キャッシュレス決済を法人で活用するメリットとは? 導入方法も解説

近年キャッシュレス決済を利用する企業が増えています。
記帳・明細確認・データ分析も容易になり、業務の効率化を進めながらより正確に経理業務を行えるようになるでしょう。

一方で、カードは使いすぎたり紛失しないように注意が必要です。今回は、ポイントを詳しくご説明していますので参考にしていただけたら幸いです。

目次

法人のキャッシュレス化は経理業務効率化の大きなポイント

キャッシュレス決済とは、現金を使わずにクレジットカード・ICカード・QRコードを使う支払い方法のことを言います。

経理業務効率化を進める上で、キャッシュレス化は重要なポイントとなります。
カードやQRコードを使うことで、小口現金の出し入れによるミスを減らすことができ、管理が楽になります。また、カード明細が残るので履歴の把握や分析も簡単になるでしょう。

世界中で近年キャッシュレス決済の使用が広まっていますが、日本では中小企業を中心にまだ導入が進みきっていないのも実情です。

今回はキャッシュレス化を進めるメリットを詳しくご説明します。

メリット①小口現金の出し入れの際のミスがなくなる

硬貨や紙幣は種類が複数あり、現金で出し入れをしていると数え間違えが発生しやすいです。また、支払いや受け取りの過程で紛失したり渡しそびれてしまったりといったリスクも考えられるでしょう。さらに、現金の金額を仕訳帳や管理表に転記する際に内容を間違える可能性もあります。

現金を使わないことで、紙幣や硬貨の数え間違いや紛失のリスクを防ぐことができます。
また、カードを使えば明細が残るため、現金の金額の転記間違いも削減できるでしょう。

メリット②小口現金の保管・管理が不要になる

現金の使用が多いと、常に社内に現金を置いておく必要があり、定期的に金額が正しいかを数えて記録する必要があります。また、現金が不足している場合は銀行に行って現金を用意する手間も発生します。

さらに、鍵のかかる部屋や引き出しに入れたり、場合によっては金庫や防犯カメラを用意したりといったコストもかかるでしょう。

キャッシュレス化を進めることで、現金を数えたり残高補充をしたりといった手間を省き、セキュリティも強化できます。

メリット③いつ何に使ったか履歴を追いやすい

キャッシュレス決済の場合は、いつ何にお金を使ったか履歴が残ります。
後から用途や金額を見返したい場合は、キャッシュレス決済を使えば日付・金額・支払先を正確に把握できます。

また、現金の場合は万が一盗難が起きた際に犯人を探しにくいというデメリットもあります。一方でキャッシュレス決済は履歴が残るため、盗難も起こりにくいです。

このように履歴を残すことで、決算をより正確に行えるだけでなく、内部統制の強化にも役立つでしょう。

メリット④支払日までの期間はキャッシュに余裕ができる

カードを使用することで、支払日までの期間はキャッシュに余裕ができるのがメリットです。

現金を利用する場合は、支払いの際にその全額を手元に用意する必要があります。一方でカードで支払う場合は、口座からの引き落とし日が翌月に設定されているケースが多く、その場で全額用意しなくても問題ありません。

手元に資産を少しでも長く残しておくことで、資産を運用したり有事に備えたりすることができるでしょう。

メリット⑤領収書は不要になりペーパーレス化できる

2020年10月からの改正電子帳簿保存法により、一定の条件を満たす場合はキャッシュレス決済の明細を領収書の代わりに使えるようになりました。

都度、領収書を紙でとっておく必要がなくなることで、紙をファイリングしたり定期的に確認したりする必要がなくなります。従業員が経理に紙を手渡しするといった手間も省けるでしょう。

さらにデータの状態で保存されることで、領収書を確認するために都度出社する必要もなくなり、テレワークを進められるのもメリットです。

メリット⑥データ分析に活用できる

キャッシュレスではデータが即日反映されるため、支払先や支払内容を日々分析できます。支払いからデータ反映までのタイムラグが小さいため、スピーディーな経営判断に繋げられるでしょう。

