【未来はこの手で切り開く】「社長」としての取り組み──株式会社いずみホールディングス代表取締役社長・泉卓真にインタビュー

前回までは、泉卓真氏が社長になるまでの歴史を紐解きつつ、もし「今」会社を作るとしたらという視点で、泉社長から起業志望者への熱いメッセージを掲載しました。

今回はインタビューラストということで、題して「社長」実践編です。起業にプレゼンはつきものということで、泉社長に「伝わるように伝える」ということについて伺いました。

そして最後に、社長の普段の仕事についても語っていただきます。「トップの社長自身が営業して稼ぐというスタイルは、楽だけれどハッピーではない」。はたしてその言葉の真意とは。

伝える技術は「正しく」磨く

──泉社長へのインタビューを通しての印象を僭越ながら総括しますと、お人柄の素晴らしさにくわえて、頭の回転の速さだったり例え話の的確さ等から、とにかくお話がわかりやすいと感じました。このインタビューの締めくくりに、プレゼンテーションのプロとして、泉社長流のコツを是非教えていただきたいのですが。

泉 本当に、そんなに大したことはなにもしていないのですが……。

ただ敢えて申し上げるならば、ほかの方よりプレゼンがうまく通る確率が高いのは、「良い結果を出せる社長をイメージして演じ切ること」「伝わるように伝えること」を、普段から気にしてお話をしているからかもしれません。そこを意識していると、お相手様の頭の中にも説明内容が絵として浮かんできやすく、理解もしやすかったりするのではないかと思っています。

それからもう根本的なお話ですが、一生懸命やっています。一生懸命、理解してもらうための行動・作業をしています。これ以外、言いようがありません(笑)

──そこに尽きますよね。

泉 「伝わるように伝える」とは、とても大事なことだと思います。

──はい。おっしゃる通りですが、それこそが難しい部分ですよね。伝え方を意識するようになられたのは、肩書が「社長」になってからなのでしょうか?

泉 明確に意識するようになったのはそのタイミングだと思います。ですが僕は、社会人になって2年目ぐらいには、もう新入社員への初期トレーニングやカリキュラム作りを担当していました。その際に作った資料ですとか、それを使った教育がうまく伝わらなかったりすると、僕の伝え方を変えるか、資料の内容、もっと言えば分解度や基準を変えるしかなく、その繰り返しでした。これを20年繰り返していたら、伝えることがうまくなってきたんだと思います。

──つまり「伝える」という技術は、日々磨き続ける努力をして、少しずつ身に着けていくものだと。

泉 やはりそうだと思います。ただ、努力には「正しい努力」と「正しくない努力」があるんです。頑張っても、成果に繋がらないことはありますよね。ということは、そもそも「伝わるように伝える」ためには必要なことがあって、それを理解し自分のスキルとして身に着けられるように、「正しい努力」をすることが必要だと思うんです。

──言われてみればその通りなのですが、なかなか「正しい」とはどういうことなのかピンと来ないです……!

泉 はい、それも色々なものがありますが、例えばそのうちのひとつに「間」がありますね。僕は話すとき、人よりも「間」を多く使います。伝えたい話の前には必ず読点を置いて、つまり1秒は黙って、間を空けているんです。

伝わるように伝えるためには、この間のほかにも、イントネーションや滑舌、キレイな言い回し等が大事になってきます。それから、言葉遣いも大事だと思います。これらを身に着ける努力が、まず必要だと感じています。

──そんな意識が根底にあるから、社長のお話は相手に届くんですね。

泉 本当に届いてるかどうかという実際のところはわかりませんが、ありがたいことに現状は、いいご評価をいただけることが多いです。これからも慢心せずに磨こうと思います。

ただ、私は噺家さんや落語家さんでもないですし、講演家でも講師でもないので、磨くにも程度があると思っています。「程良さを超えることは、程良さに達しないのと同じ」という言葉を忘れずに、自分が得意な領域での話を相手に押し付けることがないように気を付けるべきだと思っています。伝え方の選択肢は、ほかにもありますからね。当然それぞれの個性が出るものだと思いますので、社員に対してもその部分は尊重します。

