【転職ばかりの新社会人時代】泉卓真が社長になるまで──株式会社いずみホールディングス代表取締役社長・泉 卓真 氏にインタビュー

泉卓真社長へのインタビュー第7回目。前回は泉社長の幼少期から青年期にかけて起こった困難や出会いを紐解いて参りましたが、今回は「その後」、社会人編です。

泉社長が新社会人生活を送りはじめたなかで学んだこととは? そして転職を繰り返すことになった理由とは?

北海道のトップを走る会社で社会人生活開始

──泉社長はもともとアルバイトをしていた北海道の大手回転寿司チェーン店で正社員になられて、社会人生活を歩みはじめられたわけですよね。とても厳しい会社だったとお伺いしましたが。

泉 はい、厳しかったですね。ですが、とても素敵な会社でした。今でも目標にしている会社です。

──過去のインタビューを拝見していますと、最初に勤めた会社こそが、泉社長が心の中で今でも最も大事にされている企業であるとお見受けしました。

泉 その通りだと思います。とにかく「当たり前」のレベルが高い会社でした。挨拶ですとか掃除、なにかに取り組む姿勢等、どの会社でもやっていることなのですが、度合いが違いすぎました。あの会社や社員の皆さんには、小さなことにも取り組む場合はとんでもない執念というか執着心がありましたね。

──つまり、その会社では実務よりも、人間力といったところに重点を置かれていたのでしょうか。

泉 その会社は人間力をもちろん、大事にしていたのは感じていましたが、現場はそこにくわえてもっと、実務的かつ戦略的なところを学ばせてくれましたし、そこに重きもおいていました。

私が働いていたのは18~21歳の頃ですが、今振り返ると、上司や先輩はとんでもなくレベルが高かった。本当に冗談抜きで、他社の飲食店で30年働いている50歳代の人に、この会社の2年目くらいの社員は能力面で全く負けていなかったと思います。もちろん人間としての成熟度には色んな経験が必要だと思うので、人間力の成長は別にして、ですけれどね。

とにかく飲食店業界では素晴らしい会社です。1店舗たったの60席で、通販もなしに月5,000万とか、年間6億円以上の売上がありましたからね。真似ようにも真似できない、とんでもない会社です。

強烈な勝ち組企業でしたが、社内にはそんな雰囲気はまったく無くてとても謙虚で、私たちはその会社で知らないうちに「なぜ勝っているのか」という文化や考え方、ロジックが徹底的に叩き込まれていました。ですから、その企業の素晴らしさが分かるのはその会社を退職した後なのですよね。

私も入社当初は、社会とはこういうものなのだなという程度でとらえていました。それがたまたま運良く「勝っている企業のノウハウ」を骨身に叩き込んでいただいたおかげで、今があるのだと思っています。あの会社の18~19歳の社員は、ある意味ではその辺にいるビジネスマンよりも数字に強いと思います。

──数字を見るところから教え込まれるのですね。

泉 あたりまえですが、戦略を立てるには数字が絶対に必要で、その数字の根拠を読み解くだけの理論も学ぶ必要がありますし、そこから皆が活躍しやすい仕組みやシステムの構築をすることも必要でした。やっぱり、有名な飲食店ですから、勝ち残るにはそれだけの理由があったと思うんですよね。

──その厳しい環境に3年ほど身を置かれていたということですが、さぞ素晴らしい日々だったのでしょうね。

泉 そうですね。その会社は厳しかったですけれど、私は時間的な意味では誰よりも働いたという自信があります。そして、もちろん誰よりも本や資料を読み、勉強もしました。それらすべてがとにかく楽しかったですね。後半は自分の出す数字にいつも自画自賛していたので、「驕るな!」とよく叱られました(笑)。

──厳しくも良い環境で、満足できる結果を出していて、それでもその会社からの転職をお決めになったのはなぜなのでしょうか。

泉 ヘッドハンティングというのをはじめてされたんです。当時、私はお店で中心人物になって運営をコントロールしていましたし、私が新卒や新人の教育なんかもしていましたしね。そこで声をかけられまして、給料は当時の3倍出すと言われたのがきっかけです。それで「うーん、行ってみるか?」と思って、はじめての転職をしたのですが。

──これが、泉社長が転職を繰り返すことになる発端だったというわけですね。

様々な企業を渡り歩くように

泉 そうなんです。やっぱり転職の理由がお金だという場合、間違いなく失敗しますね。

それと、情報や人、もしかしたら何でもそうなのかもしれませんが、使いこなす能力は必要ですよね。その転職先の新しい企業には、私が前の会社で学んできたものを理解できるだけの上司は、いませんでした。