また、自分たちが支払うときだけでなく客先からの支払いもカードやQRコードで受け付けることで、売上の分析もよりスピーディーになります。

例えば商品に対する支払いをカードで受け付けることで、売れ筋の商品をスムーズに把握して、製造計画や仕入計画にも即時反映できるようになるでしょう。

法人でキャッシュレス決済を取り入れる方法3つ

①交通系ICカード等、電子マネーを利用する

電車やバスに乗る際、現金の支払いだと履歴が残りませんが、電子マネーを利用することで履歴を残せます。移動した経路や支払日の履歴も残せるため、帳簿付けのミスを削減し、証拠として残せるでしょう。また、一覧を使って記帳すれば経費の計上漏れを防げます。

明細は駅の販売機で紙に印刷することもできますが、アプリやPDFとしてダウンロードできるシステムを使うことでペーパーレス化を進められます。

②法人向けクレジットカード(法人カード)を利用する

法人向けのクレジットカードを使えば、複数の従業員にカードを配ることができ、支払情報を一元管理できます。クレジットカードを使ってから実際に口座から支払われるまで約1か月ほど空くため、資金繰りの管理も余裕を持って行えるでしょう。

また、クレジットカードにはポイントやマイルを貯める機能を持つものもあり、ほかの買い物で割引を得ることもできます。ただし、クレジットカードは使いすぎや盗難のリスクもあるため、上限を設定して保管方法にルールを設けておくと良いでしょう。

③法人向けプリペイドカードを利用する

プリペイドカードは事前に入金をすることで支払いができるシステムです。

経費や取引先への支払いの際に前払いをする手間を減らす手間が省くことができるでしょう。また、プリペイドカードを使えば明細も残るため、仕訳の自動連携にも使用できて入力の手間を省略できます。

プリペイドカードはクレジットカードと比べると事前の審査が通りやすく、創業まもない段階の企業でも使えるのがメリットです。ただし、都度チャージする手間がかかります。

法人のキャッシュレス化|現状と今後の動向は

銀行口座を介さないデジタル給与支払いも解禁されている

デジタル給与支払いとは、QRコードや決済アプリで支払う形の決済方法です。
給与の支払いは、銀行口座を介する支払いが一般的ですが、近年デジタルでの支払いが増えています。

銀行手数料を削減でき、銀行口座を持っていない従業員への支払いも容易になります。
また、都度払いや少額での支払いも容易になり、より臨機応変に対応できるでしょう。

ただし、本人確認の徹底やセキュリティー面での対策が引き続きの課題となっています。

BtoBでもキャッシュレス化の波が来るのか

今後BtoBでもキャッシュレス化が進む可能性が考えられます。

実際、アメリカではBtoBでの取引にパーチェシングカード(BtoB取引で利用可能なクレジットカード)を取り入れる企業が増えています。特に多国籍企業では国ごとに口座を分けると数が増えてしまうため、カードを使ったクラウド上での資金移動にはメリットが多いです。

中には、各雇用者にそれぞれカードを発行して、企業同士での資金移動も従業員や取引先への支払いもすべてキャッシュレスで行っているケースもあります。

キャッシュレス化は会計システム等と連携することで経理業務が効率化できる

キャッシュレス化を進める際には、併せて会計システムとの連携を進めるのがおすすめです。仕訳入力システムに加えて、債務支払システムや経費精算システムとも連携させると良いでしょう。

システムを使うことで、カード明細や交通カードの情報等をシステムに連携させることができ、申請の際に日付や金額を直接入力する手間を削減できます。また、オンライン上で承認を進めることで、例えば上司が出張していた場合にも滞りなく業務を進められるでしょう。

キャッシュレス決済で経費精算するときのポイント3つ

ポイント①キャッシュレスへの移行は段階的に行う

キャッシュレスへの移行は段階的に行っていくのが重要です。
一気に移行すると、従業員が変化について行けずミスが増えて逆に業務が増えてしまう可能性があります。また、一気に移行してしまうと、うまく行かなかった場合に立ち戻るのも難しくなってしまうでしょう。

導入の際には、小さな範囲から進めていくのがポイントです。
例えば複数の部署がある企業でも1部署ずつ導入を進めれば、意見を取り入れながらフローを改善していきやすくなるでしょう。

