり、足元からすくわれたりしないように、法律や法令を日頃から遵守し、チームをつくり勉強もしておくということが、ものすごく大事だと思うようになりました。

訴訟リスクは根本排除

──専門家とそれぞれ手を組んで、内部もしっかり整えていくべきということですね。

泉 はい。いずみホールディングスの場合は、先ほども申し上げたように、裁判や訴訟といった法的リスクを徹底的になくすため、コンプライアンスやガバナンスはかなり強化しています。

これも、経験したことで学んだという例なのですが、競合他社にまったく聞いたこともないメディアを使って嫌がらせのような内容の記事を書かれたことがあったからです。その時は「内容が全然合ってないどころか、本当に私の記事か?」と思いながら読ませていただきましたが。

──メンタルがお強い!

泉 強いかどうかはわかりませんが、私は、事実ではないものはもはや他人事なので、楽しく読めます。私自身、ゴシップ誌に書かれている記事内容は他人のことであっても信じることはありません。もし、それを読んだ方が書かれていることを事実だと思い込んだとしても、多分、その方を私は直接知りませんから、会ったことがない方に釈明はできませんし。ひとつの情報だけで思い込んでしまう方なら、そもそも釈明などすべきお相手ではないでしょうしね。私自身、人を判断する際には思い込まないように気を付けています。

──その泉社長のお言葉が、すべてを物語っているように思います。

泉 そこはそんなに踏み込まなくてもいいです(笑)。その出来事には、コンプライアンスやガバナンスを強化する、よいきっかけと大切さを教えてもらいました。

── 課題は乗り越えるためにある、という言葉を体現されているのですね。


 【次回】

創業時からこれまで数々の苦難を経験し乗り越えてきた泉卓真氏に、今回は会社が成長するにあたって備えておくべき課題について伺いました。

次回は、泉卓真氏の人物像に迫ります。泉氏はどんな少年時代、青年時代を経て「株式会社いずみホールディングス」の設立に至ったのでしようか。

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oneplus編集部

この記事の執筆者

  • 【プラットフォーム×テクノロジー】泉卓真といずみホールディングスに迫る──株式会社いずみホールディングス代表取締役社長・泉卓真にインタビュー

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