──そんな社長の考え方はとても素敵ですし、社員の皆様もそうお思いなのではないでしょうか。

泉 そうでしょうか、でもそう思ってくれていれば、ありがたいですね。

社長がやるべき真の仕事とは

──もうひとつ質問させてください。泉社長は、魚の卸売業界から IT の分野に進出して、業界の慣習を変えていく、ひいては社会を変えていくということを現在なさっていますが、 IT 分野の専門学校や大学で学ばれたご経験はありませんよね。

事業を進めるにあたり専門的な勉強は避けられないと思うのですが、一体どのように行ってこられたのでしょうか。

泉 私の場合は、必要に応じて都度学んでいます。私は「業界日本一」にどうしてもなりたい。そこを目指すためには、IT でもテクノロジーでも、マーケティングでもなんでも、勉強することが苦じゃないんです。ですからなんでも学びます。行動力があると言ってしまえばそれまでなのですが、何かが変わりそうだと思える技術や仕組みを探しにまわるのは、自分達の未来を探しているようでとても楽しいです。

もう少し考えていることをお話しすると、私たち程度の事業規模ならではかもしれませんが、社長の仕事のひとつに、今「まだない」商品、今「まだない」仕組み、今「まだいない」パートナーや、今「まだ社員に見えていない未来を作ることがあると思います。逆にいうと、社員の皆に今見えているものと今やっていることには、なるべく触れてはいけないということでもあります。

そこに、「社長が思う社長がやるべき仕事」と「社員が社長にやってほしい仕事」のギャップが結構あると思うんですよ。だから、私は社長の取り組むことはなるべく明確にしています。

例えば、私は社員の皆がやれることは、社員の皆にお願いをすることにしています。そんなことは当たり前だと言われるかもしれませんが、前述した通り、どのレベルで、またどの取り組み程度で、行われているかが重要だと思っています。

社員もおそらく、「営業や工場、物流や管理部門などは自分達の方が得意なんだから、社長は余計なことをしに来ないでくれ」と。「そんなことより社員の自分達にはできない、戦いやすい武器やパートナーの調達や、社員が喜ぶ『この先』を見せて欲しい」と思っている気がします。

もちろん最終的な決断をする上では、どんな情報であっても社長の方がより高い視座で、より深く考え、良い結果になる確率の高い決断ができることも多いと思います。ですがそんなことよりも、社員たちは「どんなものか全然想像もつかないけれど、会社の利益がケタひとつ増えるような、ドカーンとうまくいくすごいビジネスを考えてくれよ」と思っていると考えています。その方が、給料もボーナスも上がりますからね(笑)。

そうなると、私が社員の皆から預かっているのは、時間や機会なんだと思います。それらを利用して「我が社の次の一手は何だろう?」「会社の売上が1,000億を超えるまでには何をしたらいいんだろう?」と、頭をフル回転させて考えを巡らせたり、行動することが私の仕事だというわけです。その時間を社員達に作っていただいている分、私には重大な責任があります。そういう責任から、oneplat のようなサービスも生まれている気がします。

──では泉社長はこれからもやはりこうして、世の中にまだない新しいサービスをどんどん考えていかれるおつもりだと。

泉 はい。そういえば昔、ある会社の会長さんが僕に言ったんですよ。業界にイノベーションを起こせるのは「よそもの」だと。違う業界から来たという意味でのよそものですね。それから「若者」。常に最先端のツールに触れている、発想が柔軟な若者です。それから、「ばかもの」。頭のネジが1本飛んでいるような人間ですね。

そういう人間しかイノベーションを起こせないという説がもしも正しいのであれば、この業界にイノベーションを起こすための新しい仕組みを提供し続けるのが、私のチャレンジしたいことです。

<終>


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oneplus編集部

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  • 【起業という選択は必然だった】泉卓真が社長になるまで──株式会社いずみホールディングス代表取締役社長・泉卓真にインタビュー

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