ポイント②資金管理を計画的に行う

キャッシュレスでは資金管理を計画的に行う必要があります。

現金支払いの場合は支払時にその場で現金を用意する必要があるため、残高不足にもすぐに気付くことができます。一方で、クレジットカード払いの場合は、支払いまで時間が空くため、残高がなくても支払いできてしまうのが特徴です。

もし決済の日に残高が不足している状況が続くと、カードを止められてしまう可能性もあるため、注意しましょう。

ポイント③経費精算のルールを見直し周知徹底する

クレジットカードでの経費支払いをする場合は、従業員が際限なくお金を使える状況になってしまいます。
そのため、経費精算できる金額を事前に決めておき、従業員に周知徹底しておくことが重要です。ルールを更新した時にも、ルール更新があったことを社員に伝える必要があります。

また、金額によっては事前に稟議を回すように定めることで、許可していない金額を従業員が使ってしまうトラブルも防げるでしょう。

キャッシュレス化した場合、ポイントの処理はどうなるのか

ポイント還元されるタイミングを確認

ポイントが還元されるタイミングはカードや企業によって様々です。
主に次の2つがあります。

  • 即時還元
    …支払いをしたその場で即時還元される。ポイントはその日からすぐに使用可能
  • 後日まとめて還元
    …支払いをした後、口座から引き落とすタイミングで還元される。ポイントの利用ができるまでタイムラグが発生

特に使う金額が大きい場合はポイントの金額も大きくなるため、事前に還元のタイミングを確認して積極的に使うと良いでしょう。

処理方法は「値引き処理」と「収入処理」の2通り

処理方法には次の2つがあります。

  • 値引き処理
    …ポイントの利用分を、値引きとして扱う仕訳
  • 収入処理
    …ポイントの利用分を、雑収入として扱う仕訳。

例えば、3000円の消耗品を購入して300ポイントの収入が発生し、残りの2700円を現金で支払った場合は、次の仕訳となります。

勘定科目金額勘定科目金額
事務用品3,000円現金2,700円
雑収入300円

どちらの処理でも問題ありませんが、会社として仕訳方法を統一すると良いでしょう。

会計システムと「oneplat」との連携で経理業務の効率化がさらに進められる

業務効率化をさらに進めることができるサービスが「oneplat」です。
oneplat」を導入することで、納品書・請求書の受け取りから承認までを自動化することができます。
納品書や請求書はデータとして届くため、紙の開封や保管といった作業も不要になります。

さらに、請求書は、承認された納品データを変換して作成される仕組みなので、毎月の請求書と日々の納品書との、突合作業が不要になることもメリットのひとつです。

また、会計システムとの連携ができるため、仕訳入力の手間を省きミスも減らせるでしょう。

まとめ

キャッシュレス化のメリットとその取り入れ方法、ポイントの仕訳方法等についてご紹介しました。
キャッシュレス化を進めることで、現金の数え間違いや保管の手間を削減できます。
また明細も残るため、後から履歴を追うのも簡単になり、データ分析や経費精算に利用することもできるというメリットもあります。

業務効率化を進める上では、まずは経理業務の効率化としてキャッシュレス決済を取り入れてみてはいかがでしょうか。

さらに、oneplatを使えば、請求書や納品書の受け取りをデータで行うことができ、仕訳の入力や証憑の保管をよりスムーズに行えます。

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oneplatは、納品書や請求書をデータで受け取れるサービスです。

会社組織の財務・経理部門や、支店・店舗・工場などの、 管理業務における下記の課題解決にoneplatは大きく貢献できます。

  • 会計/販売管理システムとの連携で仕訳入力が不要に
  • 取りまとめたデータを自動で取り込み
  • 総合振込データの作成や仕訳の消込も自動入力

導入後は複雑なデータ入力業務に時間を奪われることなく、本来の業務へ時間とコストを割くことが可能です。

このウェブサイトでは、他にもコスト削減・業務効率化に役立つ資料を無料で配布しておりますので、 是非、この機会に一度資料ダウンロードをしてみください。

oneplus編集部

この記事の執筆者

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