勝っている会社から勝てていない会社に転職した場合、どうしたら勝てるかをいくら説明しても、イメージがつかないからわからなかったのでしょうね。そういう事態に、このときはじめて直面しました。それまで他社で働いたことがなかったので、このときは「世の中の会社ってまさか全部がこんな感じじゃないよね」と焦りましたし、たまたまこのとき転職した先が、私とは理解がし合えない会社なのだろうと思うようにしました。

そこでもっとまともな会社に行こうと思って再び転職をするのですが、おかしなことにまた、どこもかしこも理解してもらえない会社でした。もちろんそのような結果になるのは、ほとんどの原因が私にあることはいまでは理解していますが、当時はそのように考えていたということです。

くわえてお伝えするならば、このとき私が転職した先がおかしい会社だったということもありませんでした。むしろその会社は普通で、どちらかというとが最初にいた会社こそが、とても素晴らしい会社だったというわけです。私の「当たり前」の基準は最初の会社に教育されていたので、他社に行ったらすべてが不満になってしまったんですね。それに気づいたのは、私が経営者になってからだったと思います。

結局それに気がつくまで、ずっと会社を転々として、自分が思う最初に勤めた会社を超える素晴らしい会社を探していたつもりでした。

──泉社長はこの間、様々なご職業を経験されているんですよね。外食産業に限らず、かなり色々な分野を巡っておられたとか。

泉 はい、そうです。教材の販売をしたり、先物取引の会社に入ったり、家庭教師の派遣の仕事をしてみたり。入社はしませんでしたが、宝石の営業の会社に面接に行ったこともありました。まぁ、多種多様な会社へ行きましたよ。トラックで学校給食を小学校に運ぶ仕事もしてみました。

──なんだか今からは想像できませんね。転職を繰り返していた時代、泉社長には焦りのようなものはなかったのでしょうか。

泉 ありましたね。一番大きかったのは、最初の会社を辞めた後悔です。お金を理由に転職すると、こんなに人生から豊かさって消えるのだなと思いました。経済的な豊かさはもちろん必要ですけれども、私はそもそも、ある程度の心の豊かさが必要なタイプだと思います。チャレンジをしている会社であるとか、業務のやりがいがあるとか。

それが一番高いレベルでやれたはずの会社を辞めてしまったことを後悔するのですが、だからと言ってその会社へ戻ることも出来ない。なので、最初の会社を辞めたことを後悔しない道ってどんな道があるのだろうか、ということを考えはじめました。

「大きく成長する」ラーメン店で一気に大出世

泉 あの頃、私に思いついたのは、より展開力のある会社で、より高いポジションに就くということでした。ですから「これから大きく成長する」と思える飲食店、今はまだ目立っていないけど、これからきっと目立てるいいビジネスをやっている飲食店チェーンを探すということをするようになりました。

──理屈はわかるのですが、その「これから」を予測するコツはあるのでしょうか。 とにかくお店に行ってみるということでしょうか?

泉 はい。お店に行ってご飯を食べて美味しいと思っても、その調理や技術に熟練度やノウハウが必要だとどうしても店舗展開が遅くなるので、私が当時望んでいたものにはならないんですよね。

──確かに、確かに。

泉 つまり、「フランチャイズ展開できるか」「店舗展開できるか」等を、僕はチェックしていました。そんなとき、たまたま4~5店舗程度の展開をしているラーメン屋さんを見つけました。そこへアルバイトで入社して、1か月で社員になりました。そして3か月で店長になって、半年後には本部のスーパーバイザーになりました。

──さすが、あっという間に出世されたんですね

泉 そうなんです。それから約1年で、100店舗近くのチェーンになっていくのですが、それはそれで問題や課題も多かったですけれど、楽しかったです。

──そこまで上りつめながら、なぜご自分で起業をされることになったのでしょうか?

泉 では、次回は起業のきっかけについてお話します。


【次回】

かつて自ら去ることを決めた会社は超優良企業でしたが、後悔しても元に戻ることはできませんでした。そこで泉社長は、自らの目で「これから伸びる」飲食店を探し出し、見事ラーメンチェーン店を成功に導きます。

次回は、そんな泉社長がなぜその地位を捨てて、起業することになったのかを語っていただきます。

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oneplus編集部

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  • 【未来はこの手で切り開く】「社長」としての取り組み──株式会社いずみホールディングス代表取締役社長・泉卓真にインタビュー

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